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» 2019年05月13日 05時00分 公開

Microsoft Azure最新機能フォローアップ(78):他社クラウドのコスト管理も可能! 従量課金制のコストを最適化する「Azureコスト管理」が正式リリース

これまでパブリックプレビューで提供されてきた「Azureコスト管理(Azure Cost Management)」機能が、2019年4月下旬に一般提供となりました。5月初めには、Azureコスト管理の機能をAmazon Web Servicesの利用コスト管理に拡張する機能のパブリックプレビューも開始されています。

[山市良,テクニカルライター]
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クラウド利用の従量課金制で重要なコスト意識

 Microsoft Azureの価格体系は、大きく「Pay-As-You-Go(従量課金制)」と「Reservations」の2つがあります。従量課金制は、サービスの使用やリソースの使用量に応じて課金される契約。Reservationsは、リソースを予約購入することで、各種サービスを割引価格で利用できる、1年または3年の契約です。

 Azureのサービスを従量課金制で利用する場合は、割引特典のない標準価格で利用することになるので、コストに敏感になることが重要です。削除し忘れたリソースや未使用のデータ(仮想マシンのイメージやバックアップデータなど)、意図せず課金対象になっているリソース(停止状態の仮想マシンなど)があると、それは即、その月の請求に跳ね返ります。

 コストを最適化するためには、サービスやリソースの使用量を日々監視し、無駄に課金対象になっているサービスやリソースがないかどうかをチェックすることが重要です。

 例えば、クラシックタイプの仮想マシンを、現在のAzureの標準であるリソースマネージャタイプに変換し、よりコスト効率の良いシリーズやサイズに移行することで、コストを改善できる場合があります。あるいは、IaaS(Infrastructure as a Service)タイプの現在の仮想マシンをPaaS(Platform as a Service)タイプの「Web Apps」に移行することで、コストを改善しながら、管理負担も軽減できる可能性があります。

 コスト意識を強く持つことは、従量課金制で使用量が計算される、Azure無料アカウント(https://azure.microsoft.com/ja-jp/free/)に30日間提供されるAzureクレジット枠(2万2500円)やVisual Studioサブスクライバー向けの月単位のAzureクレジット枠(6000円、1万1500円、または1万7000円)、Azureクレジット枠が提供されるその他のオファー(Microsoft Partner Network《MPN》パートナー向けのAzure特典など)において、毎月の使用料をAzureクレジット枠内に抑えるためにも重要なことです。Azureクレジット枠を超えてしまうと、それ以上サービスを利用できなくなるか(無料アカウントの場合)、請求が発生してしまうからです。

Azureコスト管理のコスト分析と予算設定、アラート通知で無駄を省く

 「Azureコスト管理(Azure Cost Management)」は、Azureポータルの「コストの管理と請求」ブレードに統合された、従量課金制ユーザー(およびAzure Government)向けのコスト管理機能を提供します。

 この機能は、2018年9月末からパブリックプレビューとして提供されてきましたが、2019年5月初めに正式版となり、一般提供が開始されました。今回、一般提供となったのは「コスト分析」「予算」「エクスポート」の3機能です(画面1)。従量課金制ユーザーは、これらの機能を無料で利用できます。

画面1 画面1 一般提供が開始された従量課金制ユーザーのための「Azureコスト管理」機能

 「コスト管理」の「コスト分析」では、日ごと、サービスごと、リソースごとの利用コストをさまざまな視点から分析できます(画面2)。

画面2 画面2 「コスト分析」による利用コストの分析。筆者の環境の場合、2019年4月10日にコストが急増している。これは筆者が検証用にデプロイし、普段停止している仮想マシン群をWindows Updateのために起動したため

 一般提供の開始に合わせて追加された新機能としては、分析中の表示データをCSV(cost-analysis.csv)またはExcel(CostManagement_サブスクリプション名_yyyy-mm-dd-hhnn.xlsx)形式のデータとしてダウンロードする機能があります(画面3)。

画面3 画面3 分析中のコストデータは、CSVまたはExcel形式でダウンロードできる

 「設定」の「エクスポート」を使用すると、現在の請求期間の累計コストについて、日単位スケジュール、過去7日間の週単位スケジュール、カスタムスケジュール(週累計/月度累計/請求期間累計のデータを日単位/週単位/月単位のスケジュール)で、指定したストレージアカウントにデータを自動的にエクスポートさせることができます。

 「コスト管理」の「予算」では、請求期間や暦月の月/四半期/年の予算を設定して使用状況を確認したり、予算にしきい値を設定して電子メールでアラート通知を行わせたりすることができます(画面4)。

画面4 画面4 請求期間(毎月)の使用量に対する予算を作成し、予算にしきい値を設定して、アラート通知を行わせることができる

 さらに、アクショングループを作成すると、電子メール、ショートメールメッセージサービス(SMS)、音声、Azureアプリのプッシュ通知のアクションを構成することが可能です。また、暦月(月、四半期、または毎年)の予算を作成すると、「コスト分析」で毎月の予算と超過分を視覚化できます。

他社クラウドのコスト管理にも対応(プレビュー)

 Azureコスト管理は、今後、Amazon Web Services(AWS)とGoogle Cloud Platformで使用されるマネージドクラウドのコスト管理にも拡張される予定であり、2019年5月初めにAWSのコスト管理のプレビュー提供が開始されました。他社クラウドのコスト管理は有料であり、対象クラウドの利用コストの1%に価格が設定されています。プレビュー期間中は無料で利用できますが、一般提供開始以降は1%の請求が開始されます。

筆者紹介

山市 良(やまいち りょう)

岩手県花巻市在住。Microsoft MVP:Cloud and Datacenter Management(2018/7/1)。SIer、IT出版社、中堅企業のシステム管理者を経て、フリーのテクニカルライターに。Microsoft製品、テクノロジーを中心に、IT雑誌、Webサイトへの記事の寄稿、ドキュメント作成、事例取材などを手掛ける。個人ブログは『山市良のえぬなんとかわーるど』。近著は『ITプロフェッショナル向けWindowsトラブル解決 コマンド&テクニック集』(日経BP社)。


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