5才になったKubernetes、今後は「Linuxのような役割を果たす存在に」KubeCon+CloudNativeCon Europe 2019詳報(1)(1/2 ページ)

2019年5月にスペイン・バルセロナで開催された「KubeCon+CloudNativeCon Europe 2019」は、Kubernetesの誕生5周年を祝った。成熟したKubernetesは、今後どのような役割を担っていくのか。

» 2019年05月27日 05時00分 公開
[三木泉@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 2019年5月にスペイン・バルセロナで開催された「KubeCon+CloudNativeCon Europe 2019」では、誕生から5年を迎えたKubernetesを称えるコメントが相次いだ。

 Cloud Native Computing Foundation(CNCF)エグゼクティブディレクターのダン・コーン氏は、Kubernetesの開始当初、コンテナオーケストレーションで競合する存在が多数あったにもかかわらず、「Kubernetesは(戦いの)勝者になった」と表現。その理由として、「使い物になる技術だったこと」「オープンな開発体制を早期に選択したこと」「多数の人たちが献身的に活動したこと」を挙げた。

 第2の点について、コーン氏は以前、次のように話していた

 「Googleが社内ツールであるBorgからKubernetesを生み出したとき、最もクローズドなものから最もオープンなものまで、4つの選択肢があった。第1に、Amazon Web Services(AWS)のAmazon EC2 Container Servicesのように、自社特有のクラウドサービスとして提供することができた。この場合、ユーザーはKubernetesを使いたかったら、料金を支払ってGoogleのサービスとして使う必要がある。第2に、Googleがコントロールするオープンソースプロジェクトにすることもできた。開発言語Goで、同社はこの方法を採用した。3番目はKubernetesだけのための場所として、ファウンデーションを作ることだ。しかし、彼らは4番目の、最もオープンなシナリオを選んだ。Kubernetesに加え、他のクラウドネイティブコンピューティングに関するプロジェクトをホストするファウンデーションだ」

 GoogleでKubernetesおよびAnthosのプロダクトマネジメント担当ディレクターを務めているアパーナ・シンハ(Aparna Sinha)氏は、Kubernetesの成功を、別の角度からも説明した。

GoogleのKubernetesおよびAnthosのプロダクトマネジメント担当ディレクター、アパーナ・シンハ氏

 「Kubernetesには、(Googleが社内で活用してきた)確かな技術的ベースがあった。エンジニアたちは、この技術が健全なものであることを確信できた。また、Kubernetesプロジェクトでは、早い時期にロードマップを明確にし、また、3カ月という(短期の)リリース間隔を設定して、これを達成し続けた。これにより、ユーザーに安心感を与えることができた。『今は全ての機能が備わっていないとしても、セキュリティや信頼性がどんどん向上していく』と確信を持つことができた。これは、一部のコンテナオーケストレーション技術と、大きく異なる点だったと思う」

 シンハ氏はさらに、オープンソースコミュニティーとして、多くのエンドユーザーと協力できたことが最も重要だったと話した。

 「eBayやNianticなどの早期ユーザーからは、非常に有益なフィードバックをもらった」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。