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» 2019年06月19日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(54):終身雇用崩壊時代の「働き方のグラデーション」 (3/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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終身雇用が崩壊しても大丈夫な働き方を目指すには?

 終身雇用が崩壊しても大丈夫な働き方を目指すには、幾つかの「要素」があります。

依存しないマインド

 1つ目は、「依存しないマインド」です。

 ここでいう、「依存しないマインド」とは、「会社に所属しない」ということではありません。いきなり独立するのは大変ですし、「自立が大切」とはいえ、人と人とが協力し合うからこそ、私たちは生きていけます。

 働き方の問題ではありません。「気持ちの問題」です。

 「会社が何とかしてくれる」「国が何とかしてくれる」のような、誰かや何かが変えてくれるのを「待つ」のではなく、「目の前の課題は自分で何とかする」というマインドです。

 私は36歳でフリーランスになったとき、「少子高齢化になったとき年金は期待できないだろうから、自分の食いぶちは自分で稼げるようになろう」と決めて、今まで取り組んできました。

 だからといって、すぐに結果が出たわけではありませんが(後述しますが、他の人より長くかかっていると思います)、「マインド」はその時から変わっていません。

 マインドなら、今からでも持つことができます。

一生懸命仕事に取り組む

 2つ目は、「今の仕事に一生懸命取り組むこと」です。

 私の周りには、複業をしている人やエンジニアが何人かいます。彼らには幾つかのパターンがあることが分かります。

 1つは、それが今の仕事か否かに関係なく、「好きなこと、得意なことを複業にしているタイプ」、もう1つは、「今の仕事で評価され、その延長で複業をしているタイプ」。

 好きなこと、得意なことなら、自然と一生懸命になるでしょうし、今の仕事に一生懸命に取り組んでいるからこそ、周りから評価されて、「一緒に仕事しませんか?」と声が掛かるようです。

 ちなみに私の場合は、サイボウズが「複業採用を始める」というタイミングで申し込みました。仕事内容は「得意なこと」でした。

 国も今後、副業、兼業を推進する方向ですし、複業の機会は今後増えてくると思います。気になる仕事や会社が複業をスタートしていないか、常日ごろからウォッチしておくことも大切かもしれません。

コミュニティーに所属する

 3つ目は、「コミュニティーに所属すること」です。

 ここでいう「コミュニティー」とは、「人とのつながり」のこと。最近、改めて「仕事というのは、人とのつながりの中で生まれるんだな」と実感しています。

 というのも、かつての私は、Webを中心に仕事を作ろうとしてきました。自分の考えや意見、スキル、経験などをネット上に書いて、知ってもらう。そして、仕事につなげる……このような行動で、仕事につながった数は少なくありません。この連載だってそうです。

 その反面、「人とのつながり」を軽く見てきました。ひょっとしたらIT業界には、私と同じようなタイプが意外と多いかもしれません。「人付き合いはあまり得意ではない」と。

 けれども最近、いろんな人との交流する中で、「今度、○○やりません?」とか、「今度、××をお願いしたい」などの話につながることが増えてきました。それで、「Webで知ってもらうことも大切だけれど、身近な人に知ってもらうことも大事だな」と思うようになってきたのです。

 この「人とのつながり」は、仕事に絡んだものだけではありません。地域の活動やPTAなどの活動に「めんどうくさい」と参加しない人が多いと聞きます。実は、私も去年までそうでした。

 でも参加してみると、そういう場所こそ「人とのつながりの宝庫」だということに気付きました。もちろん、「ITとか、得意なんでしょ?」と、何でもかんでもやらせようとする人も中にはいるので、付き合い方は気を付ける必要はあるかもしれません。でも、地域活動に限らず、そういう人はどこにでもいますよね。

 大切なのは、「出会いの機会を制限しない」こと。今は、できる範囲で顔を出すようにしています。

 スキルを身に付けることも大事ですが、それ以上に「人の縁」って意外と大事ですよ。

理想の働き方の構築は数年かかる。だから、今から始めよう

 私が終身雇用の環境から離れた(つまり、会社を辞めた)のは2007年。今の働き方に落ち着き、複数のコミュニティーに所属するまでに、おおよそ10年かかりました。

 私は自分を知ってもらう手段としてWebしか使ってこなかったり、人を巻き込むのが苦手だったりで、ここまで来るのに10年かかってしまいましたが、ビジネスの勘がいい人だったり、人付き合いが得意な人だったら、2〜3年で実現できる人も多いのではないかと思います。

 「いや、自分にはとても……」という人もいるかもしれません。でも新潟の中山間地で始めた私よりも、「仕事」や「縁」を作る環境という意味では、多くの人が条件の良いところにいると思います。

 ひと昔前は、このような働き方は、会社をイチかバチかで辞めてからでないとできませんでした。でも、複業が推進されはじめている今なら、そんな、イチかバチかのリスクを冒さなくても、経験を試験的に重ねることができます。今、複業できる環境が少なくても、いずれそうなります。

 終身雇用が崩壊したとき、会社「だけ」に依存していると、命綱である収入を「パツン」と切られることがあるかもしれません。だからといって、恐れているだけではいい気分で働けません。

 緩やかに着地しつつ、自分らしく働くためには、理想と現実の間を埋めるグラデーションが必要。その選択肢の一つが複業だと思います。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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