親会社の意向なので開発中止します。もちろんお金も払いません「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説(68)(1/4 ページ)

いやー、ごめんごめん。親会社から突然ストップがかかっちゃってさあ。うちら現場としてはやる気満々なんだけど。悪いけど、この話なかったことにしてくれる?

» 2019年07月08日 05時00分 公開

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「訴えてやる!」の前に読む IT訴訟 徹底解説

連載目次

 システム開発プロジェクトは、マラソンのようなものだ。

 本物のマラソンは、選手が1人でゴールを目指し、ペースを上げるも落とすも、あるいは体調に異常を来して途中でレースをやめてしまうも、全て本人が判断する。

 しかしシステム開発は、ユーザーとベンダーが協力してゴールを目指す「二人三脚」のようなものだ。どちらかが勝手にペースを変えたりレースをやめたりしてしまうわけにはいかない。

 ゴールを目指して一生懸命足を動かし続けているのに、一緒に走っているパートナーが突然足を止めたら、走り続ける選手は転ぶかもしれない。場合によっては大けがをすることもある。

 同様に、システムの完成を目指して一生懸命作業をしていたベンダーに、ユーザーが突然プロジェクトの中止を申し入れると、ベンダーは財務的な痛手を被ることがある。

 このとき、ユーザーとベンダーの間に正式な契約があれば、ベンダーはユーザーの一方的なプロジェクト中断を糾弾し、損害賠償の請求などを求めることができる。しかし、正式な合意がない場合は、どうなるのか。

 システム開発プロジェクトはしばしば、正式な契約を後回しにして作業を先行させてしまうことがある。そのプロジェクトが途中で頓挫してしまったら、ベンダーはユーザーに何らかの補償を求められるだろうか。

 IT訴訟事例を例にとり、トラブルの予防策と対処法を解説する本連載。今回取り上げるのは、ユーザー上層部の指示で開発が突然中止になった事件だ。

ずっと一緒に走っていくと思っていた(写真はイメージです acworksさんによる写真ACからの写真)
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