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» 2019年08月19日 05時00分 公開

特集:百花繚乱。令和のクラウド移行(10):800台の仮想マシンを短期にリフトし、クラウドシフトへの挑戦を早めるツムラ、5年分の試算で削減できたコストは?

多数の事例取材から企業ごとのクラウド移行プロジェクトの特色、移行の普遍的なポイントを抽出する本特集「百花繚乱。令和のクラウド移行」。ツムラの事例では、製薬業界ならではの選定ポイントや大容量データの移行におけるポイントを中心にお届けする。

[廣瀬治郎,@IT]

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ツムラ 情報技術部 ITリテラシー課 課長 池田圭子氏

 ヘルスケアビジネスは新たなプレイヤーの参入が多く競争も激化している。そんな中、改革を推進するためには最新のデジタル技術の活用が欠かせない。オンプレミスシステムを10年以上も刷新することなく使っていたツムラは2018年、オンプレミスからの脱却を図り、事業環境の変化に対応するインフラ基盤へと刷新するため、クラウドプラットフォームとパートナーの選定を行った。

 1194台も稼働する仮想マシンをいかにしてクラウドに移行し、どのような効果を得たのか――2019年6月に開催された「AWS Summit Tokyo 2019」に登壇したツムラ 情報技術部 ITリテラシー課 課長の池田圭子氏の講演内容から移行のポイントを探る。

10年来のオンプレミスシステムからの脱却

 ツムラは明治26年(1893年)に「津村順天堂」として創業、当初は婦人用の製薬製剤「中将湯」や同名の入浴剤などを販売した。「自然と健康を科学する」という経営理念の下、現在の中核製品である医療用漢方調剤の市場では80%以上のシェアを獲得しており、「漢方のツムラ」としてもよく知られている。2019年には「“漢方”のイノベーションによる新たな価値の創造 Next Stage」をテーマとした中期経営計画を策定し、日本の伝統医療である漢方製剤を安定的に供給するための改革を推進するとしている。

 同社のIT部門は、グループ各社の業務システムを一手に引き受けて、企画から導入、開発まで主導してきた。従前のオンプレミスシステムは10年以上も刷新することなく使われており、設計ポリシーもそのままだった。200以上の業務システムが存在し、開発/本番環境を合わせて1194台もの仮想サーバが稼働していたという。

 「安定性に不満はなかったのですが、将来的な最新のデジタル技術への期待に対し、現状のIT環境で対応できるかどうか懸念がありました」(池田氏)

 ヘルスケアビジネスは、新たなプレイヤーの参入も多く、決して安定的な事業分野とはいえない。競争が激化する中、中期計画にあるような改革を推進するためには、最新のデジタル技術の活用が欠かせない。

 そこでツムラでは、2017年末から2018年初頭にかけて、オンプレミスシステムからの脱却を図り、事業環境の変化に対応するインフラ基盤へと刷新するため、「コスト最適化」「スピード感のある柔軟なIT環境」「データの信頼性および安全性の確保」「法令順守」といった4つの要件を満たせるプラットフォームの選定を行った。

 この中で、特にポイントだったのが法令順守だった。デリケートなデータを取り扱う製薬業界では、データの信頼性を確保するためのガイドラインが定められている。これに対して例えばAmazon Web Services(AWS)は、2016年に「医薬品医療機器等法対象企業様向けAWS利用リファレンス」を公表し、ガイドラインへの対応を支援している。

 「当時は他のクラウド事業者に比べて、最新のデジタル技術を活用したサービスが豊富だったこともあり、AWSを採用しました」(池田氏)

なぜ、ツムラはAWSを採用したのか

800の仮想マシンを短期にクラウドへリフト

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