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» 2019年09月05日 05時00分 公開

イベントから学ぶ最新技術情報:グーグルのAI技術、2019年夏の最新情報 ― Google Cloud Next ’19 in Tokyo 基調講演2レポート

2019年現在、グーグルはAI分野でどんな技術やサービスを提供しているのか? Google Cloud Next ’19 in Tokyoの基調講演から、AIに関する部分を書き起こした。

[一色政彦,デジタルアドバンテージ]

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連載目次

 グーグル主催のイベント「Google Cloud Next ’19 in Tokyo」(全3日間の3日目)が8月1日に開催された。

 その基調講演2の一部では、特に注力している最先端テクノロジの分野の一つとしてAI(人工知能)が取り上げられた。本稿ではその内容を紹介する。以下は発表内容を独自に書き起こしたものである。

基調講演のAI関連部分の書き起こし

AIと機械学習

図1 Rajen Sheth(ラジェン・シェス)氏、Google Cloud AI、バイスプレジデント、プロダクトマネジメント 図1 Rajen Sheth(ラジェン・シェス)氏、Google Cloud AI、バイスプレジデント、プロダクトマネジメント

 少し挑発的な話から始めたいと思います。

 これからの5〜10年で、あらゆる企業の全ての方々が、AIを使って業務を変革していくことになります。同様の変革は、これまでに何度も起きています。例えば90年代半ばから全ての人が、インターネットを使って業務を変革してきました。こういった変革は、企業のサイズに関係なく、世界中で、もちろん日本でも起きていることです。これが、今度はAIによって巻き起こるのです。

 この変革の際に特に重要なのは、各組織における全ての方々、例えば企業の意思決定者から、エンジニア、ユーザーに至るまで、全ての人に対し、AIのパワーを提供しなければならないことです。

図2 AIのパワーを全ての人に 図2 AIのパワーを全ての人に

意思決定者向けのAIソリューション

 まずは、意思決定者から考えていきましょう。

図3 AIを企業の意思決定者のために 図3 AIを企業の意思決定者のために

 意思決定者にとって大切なのは、「ビジネスの成果が、AIを使うことでどう変わるのか」ということではないでしょうか。つまり、AIを活用して「競争優位性をどう保つのか」「ビジネスオペレーションをどう最適化するのか」という課題があるわけです。

 こういった課題に対して、グーグルは、(事前学習済みで完成された)すぐに使える3つのAIソリューションを、今年(2019年に)発表しました。

ソリューション: ドキュメント理解AI

図4 Document Understanding AIソリューション 図4 Document Understanding AIソリューション

 1つ目が、Document Understanding AI(ベータ版)です。これは、例えば請求書や契約書などのドキュメントを理解するのをAIによって補助することで、ビジネスプロセスをより効率的にするためのものです。

ソリューション: レコメンデーションAI

図5 Recommendations AIソリューション 図5 Recommendations AIソリューション

 2つ目は、リテール(小売業)向けのRecommendations AI(ベータ版)です。これは、パーソナライズされた体験(具体的には各消費者の購買動向にマッチしたお薦め商品の提示など)を、各小売業者の顧客(=消費者)に提供するためのものです。グーグルではこれまで、非常に大規模にレコメンデーション機能を提供してきており、その深い経験が生かされたソリューションとなっています。実際、このソリューションの利用者からは、「レコメンデーション(推奨)された品物は、売り上げが50%も伸びた」という声が寄せられています。

ソリューション: コンタクトセンターAI

図6 Contact Center AIソリューション 図6 Contact Center AIソリューション

 最後の3つ目が、Contact Center AI(ベータ版)です。これは、適切でシームレスなカスタマーサービスを顧客に提供するためのものです。それだけでなく、オペレーションの効率にもつながります。具体的には、簡単な質問に対する応答は自動化し、そうでない場合は人間のオペレーターにつなぎます。また、その人間オペレーターには、ナレッジを自動的に提供することで、応答を支援します。

 Contact Center AIは、大手事業者との統合が進んでおり、既にコンタクトセンター(=カスタマーセンター)市場の74%をカバーするまでになっています。ということは、このカンファレンス会場にいるほとんどの方は、これまで使ってきたコンタクトセンターを変えなくても、このContact Center AIを活用できるということです。

エンジニア向けのAIプラットフォーム&AIビルディングブロック

 次に、エンジニア/開発者について考えていきましょう。

図7 AIを開発する人のために 図7 AIを開発する人のために

 「AIを初めて使ってみよう」という人から、機械学習のエキスパートまで、全てのエンジニアを対象としたサービスを、グーグルは提供しています。ここでいうエンジニアとは、技術の最前線に立ち、非常に困難な課題に対して「新しい手法も活用しながら何とか解決していこう」と考える人たちのことです。

 そんな皆さんのニーズを理解するために、私たちグーグルは何年もかけてきました。そして今、最も高度なAIプラットフォーム&AIビルディングブロック(=サービス)を、エンジニアに向けて提供していると、グーグルは自信を持っています。

 具体的に、どう高度なのか。これについて、まずは、ハードウェアのチップの話から始めてみたいと思います。

ハードウェア: クラウドTPU

 グーグルは、クラウド上でCloud TPU(エッジデバイス向けにはEdge TPU)というTensorプロセッサTPU)を提供しています。このTPUを使った素晴らしい事例が幾つも出てきています。例えば、オンプレミス上で行っていた機械学習を、クラウドに移行してTPUを活用することで、作業完了までの時間が84%も速くなった、という事例があります。TPUは、あらゆるレベルのエンジニアに提供されており、最も高速なアクセラレータとして、多くの機械学習で活用されています。

 次に、ソフトウェアの話に移りたいと思います。

ソフトウェア: クラウドAIプラットフォーム

 今年、Google Cloud AI Platformを発表しました。

図8 Cloud AI Platformと、AI Hub/AutoML Tables/AutoML Video Intelligence 図8 Cloud AI Platformと、AI Hub/AutoML Tables/AutoML Video Intelligence

 Cloud AI Platformは、データサイエンティスト/AIエンジニア向けのエンドツーエンドな(=端から端まで、つまり全作業工程を担う)開発環境を提供しており、最近では下記のようなCloud AIビルディングブロック(=サービス)を新たに追加しました。

 AutoML(ベータ版)とは、名前の通り「自動(Auto)で機械学習(ML)」を行うためのもので、つまり皆さんのデータセットを使って独自の機械学習モデルを自動的に作成してくれるというわけです。特に、昨年発表したAutoML Visionは、コンピュータビジョンで高い価値を発揮しています。また、今年発表したAutoML Tablesは、組織内のデータから分析後のインサイト(洞察)を得るためにも役立ちます。

図9 AIビルディングブロック(AutoML Vision)のイメージ 図9 AIビルディングブロック(AutoML Vision)のイメージ

 どのようなデータが、これらのAIビルディングブロックの活用対象となるのでしょうか。最初に、ドキュメントについて見てみましょう。

AIビルディングブロック: Cloud Vision API

 ドキュメントは、全ての組織にとって一番重要なアセット(=資産)だと思います。

図10 Vision AIの特徴: OCR機能 図10 Vision AIの特徴: OCR機能

 既に多くの方々が活用しているVision AI(=既成のCloud Vision APIと、カスタムのAutoML Visionの、2種類のAIビルディングブロックが含まれるが、そのうちの「Cloud Vision API」)には、初めからOCR機能が備わっているのが特徴です。よって、「スキャンしたドキュメントの画像からテキストを抽出して、情報をデジタル化する」といったことがとても簡単に実現できます。

 しかも、このOCR機能がサポートする言語は、既に200カ国語を超えており、もちろん日本語にも対応しています。それに加えて、画像内にある「表」も自動的に検出し、高い精度で表データとして抽出することもできます。

AIビルディングブロック: AutoML Video と AutoML Vision

 次に重要なアセットとなるのが、動画写真でしょう。例えば製造ラインでの組み立て作業や、横断歩行の監視などでは、オブジェクトの検知トラッキングを行う必要があります。

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