連載
» 2019年09月10日 05時00分 公開

VMworld 2019:VMware、Pivotal買収の意図と今後 (1/2)

VMwareは2019年8月下旬に開催した年次イベント「VMworld 2019」で、前週に発表したPivotal Softwareの買収(まだ完了はしていない)について説明した。これは同社のこれまでの事業、そしてKubernetes戦略の枠内にも収まりきらない取り組みだ。同買収の文脈を追った。

[三木泉,@IT]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

 Pivotal Softwareの買収について、VMware プロダクト/サービス担当COO(最高執行責任者)のラグー・ラグラム氏はVMworld 2019で、「(VMwareが)開発者を助ける存在になる」と説明した。そこで、「将来VMwareは、『ITインフラベンダー』と形容されたくないほどに、開発者を直接助けたいと考えているのか」と聞くと、次のように答えた。

 「素晴らしいインフラベンダーであることに誇りを持っている。この活動を広げ、開発者のニーズにも応えたいと考えている。これによって(企業ITにおける)パズル全体を解けるようにする」

 ラグラム氏は次のようにも話した。

 「Pivotalは企業のソフトウェア開発で『5S』を強化する活動をしてきた。『Speed』『Scale』『Stability』『Security』『Savings』だ。全てVMwareの製品戦略と一致する。(買収後は)両社で、これらを推進していく」

 企業におけるIT課題は、ITインフラ面に留まらない。ソフトウェア開発の強化がますます多くの企業にとって重要なテーマになりつつある。ラグラム氏のいう「パズル全体」とは、「企業におけるIT課題の全て」という意味であり、これを踏まえるとVMwareは(Carbon Black買収も含め、)実質的に「企業IT課題の解決ベンダー」を指向しているとも表現できる。

 VMware CEOのパット・ゲルシンガー氏はPivotal(およびCarbon Black)の買収につき、今回のVMworldで複数回、「ビジョンは示した。今後は実行が大事だ」と述べ、同社が従来の枠から踏み出して、さらに幅広い企業ITニーズに応えるベンダーになることについての覚悟を示した。

 では、なぜ今、Pivotal買収なのか。これについて複数のVMware幹部は、過去約1年におけるPivotalの動きを挙げた。

 Pivotalは2018年以降、オープンソースプロジェクト「Cloud Foundry」に基づくPaaS製品「Pivotal Application Service」で、これまでのコンテナオーケストレーションエンジン(Diego)からKubernetesへの移行を進めている。同社は2019年7月、これまでの取り組みをベースに、「Pivotal Application Service on Kubernetes」のα版を発表した。他にも2018年11月以降、KubernetesベースのFaaS製品「Pivotal Function Service」、Cloud-Native Buildpacksプロジェクトに基づくコンテナイメージ作成自動化の「Pivotal Build Service」、サービスメッシュの「Pivotal Service Mesh」、メッセージブローカーRabbitMQのKubernetes上での利用を自動化する「RabbitMQ on Kubernetes」などを発表、自社製品のKubernetes対応を具体化している。

 Cloud Foundryは以前、Kubernetesとは実質的に競合する部分があった。その後Cloud FoundryプロジェクトがKubernetesの上で自らの機能を提供すべく位置付けを変え、Pivotalも正式に自社のPaaS関連製品群をKubernetesベースにシフトしつつある。

 「PivotalのKubernetes対応に向けた動きがなかったとしたら、Cloud FoundryとKubernetesの間の緊張関係から、一緒にうまくやることは難しかっただろう」と、Heptioの買収に伴いVMwareに移籍した、現クラウドネイティブアプリケーション マーケティング担当シニアディレクター、スコット・ブキャナン氏は話す。

Heptio買収は「防衛的」で、Pivotal買収は「攻撃的」?

 一応、PivotalはVMwareの「Kubernetes戦略」に組み込まれることになる。VMwareが今回発表したKubernetes関連製品群のブランド「VMware Tanzu」では、「Build(モダンアプリケーションの構築)」を担うものとしてマッピングされている。また、Pivotalが提供してきたツールの一部は、運用管理を担う新製品群「VMware Tanzu Mission Control」に組み込まれることになっている。

Pivotalの活動や製品は、主にTanzuの「Build」部分に組み込まれることになる

 そこで、Pivotalの買収を含めた今回のVMworldでの発表は、「防衛的」なものだと表現する人がいる。「開発チームはKubernetes環境を求めている。企業のIT運用担当部署は、VMware vSphereを提供しているだけではこうした人たちから評価されない。この文脈では、VMwareの顧客企業におけるvSphereの価値は将来に向けて低減していくわけで、VMwareは自らのビジネスを守るために、Kubernetesへの取り組みを強化していかざるを得ない」という捉え方だ。

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。