PL/SQLの例外処理(後編)超入門「PL/SQL」(9)(2/2 ページ)

» 2019年09月18日 05時00分 公開
[小笠原宏幸@IT]
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例外処理について考慮しなければならないこと

 ここまで3種類の例外について見てきました。最後に、例外処理に関する考慮事項を3つ解説します。

PL/SQLブロックのネスト

 例外が発生すると制御は例外処理部に移動し、例外処理が終わるとそのPL/SQLブロックは(実行部に戻ることなく)終了します。

 そのため、ある処理の途中で例外が発生した場合、それ以降の処理は実行されません。これを防ぐためには、PL/SQLブロックにネスト(ブロック内にブロックを埋め込むこと)を適用します。

 では、PL/SQLブロックにネストがないサンプルプログラムを見て、何が起こるのか確かめてみましょう。

SQL> DECLARE
       err EXCEPTION;
       CURSOR dept_cur IS SELECT * FROM dept;
     BEGIN
       FOR dept_rec IN dept_cur LOOP
           IF dept_rec.deptno = 30
             THEN RAISE err;
           ELSE null;
           END IF;
         DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(dept_rec.deptno);
       END LOOP;
     EXCEPTION
       WHEN err THEN DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('値は無効');
     END;
     /
10
20
値は無効
PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。

 このプログラムはDEPT表のDEPTNO列の値(10、20、30、40を格納済み)をカーソルFORループによって順番に変数へ代入しています。値が30の場合は例外処理に飛び、その他の値の場合はDBMS_OUT.PUT_LINEで変数の値を画面上に表示します。

 ループ処理の1回目に変数に代入される値は10、2回目は20のため、DBMS_OUT.PUT_LINEにより変数内の値を表示します。

 3回目の値が30のため、IF文内でRAISE文を実行し、例外処理部に移動して例外処理(DBMS_OUT.PUT_LINEにより「値は無効」と表示)を実行します。WHEN句の次行の記述が「END」のため、このままPL/SQLブロックが終了してしまい、値40を処理することはありません。

図1 PL/SQLブロックにネストがない場合の処理の流れ

 例外処理によって処理が途中で終了してしまうことを防ぐには、例外処理部を含むPL/SQLブロックにネストを作ります。では、修正版のサンプルプログラムを見てみましょう。

SQL> DECLARE
       err EXCEPTION;
       CURSOR dept_cur IS SELECT * FROM dept;
     BEGIN
       FOR dept_rec IN dept_cur LOOP
         BEGIN
             IF dept_rec.deptno = 30
               THEN RAISE err;
             ELSE null;
             END IF;
           DBMS_OUTPUT.PUT_LINE(dept_rec.deptno);
         EXCEPTION
           WHEN err THEN DBMS_OUTPUT.PUT_LINE('値は無効');
         END;
       END LOOP;
     END;
     /
10
20
値は無効
40
PL/SQLプロシージャが正常に完了しました。

 修正点は例外処理部を含むPL/SQLブロックにネストを適用して、そのブロックをLOOP文で囲んだことです。このようにすれば、例外処理部で例外に対処した後、外側にあるPL/SQLブロックの「END LOOP」により「LOOP」に戻り、再度ネストを適用したPL/SQLブロックで処理を継続できます。

図2 PL/SQLブロックにネストを適用した場合の処理の流れ

制御の移動

 例外が発生した箇所によって制御の移動先は異なります。

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