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» 2019年11月01日 10時00分 公開

「2025年の崖」の真意と、“正しい危機感”の抱き方:経産省「DXリポート」の読み解き方

2019年7月17日に「Dell technologies Cloud Executive Summit 2019」が開催された。本セミナーでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)をテーマに、テクノロジーを活用してビジネス変革を行うための指針として、基調講演および特別講演ではエンドユーザーによる取り組み事例の紹介、そして協賛のクラウドサービスプロバイダー各社より、ITアウトソーシングサービスによる人材活用の最適化、アジャイル開発支援サービス、またマルチクラウドソリューションについて具体的なソリューションを案内した。メインとなるパネルディスカッションでは、アイティメディア編集長の内野氏をモデレーターに、経済産業省 商務情報政 策局 和泉氏と、Dell Technologies システムズエンジニアリング統括本部長の飯塚が意見を交わした。

[PR/@IT]

DX推進の課題は、人材の育成を進め、サイクルを早めること

内野 DXという言葉は浸透したものの、「AIやIoTといった最新技術の導入」などと短絡的に解釈されがちです。あらためてお伺いしますが、DXとは結局何なのでしょうか。

経済産業省
商務情報政策局 情報産業課 企画官
和泉憲明氏

和泉 今までの企業におけるITの役割は、主にバックオフィスのルーティンワークの効率化でした。もちろん今後も不可欠であり重要なのですが、それだけでは限界があります。

 社会に新たな価値を提供して成長していくために、デジタル技術を駆使してビジネスに変革を起こすことがDXです。

 現状ではIT投資の8〜9割が既存システムの維持管理に費やされています。そこを圧縮し、成長領域へのIT投資を増やすよう企業を後押ししていくことが、国としてのディレクションであると考えています。

飯塚 おっしゃる通り、今ある業務の効率化に加え、新しいビジネスをITでいかに生み出すことに主眼を置くのかがポイントです。

和泉 あくまでもゴールはビジネスの変革であり、ITはその道具です。AIなど最新技術の導入が目的化してしまったら本末転倒です。

 例えばインフラ刷新の場合、単に維持管理コスト削減の目的だけでなく、インフラがビジネス変革の足かせになっているなら早急に人とお金を投入して刷新しよう、といった判断を経営者ができるかどうかもDX推進では重要でしょう。

内野 DX推進の課題には、他にビジネスとITの分断もありますよね。

飯塚 はい。特に人材面において、「ビジネスを知らないITの人」と「ITを知らないビジネスの人」の問題が浮き彫りになっています。両方の視点を備えた人材の育成を進めつつ、その一方でITのプロとビジネスのプロが一体となり、アジャイル的にサイクルを素早くすることで、DXを推進しビジネスを変革します。

既存システムを可視化してこそ、はじめてDXに取り組める

内野 企業のDX実践のヒントとなるような事例をご紹介いただけますか。

和泉 米国航空会社では、顧客が搭乗する前、空港のフードコートに食べ物を注文しておき、座席までデリバリーされるシステムを提供しています。顧客は幅広いメニューから好きなものを選べて、熱々の状態でおいしく食べられます。一方、フードコートからデリバリーできるようになった結果、機内食を加熱保温する設備が不要となり、機体の軽量化につながりました。航空会社の経営効率化には、燃料費などの関係で機体の軽量化が最も近道です。このように航空会社はITによって顧客サービス向上と経営効率化を同時に果たしました。まさにDXですね。

内野 そのシステムはいわば、既存の仕組みの組み合わせを少し変えて、ITでつないで、ビジネスを変革したと言えますよね。これは大きなヒントではないでしょうか。そういった発想ができるようになるには、何が必要とお考えですか。

Dell Technologies(EMCジャパン)
常務執行役員 システムズエンジニアリング統括本部長
飯塚力哉

飯塚 先ほどの繰り返しになりますが、自社のシステムおよびビジネスを深く理解する力を身に付けることが肝要です。DXを実践している海外企業にシステムを内製化しているところが多い理由もそこにあります。システムを外部に丸投げしていては理解できず、DXはいつまでたっても進みません。

内野 丸投げはブラックボックス化という弊害もありますよね。

飯塚 はい。自社システムを可視化し、必要なものと不要なものを自ら判断できるようになることも重要と考えています。既存システムを可視化してこそ、はじめてDXに取り組めるのです。

和泉 既存システムを可視化した上で、DXレポートに提示したように、「機能分割、刷新」「機能追加」「機能縮小、廃棄」「現状維持すべきもの」を切り分けます。その判断は外注先でないのは無論、自社のIT部門に任せきりにするのではなく、経営者が自ら行うべきです。

アイティメディア
プロフェッショナルメディア事業本部 編集局 IT編集 統括部 統括編集長
内野宏信

内野 新しいビジネスに取り組むには、現実問題として既存のビジネス、つまり既存システムを止めてはいけないことが企業には強く求められます。

飯塚 現在はシステムを止めずに刷新する技術が確立されていますが、それでもリスクを感じるIT部門の方々が多くいらっしゃいます。大切なのは、そもそも何のために刷新するかということを認識し直すことです。一定期間止めてでも短期間で一気に行うのか、それとも止めずに中長期間かけてゆっくり行うのか、経営者が判断することだと考えています。

 刷新に伴うリスクをIT部門だけが背負うのではなく、経営者と共有して同じ目標を目指すことも欠かせませんね。

和泉 止める、止めないだけでなく、例えばシステム刷新によって業務プロセスが変わるなら、経営者が刷新を判断し、かつ、率先して現場の理解を得るなど、正しいリスクテイクを行いたいですね。

異業種パートナーとの交流、協力関係の確立が非常に重要に

内野 最後に、今後IT人材はどうあるべきか、お考えをお聞かせください。

飯塚 そうですね、IT人材に限った話ではありませんが、既存のアイデアの足し算でビジネス変革を起こすという意味においても、これからは今までビジネスで接点がなかった異業種パートナーとの交流、協力関係の確立が非常に重要になると思います。

和泉 ITをはじめ武器となる道具、協力関係によってビジネスをアップグレードし、競争優位性を高めていくことを、他社依存ではなく、自社で能動的に取り組める企業が増えることを大いに期待しています。

内野 本日はありがとうございました。

Dell Technologiesでは、デジタル変革を実現するためのインフラとして、Dell Technologies Cloud(DTC)ソリューションを提供しています。さらに、多くのクラウドサービスプロバイダーと密接にパートナー提供をすることで、オフプレミスやパブリッククラウドへの拡張性及び統合管理、アプリケーション層に渡るマネージドサービスなど、お客さまのご要望に応じた最適な環境とサービスを提供いたします。



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提供:Dell Technologies(デル株式会社/EMCジャパン株式会社)
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2019年11月30日

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