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» 2019年12月23日 05時00分 公開

羽ばたけ!ネットワークエンジニア(23):5Gのメリットは「シンプルな使い方」で引き出そう! (1/2)

携帯大手による5Gの実証実験や5G機器ベンダー主導のローカル5Gの実験があちこちで行われている。スマートファクトリーだの、遠隔医療だの、なんてややこしい使い方をするのだろうと、思ってしまう。5Gのメリットはもっと素直な使い方で得られるはずだ。

[松田次博,@IT]

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連載:羽ばたけ!ネットワークエンジニア

 「5Gでデジタルトランスフォーメーション(DX)を実現!」という旗印の下、スマートファクトリーや建設機械の遠隔操作など、どの携帯大手も似たようなユースケースで実験を繰り広げている。企業ネットワークの立場から見ると、これほど複雑な使い方をしなくてもよい。5Gを「新しい超高速モバイル回線」と捉えれば、もっと簡単に多くの場所でメリットを引き出すことができる。

 今回は企業ネットワークにおける幾つかの用途と注意すべき点について述べたい(関連記事)。

トラフィックの一時的急増に対処する

 LTEが5Gになると理論的な最大速度は10Gbps以上になる。さまざまな条件により、実際の速度がその10分の1の1Gbpsであったとしても、「フレッツ 光ネクスト(フレッツ)」よりはるかに速いことになる。図1のようにWindows Updateなどで一時的にトラフィックが急増するときは、フレッツと5Gを使って負荷分散することでオンライン業務の遅延やタイムアウトを起こさないようにできるだろう。

 なお、5Gを店舗やオフィスで使う場合、フレッツ対応のルーターと5G対応のルーターを分けた方がよい。その理由は後述する。

図1 トラフィックの一時的な急増に対処する構成(Windows Updateなどで役立つ)

 5Gがもたらす広帯域を効果的に負荷分散で生かすには、古いルーティング設計の手法では不十分だ。例えば、フレッツを普段はメイン回線に使い、メイン回線が不通になったら5Gに切り替える、といった設計は単純だ。

 しかし、フレッツと5Gで負荷分散するとなると、何を契機に負荷分散を始めるのか、フレッツと5Gにトラフィックをどのような方法で分けるのか、負荷分散している状態からメイン回線だけの状態に戻すきっかけをどうするか、といった仕様を決め、実装する必要がある。

 これはルーティング設計の範囲を超えている。トラフィックを監視、制御する仕組みを作らねばならない。AIなどを応用したネットワーク制御可能な製品やサービスの登場に期待したい。

快適なビデオコミュニケーションを実現する

 手軽に使えて高品質なクラウド型ビデオ会議サービスが増えており、各企業でビデオ会議を利用する頻度が数年前と比較して格段に多くなった。筆者の運用するネットワークで閉域モバイル網を使っている企業を見ると、特にモバイルでの利用が多い。上位の役職の社員は事業所間の移動や出張が多く、LTEのSIMカードを内蔵したPCでビデオ会議に参加することが多いのだという。

 LTEが5Gに変わればさらに広帯域、低遅延になり、ビデオ会議の品質は向上する。モバイル利用だけではなく、中小規模のオフィスでのビデオ会議も改善される。フレッツのような限られた帯域の回線のみを使っているオフィスでビデオ会議を始めると、帯域不足で映像が乱れたり音声が途切れたりする。ビデオ会議のトラフィックのために、他のオンライン業務の通信が圧迫されて遅くなることもある。帯域を増やすためにフレッツより広帯域を求めて固定回線を引くと月額料金が1桁高くなるので現実的ではない。

 こんなとき、図2に示した中小規模オフィスのようにビデオ会議を固定回線と独立させて5Gで使えばよい。テレワークだからモバイルを使うのではなく、固定した場所でビデオ会議を使う場合でも5Gでつないだ方がよいのだ。有線LANに接続しないため、ビデオ会議の機材をオフィス内で移動して使うことも容易になる。

図2 快適なビデオコミュニケーションを実現する5G
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