【 dnf 】コマンド(応用編その1)――ソフトウェア(パッケージ)を探すLinux基本コマンドTips(369)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、「dnf」コマンドでソフトウェア(パッケージ)を検索する方法です。

» 2020年01月10日 05時00分 公開
[西村めぐみ@IT]

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 本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、基礎編に続き、「dnf」コマンドでソフトウェア(パッケージ)を検索する方法です。

dnfコマンドとは?

 「dnf」は、Red Hat系のLinuxディストリビューションで使われている“RPMパッケージ”を扱うためのパッケージ管理コマンドです。ソフトウェアのインストール(install)や更新(update)、アンインストール(remove)の際に利用します。

 CentOS 7が採用している「yum」の後継となるコマンドという位置付けで、yumと同じサブコマンド、オプションを使用可能です(※1)。パッケージ管理システム「RPM」と「Yum」について、さらに「RPMデータベース」や「リポジトリ」という用語については、連載第42回を参照してください。

※1 CentOS 8では/usr/bin/dnfと/usr/bin/yumはともに/usr/bin/dnf-3へのシンボリックリンクとなっている。/usr/bin/dnf-3の実態はPythonスクリプト。なお、dnfのオプションのうち、従来の「yum」コマンドから廃止されたものはChanges in DNF CLI compared to YUM(外部サイト)で確認可能。





コマンドの書式

dnf [オプション] コマンド [パッケージ名など]

※ [ ]は省略可能な引数を示しています。

※パッケージ名には「?」記号(任意の1文字)や「*」記号を使用可能

※長いオプションはコマンドラインの最後に指定することも可能




dnfの主なオプション

短いオプション 長いオプション 意味
-y --assumeyes 全ての問い合わせに対して「yes」を選択したと見なして実行する
--assumeno 全ての問い合わせに対して「no」を選択したと見なして実行する
-C --cacheonly パッケージの情報を全くダウンロードせずに、キャッシュだけを使用する
--refresh コマンド実行前にパッケージ情報のキャッシュを強制的に更新する(※2)
-R 分 --randomwait=分 最大待ち時間(分)を指定する
-c 構成ファイル名 --config=構成ファイル名 構成ファイルを指定する
--enablerepo リポジトリID 指定したリポジトリを有効にする
--disablerepo リポジトリID 指定したリポジトリを無効にする
--repo リポジトリID 指定したリポジトリだけを有効にする(複数ある場合は「--repo」「--repoid」を複数回使用する)
--repoid リポジトリID --repoと同じ
--nodocs ドキュメントをインストールしない
--allowerasing 依存関係を解決するためにインストール済みパッケージの削除を許可する
--installroot=場所 インストール先を指定する
--downloaddir=場所 ダウンロード先を指定する
--downloadonly ファイルのダウンロードだけを行う
-x パッケージ名 --exclude=パッケージ名 除外するパッケージを指定する
--showduplicates dnfのサブコマンド「info」「search」で重複しているものも表示する
--color=指定 出力メッセージを色付きにするかどうかを「always」「auto」「never」のいずれかで指定する
-q --quiet 実行時にメッセージを出力しない
-v --verbose 詳しいメッセージを出力する

※2 通常、キャッシュが古い場合は自動更新がかかる。更新までの残り時間は/etc/dnf/dnf.confの「metadata_expire」で変更可能。デフォルトは48時間。



dnfの主なコマンド(パッケージ操作関係)

コマンド 実行内容
install 指定したパッケージに加え、依存関係があるパッケージもインストールする(既にインストールされていた場合は更新する)
reinstall パッケージを再インストールする
downgrade パッケージを以前のバージョンのものにダウングレードする
remove パッケージを依存関係のあるパッケージとともに削除する
autoremove 依存関係のためにインストールされていた不要なパッケージを削除する
upgrade パッケージを更新する(※3)
upgrade-minimal 不具合の修正や機能追加、セキュリティ対応など「重要な更新」だけを更新する(※3)
distro-sync 最新の利用可能なバージョンへインストール済みパッケージを同期する
mark install 指定したパッケージを手動でインストールしたものとする(autoremoveの対象外となることが利点、「dnf mark remove パッケージ名」でマークを削除)

※3 パッケージを指定しなかった場合はインストール済みの全パッケージが対象となる。



dnfの主なコマンド(情報関係)

コマンド 実行内容
info パッケージの情報を表示する(「--installed」「--upgrade」などのオプションが使用可能(本文を参照))
list パッケージを一覧表示する(「--installed」「--upgrade」などのオプションが使用可能、(本文を参照))
deplist パッケージの依存性の一覧を表示する
group パッケージグループのサマリーを表示する(※4)
search 指定した文字列でパッケージの詳細を検索する(本文を参照
repoquery キーワードに一致するパッケージを検索する(※5、連載第370回参照)
provides ファイル名などを指定して、該当するファイルを提供するパッケージを検索する
repolist ソフトウェアリポジトリの構成を表示する

※4 サブコマンドとして「list」「info」「remove」「install」「upgrade」「summary」「mark」を使用可能。「dnf group list」のように使用する。デフォルトはsummaryで、インストール済みのグループの個数やインストール可能なグループの個数を表示する。
※5 例えば「dnf repoquery --requires パッケージ名」で指定したパッケージが依存するパッケージを表示する。



dnfの主なコマンド(メンテナンス関係/その他)

コマンド 実行内容
makecache パッケージリストを格納したデータベース(リポジトリのメタデータ)をダウンロードし、キャッシュを作成/更新する
check ローカルのパッケージデータベースに問題がないかどうか確認する
check-update 更新に利用できるパッケージを確認する
clean キャッシュデータを削除する
shell 対話型のシェル(DNFシェル)を実行する
updateinfo リポジトリの更新情報を表示する
history パッケージのインストールや削除の履歴を表示する


パッケージを探す

 「dnf search 文字列」で、指定した文字列が名前や概要(パッケージの内容を説明する短文)に含まれているパッケージを一覧表示します。なお、パッケージを検索する際、root権限は必要ありません(listとinfoでも不要)。

 このコマンドを実行する際、既にダウンロード済みのパッケージリストを使用します。リストを最新版に更新してから検索したい場合は「--refresh」オプションを使用します(画面1)。

コマンド実行例

dnf search 文字列

(指定した文字列が名前や概要に含まれているパッケージを一覧表示する)

dnf search mysql

(「mysql」が名前や概要に含まれているパッケージを一覧表示する)

dnf search mysql --refresh

(キャッシュを更新してからパッケージを検索する)


画面1 画面1 指定した文字列でパッケージを検索したところ


パッケージを一覧表示する

 「dnf list パッケージ名」で、指定した名前のパッケージを表示します。パッケージ名には「*」記号や「?」記号を使用できます。パッケージ名を指定しなかった場合は、使用できる全てのパッケージを表示します。

 インストール済みのパッケージだけを対象としたい場合は、「--installed」オプションを指定します。この他、以下のオプションが使用できます(dnfのlistコマンドとinfoコマンドで使用可能なオプション)。

長いオプション 意味
--all 全てのパッケージを表示する
--installed インストールされているパッケージを表示する
--available 利用可能なパッケージを表示する
--extras インストールされているがリポジトリには含まれていないパッケージを表示する
--obsoletes インストールされているがリポジトリでは廃止(obsoleted)となっているパッケージを表示する
--recent リポジトリに新しく追加されたパッケージを表示する
--upgrades インストールされているパッケージのうち、新しいバージョンが公開されているパッケージを表示する
--autoremove 依存関係のためインストールされているが現在は不要となっているパッケージを表示する(dnf autoremoveで削除可能、※6)

※6 「--autoremove」指定時は引数にパッケージ名を指定できない。



コマンド実行例

dnf list パッケージ名

(指定した名前のパッケージを一覧表示する)

dnf list "zsh"

(zshという名前のパッケージを一覧表示する)

dnf list "*sh"

(名前の末尾が"sh"であるパッケージを一覧表示する)

dnf list "*sh" --installed

(名前の末尾が"sh"で、インストール済みのパッケージを一覧表示する)

dnf list installed

(インストール済みのパッケージを一覧表示する)


 画面2ではまず名前に文字列「zsh」を含むパッケージを表示し、次に「*sh」というパターンを含むパッケージのうち、インストール済みのものを表示しています。

画面2 画面2 指定した名前のパッケージを一覧表示したところ


パッケージの情報を表示する

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