連載
» 2020年01月22日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(61):早期退職に向いている人、いない人 (4/4)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
前のページへ 1|2|3|4       

起業するなら、綿密な準備を

 読者の中には、「私は早期退職をしたら、やりたいことをします。転職はしないので、市場評価がどうかは関係ありません」という人もいるでしょう。

 「早期退職をしたら、上乗せしてもらった退職金を元手に、地方でカフェをやりたい」といった夢を描いている人がそうです。この場合は確かに、労働市場での評価はあまり関係ないかもしれません。

 夢を描くことはすばらしい。でも、商いは口で言うほど簡単ではありません。カフェならば、店を開くまでは簡単だけれど、お客さんに来ていただき、経営を継続するのは本当に難しい……。

 商品のこと、マーケティングのこと、お金のこと――商いには試行錯誤が必要です。イチかバチかで始めるのではなく、多少ケガをしても大丈夫なぐらいのスモールスタートから始められるといいんですけどね。

 私は、イチかバチかで会社を辞めて起業したタイプです。ホント、大変でした。「夢を描いて起業するのもいいけれど、大きなケガだけは気を付けてね。準備はちゃんとしてね」と、心の底から祈る気持ちです。

早期希望退職者を募る企業の人たちへ

 「終身雇用は難しい」と言われるようになった今の時代、人員構成や給与配分を見直すのは、ある意味必然です。社員を雇用できるのは会社の利益が出てこそ、健全な経営ができてこそです。

 けれども、採用時は「うちの会社は大きいから安心だよ」(私が最初の会社に入った自動車会社で実際に言われた言葉です)と言っておきながら、都合が悪くなったら「君たちベテラン世代は、仕事の割に給与が高過ぎるので、できれば辞めてもらえませんか?」というのは、ちょっと乱暴なやり方ではありませんか?

 そう言いたくなる気持ちも分かります。年齢を重ねれば体力はなくなるし、頭も固くなります。新しいことにチャレンジしようとする気力もないように見えるかもしれません。でも、給与は高い……。「お前ら、給料だけ高くて、何もしないじゃないか」と。

 しかも、逆ピラミッドの今の人口構造上、企業には私のようなベテラン世代が多いのですから。

 確かに、早期希望退職者を募ってベテラン世代を辞めさせることによって、会社はスッキリするかもしれない。だけど、彼らだって会社のために今まで一生懸命働いてきたのです。そうは見えないかもしれないけれど……。

 でも、そう見えなくしたのは、そのように育ててきた会社の人たちの責任でもあります。「退職金はたくさん払うので、それで勘弁してください。さようなら」と、いきなり辞めさせるだけではなく、もうちょっと違ったやり方もあるのではないかと思うのです。

 例えば「複業OK」にして、次のキャリアの支援をする。そうすれば、社員は「パツン」と退路を断たれるのとは違う形で、次のキャリアへと緩やかに移行できます。

 先行きが不透明なこれからの時代は、若いうちから「会社に依存させる」「忠誠を誓わせる」ことよりも、「自立」を促すことが大切でしょう。「自立」というと「せっかく育てた社員が社外に出て行ってしまうのではないか」と不安になるかもしれません。でも、「依存した個人」が集まっている会社よりも、「自立した個人」が集まっている会社の方が組織力は高まるでしょう。ベテラン世代も、もっと自分のキャリアを考えるはずです。

 もちろん、これらを実践するのは面倒でしょう。退職してもらった方が楽かもしれません。けれども、社員のキャリアを考え成長を支援することこそが、会社も成長してくために必要な行動だと思うのです。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


前のページへ 1|2|3|4       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。