Microsoft、共有クラウドブロックストレージ「Azure Shared Disks」のプレビュー版を発表もはやローカルにSANは不要なのか

Microsoftは、業界初をうたう共有クラウドブロックストレージ「Azure Shared Disks」の限定プレビュー版を発表した。オンプレミスのSAN(Storage Area Network)で実行されている既存のブロックストレージワークロードをクラウドへ移行する際に役立つという。

» 2020年02月18日 10時00分 公開
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 Microsoftは2020年2月13日(米国時間)、業界初をうたう共有クラウドブロックストレージ「Azure Shared Disks」の限定プレビュー版を発表した。

 Azure Shared Disksは、オンプレミスのSAN(Storage Area Network)で実行されている既存のブロックストレージワークロードをクラウドへ移行する際に役立つと、Microsoftは述べている。

 こうしたブロックストレージワークロードには、極めて要求の厳しいエンタープライズアプリケーションも含まれる。例えばクラスタデータベースや並列ファイルシステム、永続コンテナ、機械学習(ML)アプリケーションなどだ。

 Azure Shared Disksを利用すれば、ユーザーはレイテンシに敏感なワークロードを、高速フェイルオーバーや高可用性を実現するデプロイパターンについて妥協することなく、実行できるという。こうしたワークロードには、WindowsやLinuxベースのクラスタファイルシステムに対応したアプリケーションが含まれる。Linuxベースのクラスタファイルシステムでは「Global File System 2」(GFS2)などが利用できる。

 Azure Shared Disksを使用することで、Windows Server(サポートが終了したWindows Server 2008を含む)で動作するクラスタ環境を柔軟に「Microsoft Azure」に移行できる。この他にもWindows Serverで動作するSQL Serverフェイルオーバークラスタインスタンス(FCI)やスケールアウトファイルサーバ(SoFS)、リモートデスクトップサーバ(RDS)、SAP ASCS/SCSをサポートする。

 Azure Shared Disksの限定プレビュー版を使用するには、所定のWebフォームから申し込む必要がある。

Azure Shared Disksをどのように利用するのか

 Azure Shared Disksを採用すると、現在クラスタ環境で動作しているアプリケーションについて、一貫した使用体験を享受できる。

 具体的には、SCSI Persistent Reservations(PR)を利用しているアプリケーションは、PRコマンドセットを使って、クラスタ内のノードをディスクに登録できる。

 さらに、1つ以上のノードについて、サポートされている幅広いアクセスモードのいずれかを選択し、ディスクへの読み書きを実行できる。これらのアプリケーションは、耐久性が保証されたAzure Diskを利用して、高可用性構成でデプロイできる。

 次の図は、一方のノードから他方のノードへのフェイルオーバーが可能な2ノードクラスタデータベースの例を示している。

2ノードクラスタデータベースアプリケーションの例(出典:Microsoft
  1. Azure VM1とAzure VM2の両方で実行されているクラスタ化されたアプリケーションが、図中央下に描かれたディスクに対するI/Oの目的を登録する
  2. Azure VM1上のアプリケーションインスタンスが、ディスクへの排他的な書き込み予約を行う
  3. 予約がAzure Diskに適用されて、データベースがディスクに排他的な書き込みを実行できるようになる。このとき、Azure VM2上のアプリケーションインスタンスからの書き込みは成功しない
  4. Azure VM1上のアプリケーションインスタンスがダウンした場合、Azure VM2上のインスタンスがデータベースのフェイルオーバーとディスクアクセスの継続を開始できる(切り替え予約)
  5. 切り替え予約がAzure Diskに適用されて、Azure VM1上のアプリケーションからの書き込みを受け付けなくなる。Azure VM2上のアプリケーションからの書き込みのみを受け付ける
  6. クラスタ化されたアプリケーションは、データベースのフェイルオーバーを完了し、Azure VM2からのリクエストを処理できる

 次の図は、機械学習モデルのトレーニングなど、ディスクからデータを読み込み、並列ジョブ(MLモデルのトレーニングのような)を実行する複数のノードで構成される、一般的なワークロードを示している。

複数のリーダーを持つnノードクラスタ(出典:Microsoft
  1. アプリケーションが全ての仮想マシンをディスクに登録する
  2. 他の仮想マシンがディスクから読み込んでいる間、Azure VM1上のアプリケーションインスタンスが排他的書き込み予約を実行する
  3. 予約がAzure Diskに適用される
  4. これで、クラスタ内の全てのノードがディスクから読み出し可能になる。ただし、1つのノードのみが結果をディスクに書き込み可能になった

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