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» 2020年02月19日 05時00分 公開

仕事が「つまんない」ままでいいの?(62):予測不可能なVUCA時代に「将来のキャリアが描けず不安」と悩んだら? (3/3)

[竹内義晴(特定非営利活動法人しごとのみらい),@IT]
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CanとMustの重なりが増えると、Willが見えてくる

 CanとMustの重なりを増やしていくと、Willが見えてくることもあります。

 ここで、私の体験をお話させてください。ちょうど35歳前後で、現在のビジョンを見いだしたときの話です。

 私は今、しごとのみらいというNPO法人を経営しています。しごとのみらいのテーマは「もっと『楽しく!』しごとをしよう。」で、ビジョンは「楽しくはたらく人や会社を増やす」です。コミュニケーションが良くとれ、働きやすい会社にするための企業研修や講演、個人相談などを行っています。

 このテーマやビジョンは、もともと描いていたものではありませんでした。というより、コミュニケーションとか、働きやすい会社といったことに、以前は関心すらありませんでした。ではなぜ、このようなテーマやビジョンを描くことになったのか……。

 2005年ごろ、私はIT業界で中間管理職をしていました。当時の職場は人間関係がギスギスしているストレスの多い環境でした。というより私自身、心が折れそうなぐらいストレスを抱えていました。そのため、「こういう職場、イヤだな」「楽しく働ける職場にしたいな」と常々思っていました。けれども、どうすればいいのか全く見当がつきませんでした。

 いろいろ調べていくと、「働きやすい職場にするためには、どうやらコミュニケーションを改善する必要があるらしい」ということに気付きました。そして、「今、自分ができることは何だろう?」と考えました。

 そこで思い付いたのは、「メンバー全員と話をする」ことでした。なぜなら、それまで「コミュニケーションが悪い」と思いながら、自分も話すのは特定の人だけで、メンバー全員と話す機会があまりなかったからです。

 そこで、傾聴などコミュニケーションの勉強をし、毎月30分、20人ほどいたメンバー一人一人と話をすることに決めました(今でいう1on1ミーティングですね)。

 メンバーの話を聞いたからといって、関係がすぐに良くなるわけではありません。ときには「何のためにやっているのか分からない」と言われたり、上司からは「話をしているなら、仕事をしろ」と言われたりもしました。

 それでも、「職場が働きやすくなるといいな」と思い、しばらく続けました。すると、メンバーから「話を聞いてくれてありがとう」「楽になりました」といった声が聞こえてくるようになりました。また、問題が小さなうちにキャッチアップできるようになり、少しずつですが、メンバーとの関係が変わってきていることが実感できたのです。

 また、1on1ミーティングを繰り返す中で「何で世の中の職場は、プレッシャーやストレスをかけて、人を動かそうとするのだろう?」「楽しく働いた方がやる気は出るし、仕事にも前向きに取り組めるのにな」とも、思うようになりました。

 このような働き掛けを続けた結果、メンバーの成長や職場の変化を感じられるようになり、「人を支援する仕事も楽しいな」「もっと楽しく働く人を増やしたいな」と思うようになりました。そして、IT業界からキャリアチェンジをしてしごとのみらいを設立。「楽しくはたらく人や会社を増やす」がビジョンになったのです。

見えない未来を考えるよりも、今できることをやろう

 これは私の経験で、あなたに当てはまるかは分かりません。でも、「やりたいことが分からない」「未来のビジョンが描けない」というビジネスパーソンからの相談を受けながら、よく思うのです。

 「やりたいことは何だ?」「ビジョンは何だ?」と、頭の中でウンウンうなりながら、考えることも大切かもしれません。でも、見えない未来をどんなに考えても、見えてこないことも多いものです。その結果、「オレ(ワタシ)って、やりたいことがない人なんだな」「ダメな人間だな」と、ますます不安になってしまいがちです。

 それならば、まずは目の前にあるMust(やるべきこと)と、あなたのCan(できること)の重なりを増やしてみませんか。やるべきことが会社になければ、社外に出てみるのもいいかもしれません。地域活動とか、関心があるボランティア活動とか。

 だからといって、すぐにWill(やりたいこと)が見つかるわけではないかもしれません。それでも、頭の中だけで考えているよりも、主体的に体を動かし、さまざまな体験をすることによって、改めて、やりたいことや社会の課題が見えてきて、「あなたなりの未来」が描けるようになるはずです。

筆者プロフィール

竹内義晴

しごとのみらい理事長 竹内義晴

「仕事」の中で起こる問題を、コミュニケーションとコミュニティーの力で解決するコミュニケーショントレーナー。企業研修や、コミュニケーション心理学のトレーニングを行う他、ビジネスパーソンのコーチング、カウンセリングに従事している。

著書「感情スイッチを切りかえれば、すべての仕事がうまくいく。(すばる舎)」「うまく伝わらない人のためのコミュニケーション改善マニュアル(秀和システム)」「職場がツライを変える会話のチカラ(こう書房)」「イラッとしたときのあたまとこころの整理術(ベストブック)」「『じぶん設計図』で人生を思いのままにデザインする。(秀和システム)」など。


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