ITインフラとオペレーションを通じてデジタル変革を実現するための3つのポイントGartner Insights Pickup(149)

ITインフラ&オペレーション(I&O)担当チームは、変革の担い手になることも可能だ。CIOの優先順位に合わせて組織やアウトプットを見直すことで、デジタルトランスフォーメーションを先導できる。そのための3つの方法を解説する。

» 2020年03月13日 05時00分 公開
[Meghan Rimol, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 デジタル時代におけるITインフラ&オペレーション(I&O)チームは、大きな変化の先端にいる。データセンターの終焉(しゅうえん)から人工知能(AI)革命まで、次々と押し寄せるデジタルの新しい波が、I&Oの在り方に深い影響を与えている。I&Oチームがサポート組織から戦略的組織へと急速に進化するとともに、IT部門は、もはやサービスプロバイダーではなく、ビジネストランスフォーメーションの担い手と見られるようになっている。

 「I&Oが今日の企業で存在意義を発揮し続けるには、よりアジャイル(俊敏)でより顧客本位でなければならない」と、Gartnerのシニアディレクターアナリストを務めるチラグ・デカテ(Chirag Dekate)氏は指摘する。

 「デジタル化が進む中、優れた実績を挙げているI&Oチームは、組織体制や業績指標、スキルセットの見直しを行っている。ビジネスステークホルダーとの連携を深めるためだ」(デカテ氏)

 効率を高めて生産性を向上させ、デジタルビジネストランスフォーメーションを実現するには、I&OリーダーはCIO(最高情報責任者)の優先順位の変化にチームを適応させる必要がある。デカテ氏は、そのための3つの方法を解説している。

新技術の導入とアジリティの促進

 「Gartner 2019 CIO Survey」によると、優先課題として挙げたITリーダーが多い上位3項目は、「デジタルプロジェクト」「売り上げ成長」「オペレーショナルエクセレンス」だった。従来関心が高かったI&O関連課題であるレガシーシステムや、ERPのモダナイゼーションなどを挙げたITリーダーは、はるかに少なかった。

 I&Oリーダーは、ITリーダーの変化する期待に応えられるように優先順位を見直す必要がある。リソースを浪費したり、ピントのずれた行動をしたりするのは禁物だ。デジタルビジネスを支援する新しい技術やプロセスを導入することで、トランスフォーメーションの取り組みへのI&Oのコミットメントを示せる。こうした技術にはクラウド、AIおよび自動化、IoT、エッジコンピューティングなどがある。

 またI&Oリーダーは、アジリティ(俊敏性)を奨励し促進することで、チームが取り組むデジタルプロジェクトが成功する下地を作れる。さらに、プロセスの簡素化と付加価値の低い反復作業のインテリジェント自動化により、浮いた時間を戦略的な取り組みに充てることもできる。

ビジネスのペースに合わせたスピードアップ

 ビジネスモデルを見直している企業の94%で、CIOが「ITは変革の主要な原動力だ」と回答している。これは、今日のデジタルトランスフォーメーション時代において、IT部門は自社の収益に直接影響を与える機会に恵まれているということだ。だが、変化が急速に起こるため、I&Oチームは運用をスピードアップし、デジタルトランスフォーメーションを効果的にサポートする必要がある。

 I&Oリーダーは組織体制を再編し、チームがソリューションを提供できるときに提供するのではなく、ビジネス部門が求めるペースやタイミングで提供できるようにしなければならない。そのためには多くの場合、プロダクト中心の運用モデルが必要になる。このオペレーションモデルでは、ストレージやネットワーク、クラウドなどを個々に運用する従来の方式にとらわれず、特定のユースケースに基づいてリソースを展開する。顕著なビジネス効果をもたらすとともに、CIOが推進する取り組みをサポートできるような業務を優先して、I&Oチームを再構築すべきだ。

デジタル生産性の向上に向けた人の変革

 デジタルプロジェクトを成功に導くには新しいスキルが必要になる。I&Oチームがデジタルトランスフォーメーションを進める中、チームのスキル拡充が必須となっている。人材採用、再教育、既存チームの再編や人員の再配置といった方策を講じるとともに、メンバーのやる気を引き出すことでI&Oチームのデジタル生産性を高められる。

 顧客と企業の価値を重視した新しいKPI(主要業績指標)も、I&Oによるデジタルプロジェクトのサポート充実に役立つ。成果志向の取り組みを後押しするKPIにより、CIOやビジネスステークホルダーの期待に沿った行動が促進される。

出典:How Infrastructure and Operations Can Enable Digital Change(Smarter with Gartner)

筆者 Meghan Rimol

Senior Public Relations Specialist


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