謎が多い最近の「Windows Update」その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(156)

Windows 10のWindows Updateは、ユーザーがコントロールできる部分が以前に比べて少なくなり、Homeエディションに至っては、半ば強制的と感じているユーザーも多いと思います。Microsoftはそのようなフィードバックに耳を傾けながら、Windows Updateを改良してきました。中には根本的な改良ではなく、突貫工事に見えるものも……。Windows Updateの謎は増えるばかりです。

» 2020年03月18日 05時00分 公開
[山市良テクニカルライター]

この記事は会員限定です。会員登録(無料)すると全てご覧いただけます。

「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

Windowsにまつわる都市伝説

「更新プログラムのチェック」はクリックしても安心になった?

 「Windows 10」の「設定」アプリにある「更新とセキュリティ」→「Windows Update」には、「更新プログラムのチェック」というボタンがあります。

 以前のWindows 10では、このボタンを不用意にクリックしてしまい、意図せず「機能更新プログラム」(Windows 10の新バージョン/ビルド)や急いでインストールする必要がないオプションの更新プログラムのインストールが始まってしまい、アップグレードや再起動に長い時間を取られたり、更新プログラムのバグを踏んでしまったりすることがありました。そのため、「更新プログラムのチェック」をクリックする人は、いつしか「Advanced User(上級者)」や「Seeker(探究者、探し求める人)」と呼ばれるようになりました。

 Windows 10 バージョン1903からは「更新プログラムのチェック」ボタンのクリックにより、オプションの累積更新プログラムやリリース後間もない機能更新プログラム(バージョン1903の場合はバージョン1909の機能更新プログラム)がすぐにインストールされることはなくなりました。

 新しい機能更新プログラムのリリース後しばらくして、また、オプションの累積更新プログラムが利用可能な場合は、「オプションの更新プログラムがあります」と案内され、「今すぐダウンロードしてインストールする」をクリックしない限りインストールされることはなくなりました(画面1)。機能更新プログラムについては、Windows 10 バージョン1803とバージョン1809についても、同様の機能が提供されました(その後、これらのバージョンに対してはバージョン1903以降の機能更新プログラムの自動配布が開始されています)。

画面1 画面1 Windows 10 バージョン1903からは「更新プログラムのチェック」をクリックしても、機能更新プログラムやオプションの累積更新プログラムがすぐにインストールされることはなくなった

突如出現した「ダウンロード」ボタンの謎

 Microsoftは、毎月第2火曜日(日本は時差の関係でその翌日の水曜日)に、Windowsと.NET Frameworkの新たなセキュリティ更新を含む「累積更新プログラム」をリリースします。毎月第2火曜日のこの日を「Patch Tuesday」、このリリースを「Bリリース」と呼ぶことがあります。

 Microsoftは、Bリリースの翌週の「Cリリース」または、さらに翌週の「Dリリース」として、オプションの累積更新プログラムをリリースします。C/Dリリースは新たなセキュリティ更新を含まず、翌月のBリリースで行われるセキュリティ以外の修正を先行的にプレビューできるように提供されるものです。この他、緊急の更新プログラムが自動配布の対象として定例外でリリースされる場合があります。例えば、緊急性の高いセキュリティ問題への対応や、Bリリースの不具合の修正などです。

 Windows 10では、BリリースとC/Dリリースは「リリースされた日」で識別されます。更新プログラムの名前でオプションかどうかを識別できません。一方、「Windows 7」や「Windows 8.1」では、Bリリースは「セキュリティマンスリー品質ロールアップ(マンスリーロールアップ)」、C/Dリリースは「マンスリーロールアップのプレビュー」のように識別することができます。

 BリリースとC/Dリリースによるプレビューは、Windows 10 バージョン1703で導入されたスケジュールであり、Windows 10 バージョン1703以降はBリリースとC/Dリリースを識別します。

 具体的には、自動更新ではBリリースのみが検出、インストールされますが、C/Dリリースは自動更新の対象外です。そして、C/Dリリースが利用可能になっている時期に「更新プログラムのチェック」をクリックした場合にのみ、C/Dリリースの更新プログラムをインストールすることができます。

 「Windows Update for Business(WUfB)」のポリシーが有効になっている場合、または「設定」アプリの「詳細オプション」にある「更新プログラムをいつインストールするかを選択する」で、機能更新プログラムおよび品質更新プログラムの延期日数を「1日以上」に設定している場合は、「更新プログラムのチェック」をクリックしても、C/Dリリースの更新プログラムは検出されません。

 ここまではWindows 10のWindows Updateについてよく知っている人にとっては常識かもしれません。しかし、Windows 10 バージョン1809から少し変わりました。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSについて

アイティメディアIDについて

メールマガジン登録

@ITのメールマガジンは、 もちろん、すべて無料です。ぜひメールマガジンをご購読ください。