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» 2020年04月28日 05時00分 公開

Go AbekawaのGo Global!〜Nicolas Modrzyk編(後):“Be Hungry-ous” フレンチエンジニアは全てを楽しむ (1/2)

フランス出身のNicolas Modrzyk(ニコラ・モドリック)氏は持ち前の人懐っこさとユーモアを武器に、OSSのイベントや書籍出版などさまざまなチャレンジをする。そんな同氏がエンジニアに送る「Be Hungry-ous」の意味とは。

[取材・文:阿部川久広(Go Abekawa), 構成:中村篤志,@IT]

 世界で活躍するエンジニアの先輩たちにお話を伺う「Go Global!」シリーズ。前回に続きNicolas Modrzyk(ニコラ・モドリック)氏にご登場いただく。OSS(オープンソースソフトウェア)のイベントを開催したり、書籍を出版したり、子どもと遊んだり。忙しくも楽しげに過ごすモドリック氏が心掛けていることとは。

OSSのエンジニアはグローバルでつながっている

阿部川 日本からフランスに戻った後は、どのようなお仕事をされていたのですか。

モドリック氏 フランスで作られたオープンソースソフトウェアを海外に紹介するイベントの企画を考えたり、プレゼンテーションの準備をしたりしていました。リオンで1回目のイベントを開催したときはたった58人の小さなイベントでしたが、続いてパリで開催したら1000人以上来場し、「場所が狭い」「座る場所がない」といったうれしくも悩ましい状況でした。シャンパンを差し入れしてくれる人がいて、なんと「1000人がシャンパン飲み放題」というサービスを提供できたんです(笑)。

阿部川 それは楽しそうです(笑)。

画像 Nicolas Modrzyk(ニコラ・モドリック)氏(左)、阿部川“Go”久広(右)

モドリック氏 その会場で、ある台湾人の経営者と親しくなりました。フランス人は飲みだすとフランス語しか話さなくなるので、彼は会場で一人ぼっちになってしまっていて、私から話しかけたのです。

 この方はビジネスに対する観点が素晴らしく、中国のマーケットに関して深く説明してくれました。話を聞くうちに「今は中国の話をしているが、実は活動の中心は日本だ」と。さらに「実は今エンジニアを探している」と、それがマクニカの方だったんです。でも酔っていてその話をしたことを完全に忘れてしまって(笑)、翌日起きて、ああ今日もいい1日だなと思ってメールをチェックしていたら、「面接にはいつ来るんですか」とあって、あっ、夢じゃなかったんだと(笑)。

阿部川 それがマクニカでアーキテクトとして働くきっかけになったんですね。

モドリック氏 はい。アーキテクトは「どういう技術を使えばいいか」「何ができるのか」を技術的な観点から見極める仕事でした。当時はCMS(コンテンツ管理システム)といっても、入力画面が1つしかないものすごいUI(ユーザーインタフェース)で、全部見るためには上から下までスクロールをしないといけないようなものでした。そこでオープンソースで、スイスに拠点がある企業のCMSを探し当てて、それを日本に移植する、といったこともやりました。

 

 そのスイスの企業はワークフローエンジンを開発していて、共同開発をしていた企業にそのワークフローエンジンをデモしようということになりました。ただ、困ったことがありました。デモの日時が来週に迫ってきていたのにシステムがうまく動かなかったのです。検証しようとしたのですが、OSSなので自分で作業しないと分からない。

 そこでスイスのエンジニアと、深夜2時から朝方4時くらいまでSkypeとオンラインで一緒に作業しました。なんとか作業が終わって「スカイプでやるのもいいけど、やっぱり物理的に隣同士でやった方がいいね」という会話になって、日本に来ませんかと言ってみました。そうして結局彼も日本に来ました(笑)。その後、彼とオープンソース絡みの開発をたくさんしました。

阿部川 2007年以降はどのようなことをなさっていたのですか。

モドリック氏 当時「エンタリオ」というワークフローエンジンを開発していた会社からオファーがあり、プレゼンテーションをしに行ったら、会社全体が楽しそうで、私のことも気に入ってくれたのです。ただ、その会社は米国にあるので、日本での生活が気に入っていた私はいったん断りました。しかし結局は折れて、日本とサンフランシスコ半分半分の生活が始まりました。その後3年くらい、その生活が続きました。偶然ですが、先ほどお話しした台湾人の友人が経営者でした。

阿部川 ご縁がありましたねえ。

モドリック氏 はい、OSSのエンジニアはグローバルでつながっていますね。その会社のエンジニアは皆、優秀でとても勉強になりました。プロジェクトの特定の範囲を全部任せてくれて、だからといって丸投げではなく「これをどうするか」「あなたのプランは何ですか」「いつまでに、どこを、どうしたいのですか」など詳しく聞かれます。こうした進め方はその後、大変役に立ちました。

阿部川 ビジネスの基本かつ、最も重要なスキルですね。ニコラさんをよく知る方は「プログラミングの腕はものすごく、言語と道具を選ばない突き抜けぶりは、日本人のプログラマーにはない」とおっしゃっています。これは例えば今までの経験から、自然と身に付いた対応方法でしょうか。

画像

モドリック氏 いや……どうだったかな(笑)。「解決のために最適な道具を選ぶ」という考え方は父がお手本ですね。父は普通の歯科医ですが、患者さんを診て「この歯にはこれだよね」「この人にはこのツールだよね」「こっちでもいけるけど、これが一番だね」とか、患者さんに応じて一日中適切な治療方法を選んでいるんです。言語を選ぶのもこの考えが大切だと思います。

阿部川 なるほど。現在主に使っている言語は何ですか。

モドリック氏 今一番好きな言語はClojureで、6冊著作があります。習得したのは、ある大きなプロジェクトのときです。

 「このプロジェクトの完成にはどれくらいの時間がかかりますか」と問われて「3〜4週間くらいかなあ」と思ったのですが「3カ月です」と答えました(笑)。ずっと気になっていたClojureの勉強をこの期間にやってしまおうと思ったからです。

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