コロナ禍で「コミュニケーションロボット」への期待高まる、阻害要因は何か羽ばたけ!ネットワークエンジニア(32)

コロナ禍が続く中、非接触、非訪問でのサービス提供や業務遂行のため、コミュニケーションロボットの活用が広がりつつある。しかし、ニーズが高まる一方で導入の阻害要因もある。

» 2020年09月28日 05時00分 公開
[松田次博@IT]

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連載:羽ばたけ!ネットワークエンジニア

 以前「在宅勤務で新規顧客を『オンライン受注』、成功要因は?」という記事を書いた。筆者が手掛けているコミュニケーションロボット、「PaPeRo i」を使った独居高齢者見守りサービス「みまもり パペロ」で一度も客先(自治体)を訪問せずに受注したことを紹介した。自治体の目的は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のため、訪問による見守りができなくなった高齢者を、ロボットを使って見守ることである。その後、同じくコロナ対策にロボットを使いたいという別の自治体からトライアルパック(有料の実証実験)をオンライン受注した。

 コロナ禍、それに続くニューノーマル時代においてコミュニケーションロボットへのニーズは確実に高まっているが、導入には阻害要因もある。

コミュニケーションロボットへの期待

 感染すると重症化するリスクが高い高齢者にとってコロナ禍の影響は大きい。感染を防ごうとすると、民生委員や保健師の訪問による見守りができない。公民館などに集まる体操やお茶の会のような催しができなくなり、高齢者の外出の機会や人とのコミュニケーションが少なくなった。都会に離れて暮らす家族は簡単に帰省することができない。

 これらの問題は図1のようなコミュニケーションロボットの活用で軽減できる。

図1 非訪問で高齢者を見守る「みまもり パペロ」

 自治体からの訪問や家族の帰省がなくても、毎日、朝昼夕の3回、ロボットから送られてくる高齢者の写真(高齢者が写真撮影を拒んだ時はメッセージ)で安否確認ができる。家族と高齢者は双方向でメッセージをやりとりして、日常的にコミュニケーションを保つことができ、高齢者は孫やひ孫の写真やビデオを楽しむことができる。

 閉じこもりがちな生活による高齢者の運動不足を補うため、自治体の中には独自に作成した体操ビデオが見られるように工夫しているところもある。高齢者が体調をくずしたときにはロボットの赤いボタンを押すだけで、家族や自治体(警備会社が代行)に緊急通報を送信する。

 ロボット自体は高齢者の顔を見つけると声を掛ける。高齢者が話し掛ければ返答し、簡単な会話ができる。声掛けや会話で孤独が癒やされるという高齢者は多い。頭、体、口(発声練習)の3種類の運動ビデオも用意してあり、高齢者が「あたまのうんどう」と言うとビデオが始まって脳トレができる。

 現在進んでいるコロナ対策を目的とした実証実験でどんな成果が得られるのか楽しみにしている。

コミュニケーションロボットの活用促進に必要なこと

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