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» 2020年11月24日 10時00分 公開

技術で未来への懸け橋を作る:エンジニアとして、人として成長できる場所を求めて地方で暮らすエンジニアたち

産学連携でAI×地図のニュータイプを生み出す、フィールドワークを重ねて地域の課題解決に取り組む、バーチャルチームで東京と同じ仕事をする――長崎のエンジニアたちは今、仕事を通じて希望を作っている。

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 ちゃんぽんに海の幸、異国情緒あふれる街並みや自然豊かな島々――「長崎県」といって思い浮かぶイメージは、どちらかというとそんな「魅力的な観光地」というものではないだろうか。だが実はこの数年、県や地元大学などを中心にICT戦略に力を入れている一面もある。

 既に富士フイルムソフトウエアや京セラコミュニケーションシステムが新たな開発拠点として長崎に進出している他、続々と新たな企業が拠点の設置に動いている。並行して、「情報データ科学部」を新設した長崎大学をはじめとする県内大学がIT人材の育成を強化している。いわばエンジニアが力を発揮し、イノベーションを生み出す場になりつつあるのだ。

 江戸時代後半、学問を志す全国各地の優秀な人材は、外国から入ってくるさまざまな最新の知識に触れたいと、鎖国体制の中で世界に開かれていた窓である長崎を目指した。そこで培われ、共有されたナレッジと人脈が、明治維新以降の新しい世の中作りに大いに役立った。同じことがICT時代に起こるかもしれない。

 そんなふうに一足先に長崎に腰を据え、デジタル技術を駆使した新たなチャレンジに取り組んでいる3人のエンジニアにお話を聞いた。

出島ワーフ」は飲食店やカフェが多く、近くに大きい公園もあり、家族連れやデートスポットとして人気のスポットだ。IT企業の拠点も徒歩2〜3分範囲にあり、ランチやディナーにもよく使われている

離れて分かった長崎の良さ、東京と切磋琢磨しながら開発に取り組むエンジニア

 「ニーズウェル」の第2システム事業部 長崎開発センターで働く半澤順吉さんは、地元長崎出身の若手エンジニアだ。

 地元自治体の進出企業への支援策というと補助金がメインになりがちだが、長崎県の場合はこれにとどまらず、人材採用、日々のサポートから地元とのつながりまで、多面的な支援を行っており、ニーズウェルはこれを評価して進出した。

 半澤さんは、最近は主にクラウドベースの経費精算システム「Concur」の導入サポートや、企業基幹システムとの連携アプリ、請求書入力業務をAI(人工知能)で自動化する「Invoice PA」の開発などに携わっている。

 IT企業の地方拠点というと営業の出先や、ともすると本社側の指示に従って言われた通り下請け的に開発をするだけ、というイメージを持たれがちだ。だが、ニーズウェルの長崎開発センターの場合はかなり違う。

 「チャットやMicrosoft TeamsなどのWeb会議も使いながら本社(東京)側と連携し、同じ目線、同じ立場で開発に取り組んでいます。時にはこちらからダイレクトにお客さまに連絡し、『こんなふうにしてみてはどうでしょう』と提案することもあります」(半澤さん)

 いい意味で本社(東京)と切磋琢磨(せっさたくま)しながら仕事をしているという。

ニーズウェル 第2システム事業部 長崎開発センター 半澤順吉さん

 半澤さんはJava、その前はPythonかと思えば今度はAI(人工知能)といった具合に携わるプロジェクトに応じていろいろな言語や技術を経験してきた。それを支援する社内のフォロー体制もあり、自身のスキル向上にもつながっているという。

 「長崎の開発センターは100人規模に拡大していく予定です。今後入ってくる方には、今度は私が経験者としてフォローする側に回って、一緒に成長していきたいと思っています」(半澤さん)

 そんな半澤さんは実はUターン組だ。大学進学を機に「いろいろな経験をしてみたい」と県外に出て、北海道や福岡でも働いた。その土地それぞれの良さもあるが、離れてみてあらためて地元の良さ、家族や昔からの友達の素晴らしさを痛感し、30代を前にして長崎県に戻ってきたという。満員電車とも無縁な生活を送り、ワークライフバランスの良さを実感している。

 「地元の良さをよく知りながら福岡や大阪、東京に出て行った同期もいますが、長崎でもこんなふうに最先端の仕事に取り組みながら活躍できるんだということを、身をもって示し発信していきたいです。ずっと長崎に住み続け、長崎に貢献していきたいです」(半澤さん)

大学との連携で外の風に触れ、人としての幅を広げながらAI関連の研究開発を推進

 調査員が現地に足を運び、「現代の伊能忠敬」と表現される方法で精度の高い地図を作製してきた「ゼンリン」。地図が2Dから3Dへ、また媒体が紙からデジタルへと変わっても、質の高い地図データ作りに取り組んできた。

 そして今、地図作成のプロセスにAIや機械学習(ML)を活用することで、作業を効率化できないかとチャレンジを続けている。その拠点となっているのが、長崎に設けられた長崎R&Dブランチだ。研究開発室地図基盤技術担当として長崎R&Dブランチで働く小田原圭吾さんは、社内公募に手を挙げて長崎にやってきた。

 今小田原さんが取り組んでいるのは、地図作成の元となるさまざまな画像データの処理をAI/ML、ディープラーニングを活用して効率化する技術の研究開発だ。撮影データの中から道路標識、事業所看板、広告看板、掲示物などに書かれた文字情報を自動的に検出、認識、マッピングし、これまで人手に頼っていたカーナビやGIS用の地図情報の整備、更新作業を自動化すべく技術開発を進めている。

 地図作りの自動化となると大手海外ITベンダーに一日の長があるが、「より精度が高く、信頼できる地図がわれわれの強みです。ですからAIで完全に自動化しても、精度が下がっては意味がありません。AIで自動化できるところは自動化しつつ、人の力を掛け合わせて、コストを下げながらより良い地図を作っていきたいと考えています」(小田原さん)

ゼンリン 研究開発室 地図基盤技術担当 長崎R&Dブランチ 小田原圭吾さん

 もう1つの取り組みとしては、長崎県内の情報系学部を有する3つの大学(長崎大学、長崎県立大学、長崎総合科学大学)との関係を構築し、共同研究などを通じて大学、学生との盛んな交流を目指している。また、人気の観光地という特性を生かし、長崎県や地域の企業と協力し、地図情報を生かして新しい観光体験やナビゲーションを提供するといった新規事業の創出にも取り組んでいるという。「これまでゼンリンという会社の中に閉じていましたが、交流の場が広がり、外の風を感じながらいろいろな知識に触れられて、エンジニアとしてというよりも人としての幅が広がったように思います」と小田原さんは語った。

 ゼンリン本社がある北九州から夫婦二人で引っ越し、長崎での生活をスタートさせた。それまで縁もゆかりもない土地だったため不安がなかったわけではないが、企業誘致を担当した長崎県産業振興財団から住む場所や通勤経路、さらには駐車場の情報に至るまで日々のサポートを得られたことが心強く、奥さまも長崎での職を得て暮らしを楽しみ始めたところだ。

 「今のオフィスは目の前に海が広がっており、集中するにも気分転換するにも良い場所です。新しい研究施設の立ち上げということで、ゼロから、オフィスのレイアウトから何から何まで自分で考え、やりたいことを作っていく貴重な経験ができました。いずれ必ずこの経験が役に立つのではないかと思っています」(小田原さん)

フィールドに出て課題を探り、今までにない解決策を自らの手で作り出す

 「デンソーウェーブ」が新たに設けた長崎ソリューション開発センターで、AUTO-ID事業部エンジニアリング部コトづくり推進室主任を務める鈴木智仁さんは、長年にわたって、組み込み系エンジニアとしてモノの開発に携わってきた。

 だが今、製造業は100年に一度とも言われる大きな変革期に直面している。事業を成長させていくには、これまでのようにより良いハードウェアをより低コストで作って納めるだけではなく、そのハードウェアやコア技術を使って社会が抱えるさまざまな問題、地域課題解決をきっかけに新たなソリューションを創出するというビジョンに基づき、長崎にソリューション開発センターを設けることにした。

 「なぜ長崎を選んだかというと、ソリューション創出を課題とする弊社とICT先進県を目指す長崎県との間で願ってもないコラボレーションが期待できると考えたからです。長崎県は第1次、2次、3次など各種の産業がコンパクトな街の中にそろっており、この環境はソリューション創出のための実証、改良を数多く行いたい弊社の活動拠点として適していると考えています。一方長崎県はさまざまな社会課題をIoTやAIといった新しい技術を活用して解決しようとされており、弊社のような企業に対し、地元企業や大学などとのマッチングや、実証の場探し等のサポートをされておられます。そうした連携を通じて、弊社が得意とする工場の中だけでなく社会というフィールドで弊社の持つ技術でぜひ力になりたいと考えています。」(鈴木さん)

デンソーウェーブ AUTO-ID事業部エンジニアリング部コトづくり推進室 長崎ソリューション開発センター 主任 鈴木智仁さん

 具体的なソリューションはこれからだが、例えばデンソーウェーブが開発したQRコードを駆使して、情報弱者の立場にある住民にさまざまなサポートを提供したり、これまで現場の経験や勘に頼ってきた養殖業のノウハウをデータ化し、技術の伝承を支援していったりと、さまざまなアイデアが生まれ始めている。

 「組み込みエンジニアとしての私のミッションは、決まった仕様に沿って、いかに納期までに性能や品質の良いモノを作るかでした。それが長崎に来てからは、仕様のない、今までにない新しいものを作ることがミッションとなっています。確かに、言われたものをそのまま作ることにも、完成したときの喜びはあります。けれど現地に直接足を運び、いろいろな課題を探った上で、自分がやりたいと思ったものを自ら作れるのは全く違います」(鈴木さん)

 愛知、東京での勤務経験を経て、長崎で単身赴任の形で新たなミッションに取り組んでいる鈴木さん。成果が形になるのはこれからだが、早くも手応えを感じているようだ。また、「通勤は徒歩です。帰りにスーパーに寄ると、愛知や東京では考えられないくらい新鮮で肉厚なアジフライを1枚100円で売っているので、衝撃的ですね」と、長崎ならではの海の幸も満喫している。

 かねて提唱されてきた「Society 5.0」に加え、国もデジタル庁の創設に向けて動くなど、アナログな組織や社会の在り方が徐々に変わろうとしている。その実現に一歩先んじて取り組みつつ、少子高齢化をはじめとする地方ならではの課題解決に取り組む長崎県。エンジニアとして、さらには社会に関わる一人の人間として、挑戦しがいのあるフィールドが広がっている。

長崎県は、インタビューに登場してくださったエンジニアたちの仲間を募集しています。詳しくは、「公益財団法人 長崎県産業振興財団HP 誘致企業の人材募集のご紹介」ページをご覧ください

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提供:公益財団法人長崎県産業振興財団
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2020年12月23日

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