「みんなと一緒に仕事がしたい」とウズベキスタンの青年は今日も自転車をこぐGo AbekawaのGo Global!〜Imomsaidov Oybek編(後)(2/2 ページ)

» 2020年12月04日 05時00分 公開
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「仕事は仕事であり、ITはどの業界にあってもITだ」

阿部川 今後ずっとIT業界で仕事を続けられる予定ですか、何か新しい挑戦をしたいと考えることはありますか。

オイベク氏 そうですね、今から10年もすれば「IT業界とそれ以外の業界」といった区分はあまり意味をなさなくなると考えています。よく「仕事か人生か」といった例えがありますが、私はそのように分かれたものではなく、全てはたった一つの「自分の人生」だと思っています。今後、業界で担っている仕事の範囲やその呼び名は変わっていくかもしれませんが、私のゴールは変わりません。何か有益なツールを学び、それを使って人を助け、世界をより素晴らしいものにする、それが私のゴールです。

阿部川 2045年のSingularity(シンギュラリティ:技術的特異点)を待つまでもなく、既にITはさまざまな業界に入り込んでいます。例えば金融や製薬の業界はITがないと業務が進まない状況になりつつありますね。

オイベク氏 そうですね、多くの業界は互いに支え合っています。別の言い方をするなら、そうしなければ業界は進化できなくなっています。私はIT業界にいますが、病気になれば医療業界の人、つまりお医者さんが助けてくれます。もし彼らのシステムに不具合が生じれば、私がそれを直すこともありますよね。

阿部川 エンジニアのキャリアについて、このままプログラマーを続けるか、あるいはマネジメントの地位を目指すか、という二者択一のように言われがちです。オイベクさんは「仕事は仕事であり、ITはどの業界にあってもITだ」とお考えなのですね。

オイベク氏 そう思います。例えば先輩エンジニアのキャリアを私は詳しく知りませんが、彼の存在が仕事をする上で欠かせないことは分かります。「卓越した仕事をする上で何が必要なのか」が大切だと思います。学歴やキャリアはあまり関係ありません。「何ができるのか、何を勉強したのか」の方が重要だと思います。

阿部川 なるほど。このコロナ禍でオイベクさんの仕事や人生はどのような影響を受けたでしょうか。

オイベク氏 BFTは新型コロナウイルス感染症による環境の変化に素早く対応したので、私は5月からテレワークをしています。ただ、みんなと同じ場所で働くことが好きなのでこの状態が続くと、仲間と一緒の環境が恋しくなります。自由にできる時間が増えたという意味では良いのですが、以前のようにみんなで仕事ができないことはとても残念です。

阿部川 コロナ禍で何か新たに初めたことはありますか。

オイベク氏 前よりもまして読書することが多くなったと思います。家の至るところに本を置いてあります。後はサイクリングですね。走るのは嫌いなのでサイクリングならいいなと思いました。走るより早く行きたいところに着けますしね(笑)。

サイクリングを楽しむオイベクさん

インタビューを終えて 〜Go’s thinking aloud〜

 とにかく好青年だ。むしろ日本の青年より「日本的」かもしれない。

 亡くなったおばあさまのことを聞いたときには、本当に恐縮してしまった。その感想があまりに素直だったからだ。孫からもらった携帯電話が鳴るのを、おばあさまは今か今かと、きっと本当に手のひらの上の電話をじっと見つめながら、ずっと待っていたに違いない。

 学ぶのが遅いということは、翻せば、理解できるまで何度もやってみる、そしてそれを繰り返し続けるということではないか。できるかできないかではなく、とにかくやってみる。その愚直さを続けることが、実はいつしかその人を本当にできる人に変える。日本にいながら、グローバルな仕事で(それがITという名でなくとも)成功してほしいと思うのは、国粋主義的に過ぎるだろうか……。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア 事業開発局 グローバルビジネス戦略室、情報経営イノベーション専門職大学(iU)教授、インタビューアー、作家、翻訳家

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳も行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在情報経営イノベーション専門職大学教授も兼務。神戸大学経営学部非常勤講師、立教大学大学院MBAコース非常勤講師、フェローアカデミー翻訳学校講師。英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家、翻訳家としても活躍中。

編集部から

「Go Global!」では、GO阿部川と対談してくださるエンジニアを募集しています。国境を越えて活躍するエンジニア(日本在住、35歳まで)、グローバル企業のCEOやCTOの来日などがあれば、ぜひご一報ください。取材の確約はいたしかねますが、インタビュー候補として検討させていただきます。

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