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» 2021年02月03日 05時00分 公開

シンボルグラウンディング問題(Symbol grounding problem)とは?AI・機械学習の用語辞典

用語「シンボルグラウンディング問題」について説明。記号(言葉)が実世界の意味に結び付いているかを論じる問題を指す。現状のコンピュータ/人工知能は必ずしも結び付いておらず、言葉を理解していないとされる。

[一色政彦,デジタルアドバンテージ]
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連載目次

用語解説

 シンボルグラウンディング問題Symbol grounding problem、もしくは記号接地問題)とは、認知科学や意味論における用語で、記号(Symbol:シンボル、要するに文字列/言葉)が実世界の意味につながっている(grounding:接地している)かを論じる問題である。人間は記号と実世界の意味を結び付けて言葉を理解している一方、(特にルールベースや知識表現ベースの)コンピュータ/人工知能では必ずしも結び付いていない、つまり言葉を理解しているわけではないと主張されている。フレーム問題と同様に、人工知能における難問とされる。

図1 シンボルグラウンディング問題のイメージ 図1 シンボルグラウンディング問題のイメージ

 このシンボルグラウンディング問題は、1990年に認知科学者のStevan Harnad(スティーブン・ハルナッド)氏による論文「The Symbol Grounding Problem」(arXiv:cs/9906002 [cs.AI])で提示された。その論文では、「シマウマ」の例が取り上げられている。「シマウマ(Zebra)」は、「馬(horse)」&「しましま(stripes)」を表す記号文字列である。人間は「シマウマ」という言葉(「馬」&「しましま」を表す記号であること)を聞いて、初めてシマウマを見た人でも「これがシマウマですね」と答えられるだろう(答えられる理由は、恐らく人間は先ほどの記号文字列から「しましま模様のある馬」を想像できるため)。一方のコンピュータでは、「シマウマ」の表す「馬」&「しましま」は単なる記号の羅列に過ぎず、実世界におけるシマウマの意味には結び付けられない、つまり初めての「シマウマ」は理解できないと主張された。

 しかしディープラーニングの登場によって、一部のシンボルグラウンディング問題は解決されつつあるという考え方も出てきている。例えば馬をディープラーニングして識別できるようしたモデルでは、実世界の意味(馬の視覚情報)と記号(「馬」という言葉)が結び付いている、という考え方である。ただしあくまで一部の話であり、人間と同等の意味理解レベルには全く至っていない。コンピュータ/人工知能が人間のように言葉を理解するには、身体性(=人間の身体によって得られる知覚や体験)が不可欠ともされており、その問題は解決がかなり難しいと思われる。

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