コロナ禍で長引く在宅勤務。プロジェクトチームのメンバーが目の前にいるオフィスワークと違い、在宅勤務ではいかにメンバー間の連携を効率的にするかが課題だ。今回は分散環境で仕事をするプロジェクトの生産性向上に役立つIPaaSについて述べる。
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分散環境での仕事の効率化について考えていて思い出したのがアプリケーション開発に取り組む企業ageetの仕事のやり方だ。コロナ禍などは関係なく、会社創立時から分散ワークなのだ。ageetは「AGEphone」というソフトフォン(スマートフォンなどで使う電話アプリケーション)を主力製品とする会社だ。本社は京都にあるものの、営業や開発のメンバーは東京、シアトル、スイスにも分散している。
2019年1月の当連載、「価値創造時代のプロジェクトマネジメントは『自在な発想』で楽しもう」では、当時のageetが「Slack」や「Jira」など幾つものサービスを活用して効率的な分散ワークをしていることを紹介した。あれから2年、現在の分散ワークがどうなっているか岡崎昌人代表に確認したところ、IPaaS(Integration Platform as a Service)を使ってさらに効率化が図られていた。
2019年1月時点のageetの業務フローは図1の通りだ。
見慣れないサービスもあるので各サービスの機能を書いておく。
図1の業務フローでは、サービスとサービスの間の連携は人手で行っていた。電話の問い合わせ内容をチャットでグループに共有したり、タスク管理の情報をコピー&ペーストして別のサービスに渡したり、などだ。
業務フローにIPaaSを導入して効率化を図ったのが図2だ。
手入力やコピー&ペーストで進めていたサービスから次のサービスへの情報の受け渡しやサービスの起動を、IPaaSではAPIで自動化して効率化を図る。APIといっても後述するようにプログラミングの必要はなく、簡単に使うことができる。
RPA(Robotic Process Automation)と似ていると思われる方もいるだろう。RPAはあるシステムからのアウトプットを人間が別のシステムへPC画面から入力する、という原始的なシステム連携をbotによるPC操作の記録と再生によって自動化するものだ。システム連携はPC画面をインタフェースとする。IPaaSではPC画面は無関係であり、APIによるリアルタイムで効率的な連携ができる。
図2で新たに追加されたサービスは次の通りだ。
顧客から電話で問い合わせが入り、AGEphoneで受けると図3中央のようにJotFormのフォームがポップアップする。図3右の画面で要件の種別をチェックし、通話メモを追記して登録ボタンを押すとフォームがZapierに送られる。
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