データとアナリティクスのビジネス価値を増幅するDataOpsGartner Insights Pickup(202)

DataOpsの手法は、データパイプラインを構築、管理するための、よりアジャイルでコラボレーティブなアプローチを提供する。

» 2021年04月09日 05時00分 公開
[Laurence Goasduff, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 新型コロナウイルス感染症の大流行(パンデミック)に伴い、データとアナリティクスのリーダーは、データとアナリティクスの洞察をより迅速に提供し、絶えず変化する状況に直面してもより高い品質とレジリエンス(回復力)を実現する必要性が高まっている。組織は、自動化、リアルタイムのリスク評価および軽減、継続的な価値提供、アジリティに重点を置いて、より良い情報に基づいた迅速な意思決定を行う必要がある。

 そのため、データとアナリティクスのリーダーは、データパイプラインを構築、管理するためのよりアジャイルでコラボレーティブなアプローチを提供するDataOpsの手法の適用を進めている。

DataOpsとは?

 GartnerはDataOpsを、「組織内のデータ管理者とデータ利用者のコミュニケーションや、両者間のデータフローの統合と自動化を改善することにフォーカスした、コラボレーティブなデータ管理プラクティス」と定義している。

 「DataOpsのポイントは、人々のデータコラボレーションの在り方や、組織内でのデータの使い方を変えることにある」と、Gartnerのアナリストでディスティングイッシュト バイスプレジデントのテッド・フリードマン(Ted Friedman)氏は指摘する。

 「データパイプラインやデータプロダクトの開発は、仮想的な壁を越えて単にデータを渡すことではない。それでは誰かが問題を抱えることになってしまう。これらの開発は、バリュープロポジション(価値提案)に関する理解を共有し、共同で進める取り組みだ」(フリードマン氏)

DataOpsを成功に導くプラクティス

 DataOpsの実装を成功させるため、データとアナリティクスのリーダーは、DataOpsを組織内におけるデータの作成方法ではなく、データの活用方法と整合させなければならない。

 データとアナリティクスのリーダーが、3つの基本的な価値提案に合わせてDataOpsを進めれば、データの価値を最大限に引き出せるだろう。

(出所:Gartner)

1.ユーティリティー(※1)価値提案に合わせてDataOps戦略を展開する

 これは、データアクセスおよび管理における組織内のサイロや手動の作業をなくすユーティリティーとして、データを扱うことで可能になる。そうすることで、全ての主要な業務の担当者がデータとアナリティクスをすぐに利用できる環境が整う。データの所有者は1人ではなく、関連する役割が多数あるので、データ利用者のニーズが満たされていることを確認するために、データプロダクトマネジャーを割り当てる。

※1.ユーティリティー:公益サービスのような利便性。またはそうした利便性を提供するツール

2.DataOpsを利用して、自社がデータをビジネスイネーブラー(※2)として活用できるようサポートする

 この価値提案を実現するには、データとアナリティクスによって、詐欺検出やサプライチェーン最適化の分析、企業間データ共有といったユースケースをサポートする。DataOpsを通じて、こうしたユースケース向けの特定プロダクトの顧客である、ビジネス部門のステークホルダーとのコラボレーションを推進する必要がある。

※2.イネーブラー:何かを可能にする支援。またはそうした支援をするツール

3.データとアナリティクスのドライバ(※3)価値提案をサポートする

 データとアナリティクスを利用して、新しい商品やサービスの開発、新しい収入源の創出、新しい市場に参入する。例えば、新しいコネクテッドプロダクトのアイデアがラボで生まれたら、顧客が本番環境で利用できる品質のプロダクトへと発展させる必要がある。DataOpsにより、「このアイデアを実現できるかどうか」という問いを、「最適化され、ガバナンスが確保されたデータドリブンのプロダクトを、どうやって利用者に提供するか」という問いへとつなげていく。

※3.ドライバ:推進の基盤


 「自社に最も当てはまるのは、どのタイプのDataOpsの価値提案だろうか」と思われたかもしれない。答えは1つではない。どの企業も、集中管理型か分散型のどちらかのデプロイモデルで、3タイプ全ての価値提案に基づいてDataOpsを進めると予想される。

 それぞれの価値提案にふさわしいDataOpsにすれば、適切なデータによる、適切なタイミングでの、適切な価値提案の実現に向けて、ステークホルダーとデータ担当者のコラボレーションが促進されるだろう。

出典:How DataOps Amplifies Data and Analytics Business Value(Smarter with Gartner)

筆者 Laurence Goasduff

Director, Public Relations


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