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» 2021年04月16日 05時00分 公開

I&Oリーダーが注目すべきクラウドとエッジインフラストラクチャの今後の動向Gartner Insights Pickup(203)

エンタープライズインフラストラクチャは変化しており、I&Oリーダーに新たな機会と、新たな脅威をもたらしている。

[Katie Costello, Gartner]

ガートナーの米国本社発のオフィシャルサイト「Smarter with Gartner」と、ガートナー アナリストらのブログサイト「Gartner Blog Network」から、@IT編集部が独自の視点で“読むべき記事”をピックアップして翻訳。グローバルのITトレンドを先取りし「今、何が起きているのか、起きようとしているのか」を展望する。

 エンタープライズインフラストラクチャが今日のデジタルファーストの世界で進化し、変化する中、インフラストラクチャとオペレーション(I&O)のリーダーは、やるべきことに優先順位を付け、着実に実行していく必要がある。

 IoTデバイスの数が5年ごとに倍増しており、これに伴うセキュリティリスクの軽減が必要となっている。クラウドコンピューティングの利用も爆発的に拡大しており、エンタープライズアプリケーションのパブリッククラウドへの移行が進み、企業がデプロイ(展開)するアプリケーションの中でクラウドネイティブなものの比重が高まっている。エッジコンピューティングの導入も加速している。ハイパースケールクラウドプロバイダーがクラウド機能を分散し、よりエッジに近い場所から提供するソリューションの開発を進めているからだ。

 I&Oリーダーは、クラウドとエッジインフラストラクチャに関する以下の主要な展望を踏まえ、「場所を問わないオペレーション」の実現に向けて適切に準備する必要がある。場所を問わないオペレーションは、「顧客がどこにいてもサポートし、従業員がどこでも仕事ができるようにし、分散インフラ全体にわたるビジネスサービスの展開を管理するように設計されたITオペレーティングモデル」を指す。

分離またはセグメント化されたキャンパスネットワークデバイスのサイバー攻撃耐性が向上

 Gartnerは2029年までに、エンタープライズインフラストラクチャに接続されたIoTデバイスが150億台を超えると予測している。デバイスがいつどのように接続されるかを、I&Oリーダーが適切にコーディネートしなければ、企業デバイスやゲストデバイス、信頼できるデバイス、信頼できないデバイスのいずれも企業にリスクをもたらす。

 IT部門が自社のネットワーク上に、自らがインストール、セキュリティ対策、または管理していないIoTデバイスを見つけるのは珍しいことではない。こうしたデバイスは3分もしない間にハックされてしまうだろうし、侵害が発見されるまでに6カ月以上もかかってしまう恐れがある。

 デバイスの接続に関する共通のガバナンス構造について、全社的な合意を形成する必要がある。ガバナンス構造がないと、IT部門がネットワークを保護するためのコントロールを失う恐れがある。

 全てのデバイスを対象とした認定プロセスを構築し、デバイスをエンタープライズネットワークに接続する条件として、この認定プロセスに合格することを義務付けるべきだ。このプロセスの運用はIT部門だけで行うのではなく、必ず部門横断チームが担うようにする。

 デバイスをセグメント化、または分離することで、企業はサイバー攻撃への耐性を高められる。2023年までにこの措置を講じた企業は、サイバー攻撃の被害件数が25%少なくなる見通しだ。

クラウドへのデプロイが加速

 「2020 Gartner Cloud End-User Buying Behavior Survey」によると、ほぼ全ての回答者が、自社は今後12カ月間、クラウドコンピューティングに関する支出を維持するか増やす予定だと答えている。

 クラウドインフラストラクチャおよびプラットフォームサービス(CIPS)における急速なイノベーションにより、クラウドは、デジタルサービスと既存の従来型ワークロードの両方を支える事実上のプラットフォームとなっている。そのため、2023年までにエンタープライズワークロード全体の40%が、CIPSでデプロイされるようになる見通しだ。2020年には、この割合は20%にすぎなかった。

 また、新型コロナウイルス感染症の大流行(パンデミック)に伴い、クラウド戦略の再調整が行われ、従業員の分散化とセキュリティ確保を目的に、クラウドベースのコラボレーション、モビリティ、仮想デスクトップの導入が急速に進んでいる。クラウドの弾力性の恩恵を受けるディザスタリカバリーやスケールアウトアプリケーションのクラウドへの移行も、優先順位が高くなっている。

 「ITリーダーは、クラウドのビジネス価値を最大化するために、体系的かつ包括的な、先を見越したクラウド戦略を策定する必要がある。クラウド戦略は、クラウドネイティブプラットフォームや分散クラウドサービスといった分野における、業界の新たな発展に対応したものでなければならない」と、Gartnerのアナリストでシニアディレクターの、ジョン・マッカーサー(John McArthur)氏は指摘する。

今後5年間で大きく変わるエッジコンピューティングソリューション

 エッジコンピューティングプラットフォームは、エッジで、またはエッジの近くでアプリケーションが動作し、データ処理が行われる安全な分散コンピューティングアーキテクチャを、ゼロタッチで実現するソフトウェアとハードウェアで構成される。

 ハイパースケールクラウドプロバイダーは、クラウドによる一元管理と、一般的なクラウドおよびエッジの共通機能のポートフォリオを拡充している。そのため、エッジ近くでの幅広いコンピューティング要件に適切に対応できる態勢が整っている。

 それでも、2023年末までに、ハイパースケールクラウドプロバイダーによって提供、管理されるエッジコンピューティングプラットフォームの割合は20%にとどまる見通しだ(2020年には、この割合は1%に満たなかった)。

 エッジコンピューティングは、低遅延、エッジで増大するデータの処理、ネットワークの中断に対するレジリエンス(回復力)のサポートへの需要拡大に対応する。

 「エッジコンピューティングは非常に幅広いため、多くのサブマーケットをサポートする。だが、何全ものカスタムパターンをサポートする体制から、数十のみをサポートするように進化していくだろう。クラウドプロバイダーがエッジに至るまで重要な役割を果たし、エッジソリューションを補完するようになるだろう。企業はシングルベンダーアプローチではなく、パートナーシップやエコシステムに依存して、クラウドベースの分散ソリューションを将来性のあるデフォルトのエッジソリューションとして優先することが不可欠である」(マッカーサー氏)

出典:Gartner Predicts the Future of Cloud and Edge Infrastructure(Smarter with Gartner)

筆者 Katie Costello

Manager, Public Relations


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