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» 2021年05月31日 10時00分 公開

ヴェールに包まれたリクルートの研究組織。“次のイノベーション”の作り方

今はまだ存在しない、世の中を変える“何か”を見つけ、自社だけではなく日本をDXしていきたい。リクルートのチャレンジに迫る。

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 「リクルート」という名前から思い浮かべるイメージは、人によって千差万別ではないだろうか。就職、アルバイト探しに始まり、飲食店や宿泊先を探したり、結婚式場を探したり……とても一言では言い表せない幅広い事業を展開しているが、その根本は、人生で直面するさまざまな選択における「意思決定」を支援するサービスの展開にある。

 かつて人々は意思決定する際に、紙の媒体やPCとインターネットを使っていた。近年はスマートフォンやモバイル端末が台頭し、IoTやVR/AR(仮想現実/拡張現実)、音声インタフェースといった新たなテクノロジーも登場している。近い将来は、さらに多様なデバイスを活用して、意思決定を下すようになるかもしれない。

 こうしたユーザーの意思決定の変化に合わせて、リクルートもテクノロジーを活用して変化してきた。

 リクルートのサービスは、最初、紙媒体での提供が主だった。インターネットが普及してきた2000年前後からWebへの転換を志向し、現在は、Webはもちろん、スマートフォン向けにさまざまなアプリを展開している。意思決定を支援するプラットフォームの運営にとどまらず、ユーザーが直接課金する「スタディサプリ」や、中小企業などに向けた業務、経営支援サービスの「Air ビジネスツールズ」など、これまでとは異なる新たなビジネスモデルへの拡張も進んでいる。

 そのような進化をし続けてきたリクルートは今、世の中に合わせて変化していくだけでなく、世の中のイノベーションをリードする“何か”を見つけようとしている。

 その“何か”を見つけるために創設されたのが、都内某所に存在する研究機関「アドバンスドテクノロジーラボ」(ATL)だ。

「技術を通して世の中をどう変えたいか」を問い続ける

 ATLはリクルート社内でも詳細を知る者が限られている、謎の多い組織だ。「選ばれし者しか所属できない」「少数精鋭」など、ハードルの高いうわさがある。実態はどうなのだろうか。

 現在ATLには、専任で4人、兼務で3人の研究員が所属している。金融や出版など他業界を経験した研究者や、リクルートのビジネスサイドで事業に取り組んできた研究員など、バックボーンはさまざまだ。いずれも「現場では実現できない中長期を見据えた研究で、世の中を変えたい」とATLに異動してきた。

 ATL マネジャーの伊豆原大也氏は、「入所希望者とは面談を行い、何のためにATLに入りたいのかじっくり話を聞きます。『こういう技術を研究したい』だけの人には入所をお断りしますが、『その技術を使って世の中をどうしたいのか』に強い思いがあれば、歓迎します」と、入所要件を定義する。

 「正解のない問題に取り組み続けなければいけないのがATLです。事業部門から欲しいと言われたものをその通りに実装するだけでは、普通の、正解のあるIT開発になってしまいます。そして、正解がない問題だからこそ、困難も多く、道のりは混沌(こんとん)を極めます。だからこそ、どれだけ高い壁にぶち当たっても『絶対に世の中のためにこれが必要なんだ』という強い信念が必要なのです」と、ATL 所長の竹迫良範氏も述べる。

 なおリクルートグループには、「Ring」という新規事業提案制度もあり、ここから「ゼクシイ」や「スタディサプリ」といった新規事業が生み出されてきた。

 「Ringは、課題解決のマーケットイン型の事業開発です。対するATLの研究は、ビジョンドリブン型のアプローチです。潜在的な理想を追求し、そのためにどんな技術を使えるか、どんな技術を開発すべきか、を考えるところです。プロセスは全然違いますが、リクルートにはその両輪が必要だと考えています」(竹迫氏)

世の中を変える“何か”を生み出すATLの研究群

 5年後、10年後を見据え、世の中のスタンダードを変えていく可能性を持った技術を検証し、実験し、社会実装につなげていくことを役目としたATLでは、今も複数の研究プロジェクトが進行中だ。過去事例も含め、その一部を紹介しよう。

識別不可能と思われていた人の声や板書を認識!? 勉強効率に革新を起こすキーワード検索

 「スタディサプリ」は、いつでもどこでも何度でも、オンラインで講義を受講できるオンライン学習サービスだ。この「何度でも」をより強化したいと考えて生まれたのが、2018年にリリースした「スタディサプリインサイト」だ。

 スタディサプリインサイトを使えば、学生が特定の箇所を復習したいと思ったとき、どの講義のどの辺りで解説しているのかを検索で即座に調べられる。その実現には、音声認識と画像認識技術を活用した。

 講師ごとに文字の癖があり、黒板の前を動いたり、一度書いたものを消してどんどん書き換えたりするため、手書きの板書を認識するのは非常に困難であった。そこでスタディサプリインサイトは、二次元の画像を「動く講師」と「黒板に書かれた文字」に分け、さらに講師ごとの文字の特徴点を抽出して癖を認識し、講義動画に含まれる講師の説明や板書から単語を抽出して検索できるようにした。

 この事例は、もともとATLが音声認識研究を進めており、それを聞き付けたスタディサプリの担当者が連絡してきたことで始まった。研究していた技術を実際のサービスに実装することで、リクルートのビジネスの推進につながった。将来的にはデータをAIに適用し、チューターの役割を果たすというアイデアもあるという。

※スタディサプリインサイトはリアル校舎スタディサプリラボのみで提供していたが、現在は、スタディサプリの標準機能として音声認識での検索機能を提供中

VRでデータの世界に入り込み、リアルタイム分析を可能に

 今やどんな事業にもデータ分析は不可欠だが、それにはデータマイニングの専門的な知識を持った人材が欠かせない。そうした人材が解析を行う場合にも、「階層化された処理のつながりの中で、どの特徴点を捉え、どう分析するか」を見いだすまでにさまざまな試行錯誤が必要で、これまでは多数の二次元のグラフを、ディスプレイを並べたり、プリントアウトしたものを見比べたりして検討していた。また、一度DNN(ディープニューラルネットワーク)を作成して検証し、また別のDNNを作っては検証し……という具合に多数の時間とマシンパワーを費やす必要もある。

 ATLが取り組んでいる「DNNの可視化」の研究は、VRヘッドマウントディスプレイを活用し、まるでSF映画のように自分が分析空間に入り込んで三次元のグラフを動かしていく。多数の次元で切り分けられたグラフの間を行ったり来たりしながら「ここを取り出してみれば、きれいに切り分けられるな」といった具合に、より良い分析の仕方を直感的に把握できる。活用すれば、リアルタイムな分析が可能になる可能性もある。

 「ディープラーニングに関する知識がない人でも、自分のやりたいことを、より早く、より高いクオリティーで実現できるようになります。そこから、世の中に新しい価値を生み出していけるのではないかと考えています」(伊豆原氏)

 マーケティング分析の際にペルソナの区切り方が適切かどうか、素早く簡単に判断を下せるようになるかもしれないし、ブラックボックスになりがちな、AIがなぜその判断を下したかを示す「説明可能なAI」にも活用できるかもしれない。

 本件はリクルートの事業サイドのプロデューサーだった研究員が、自らが分析を行う中で課題を感じたことがきっかけだったという。まだ社会に具体的なニーズは出ていないが、将来的には、漫画やアニメで有名な「攻殻機動隊」に出てくるタチコマのようなナビゲーターを付けて、分析をさらに分かりやすく行えるようにすることも構想にあるという。

“次のイノベーション”を予測せよ

 この十数年を振り返っただけでも、スマートフォンや仮想通貨など、社会に大きなインパクトを与えたイノベーションが次々と生まれてきた。それらを支えているのは、それ以前からさまざまな分野でこつこつと進んできた研究たちだ。それらが化学反応を起こし、新たなイノベーションが誕生する。

 そうしたイノベーション間の関係性を明らかにして、「ある分野の発展が、他の分野にどのようにつながり、どう発展していくか」を見いだしていこうというのが、東京大学と共同で進めている「イノベーションと知的生産に関する実証研究」だ。論文データベースも参照しながらイノベーションに関する数式化したモデルを作成して、法則を見いだしていこうとしている。

 「次のイノベーション」を見いだせれば、リクルートとしてもいち早く投資を行い、より大きな果実を得られるだろうし、来るべき技術を「トレンドキーワード」として社会に提示することも可能になるかもしれない。さらには、限られた資金や人的リソースを、マクロの視点でどこに投じるべきかを判断し、国家レベルの科学技術政策に生かしていく可能性も秘めている。

 「ATLは今やるべきことではなく、ジャンプしたことに取り組む場所です。非連続な発展をATLで実現させたいのです」と竹迫氏は語る。「4年前から量子コンピュータの研究にも取り組んでいます。量子コンピュータは、今はまだ実験段階ですが、30年後になれば恐らく当たり前のように使われるようになってくるでしょう」と予測し、未来に先駆けて集中的に研究していきたいとした。

Webの次に来る“何か”を模索し、非連続な発展を先取りする

 リクルート自身も、そしてATLも「現状に甘んじないことが大事。Webの次に来る新しいものが絶対あるはずです」と、竹迫氏は述べる。

 そのためにATLでは、多様性のあるメンバーを受け入れ、オープンイノベーションを重視しながら研究を続けている。ウィズコロナ、アフターコロナで世界は一変したが、時代の先をにらみ、「非連続」な成長や発展を技術でどう実現するかを提示していくという。

 「技術力だけでは、本当に世の中を変えるのは難しい。営業力、顧客接点力、データ量や幅広い領域のサービスを持っているリクルートだからこそ、本当に優れた技術が生まれたときに、社会実装でき、日本全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を加速させられる。だから、リクルートがやる意味がある。われわれの試みが、ひいては日本全体のDXの加速に寄与できるかもしれないと考えています」(竹迫氏)

ATL マネジャー 伊豆原大也氏(左)、所長 竹迫良範氏(右)

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