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SMBに乗り換えたMac――WindowsとMacのファイル共有のいま(前編)その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(26)(1/3 ページ)

今回と次回は、WindowsとMacのファイル共有状況について、SMBトラフィックのキャプチャ結果から探った結果をお伝えします。

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あの頃、君(Mac)とは話しにくかったよなぁ……

 今は、会社や組織のネットワーク内にWindowsとMac(Macintosh)が混在していても、ファイルのやりとりで困ることはないと思います。でも、昔はそう簡単ではありませんでした。

 Windowsにネットワーク機能が標準搭載されるようになったのは、Windows 95からです。それ以前は、ハードウエア(ネットワークアダプター)もソフトウエア(TCP/IPプロトコルやネットワークOS)も別製品を購入し、追加するものでした。

 一方、Macはネットワークポート(LocalTalkやEtherTalk)を標準搭載し、「AppleShare」によるファイルやプリンターの共有が可能でした。AppleShareはネットワークプロトコルに「AppleTalk」を、ファイル共有プロトコルには「Apple Filing Protocol(AFP)」を使用していました。

 Windowsのファイル共有は「NetBEUI」やTCP/IP上の「Server Message Block(SMB)」、Macのファイル共有はAppleTalk(後にTCP/IPに移行)上のAFPですので、当然、そのままではWindowsとMac間で相互にやりとりすることはできません。両者間でファイル共有を実現するためには、Windows側にAppleTalkとAppleShareのサポートを追加するソフトウエア製品を導入し、WindowsからMacのAppleShareに接続するという方法を採ることがありました。

 Windows NTが登場すると、相互運用性が一気に高まりました。Windows NTはAppleTalkを標準でサポートし、「Services for Macintosh(SFM)」というMac向けのファイル/プリンター共有サービスを標準機能として提供したからです(画面1)。

画面1
画面1 Windows Server 2003 R2まで提供されていた「Services for Macintosh(SFM)」は、サーバーベースでWindowsとMac間のファイルとプリンターの共有を可能にした

 SFMを使えば、WindowsのNTFSボリュームにあるフォルダーをSMBだけでなく、AFPでも公開できます(画面2)。また、Windowsに接続されたプリンターにMacから印刷することも可能になります。SFMはWindows Server 2003 R2まで提供され、Windows Server 2008からは削除されました。

画面2
画面2 MacからはSFMを実行するWindowsのファイルサーバーが、AppleShareのファイルサーバーとして見える

 ここまでは古いMacとWindows間のファイル共有の話です。具体的には、Mac OS X 10.1 Puma以前、およびMac OS 9.2.2以前の古いMacです。

 最近のMacとWindowsのファイル共有環境は、以前とはかなり状況が変わってきました。今はもう、SFMは必要ありません。ファイルを共有するためにサーバーを立てる、そんな面倒でコストが掛かる作業は必要ないのです。では、どう変わったのでしょうか。最新のOS X 10.10 Yosemiteを使って、ファイル共有プロトコルやその下位のプロトコルの視点からのぞいてみましょう。

Yosemiteの新機能「SMB 3」とは? Windowsとの関係は?

 Macは、Mac OS X 10.2 JaguarからSMBのサーバーおよびクライアント機能を標準搭載しています。そのため、MacからWindowsへの接続およびWindowsからMacへの接続は、簡単な設定ですぐに開始できます。

 本稿執筆時点のMacの最新バージョンは、OS X 10.10 Yosemite(以下、Yosemite)です。Yosemiteの新機能を紹介するアップルのWebサイトには、「SMB 3」が新機能という扱いになっていることに注目してください。ちなみに、一つ前のOS X 10.9 Mavericks(以下、Mavericks)では、「SMB 2」が新機能と紹介されていました。

 Yosemiteの新機能「SMB 3」は、Windowsとの相互運用性をうたったものではありません。「SMB 3」の紹介文の中でも“Windows”については触れられていません(画面3)。

画面3
画面3 「SMB 3」はYosemiteの、「SMB 2」はMavericksの注目の新機能

 “新機能「SMB 2」「SMB 3」”が意味するところは、Mavericksからメインのファイル共有プロトコルがAFPからSMBに変更され、MavericksではSMB 2.x、YosemiteではSMB 3.xに対応しているということになります(画面4)。

画面4
画面4 画面左はMac OS X 10.6 Snow Leopard、画面右はYosemite。以前はオプションだったSMBが、Mavericksからはメインのファイル共有プロトコルになった。なお、AFPも互換性のため既定で有効になっている

 WindowsとMacの間はもちろんSMBですが、2台のMac間のファイル共有でもSMBが使用されるのです。つまり、Macは自社技術のAFPから、マイクロソフトの「MS-SMB2」(SMB 3.0/3.02を含む、SMB 2.0以降のプロトコル仕様)に、ファイル共有プロトコルを乗り換えたということになります。

 さて、Macの「SMB 3」がWindows 8/Windows Server 2012の「SMB 3.0」なのか、それともWindows 8.1/Windows Server 2012 R2の「SMB 3.02」なのか、筆者としては非常に気になります。「SMB 2」が、Windows Vista/Windows Server 2008の「SMB 2.0」なのか、Windows 7/Windows Server 2008 R2の「SMB 2.1」なのかもです。皆さんも気になりませんか?

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