いよいよ完全終了へ。Internet Explorer(IE)サポート終了スケジュール
長らくWindows OSに標準装備されてきたInternet Explorer(IE)。その「寿命」は各種サポートの終了時期に左右される。Windows OSごとにIEのサポート終了時期を分かりやすく図示しつつ、見えてきた「終わり」について解説する。
対象ソフトウエア:Windows 2000/Windows XP/Windows Vista/Windows 7/Windows 8/Windows 8.1/Windows 10、Windows Server 2003/Windows Server 2008/Windows Server 2008 R2/Windows Server 2012/Windows Server 2012 R2/Windows Server 2016/Windows Server 2019、IE7/IE8/IE9/IE10/IE11
■記事内目次
Windows OSには、いずれかのバージョンの「Internet Explorer(IE)」が必ずインストールされている。そして、ユーザーが直接使うWebブラウザに限らず、さまざまなアプリケーションがHTMLファイルなどを表示する際のコンポーネントとしても、IEはよく利用されている。
そのIEに「寿命」があることはご存じだろうか? 過去にWindows XPやWindows 7でよく話題に上った「サポート終了時期」のことである。サポートが終了すると、IEが実質的に利用できなくなったり、機能が限定されたりするため、IEを使うことがあるなら、そのサポート終了時期は知っておいた方がよい。
本Tech TIPSでは、Windows OSごとに、サポートされているIEのバージョンおよびその終了時期が一目で分かるように図で表してみた。さらにネットサービスによるIEサポート終了の動きについてもまとめている。IEから他のブラウザへ移行する計画立案などの役に立てば幸いだ。
Windows 10/8.1のIEサポート終了時期
Windows 8.1やWindows 10といったクライアントWindows OSのIEサポート終了時期は以下のとおりだ。緑色のバー(横棒)が、Microsoftの製品ライフサイクルにおけるサポート期間を表す。一方、オレンジ色の縦点線は、「Microsoft 365(Office 365)」というマイクロソフトのサービスにおけるIEのサポート終了期限を表す。それぞれの詳細は後ほど説明する。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 2000 Professional | IE5/IE5.5/IE6 | サポート終了 |
Windows XP | IE6/IE7/IE8 | サポート終了 |
Windows Vista | IE7/IE8/IE9 | サポート終了 |
Windows 7 | IE8/IE9/IE10/IIE11 | サポート終了 |
Windows 8 | IE10 | サポート終了 |
Windows 8.1 | IE11 | 2023年1月10日 |
Windows 10(LTSB/LTSC以外) | IE11 | 2025年10月14日 |
Windows 10 Enterprise 2015 LTSB | IE11 | 2025年10月14日 |
Windows 10 Enterprise 2016 LTSB | IE11 | 2026年10月13日 |
Windows 10 Enterprise 2019 LTSC | IE11 | 2029年1月9日 |
●Window 10ではアップグレードを怠るとサポート期間が短くなる!?
上図や上表にある「LTSB」「LTSC」は、Windows 10の中でも特殊なタイプで、バージョンアップ(アップグレード)しなくても長期にわたってサポートが提供される。一方、市販のPCにプリインストールされていたり、単体で小売り販売されていたりするのは、上図の「Windows 10(LTSB/LTSC以外)」の方だ。こちらの方が目にすることが多いだろう。
その「Windows 10(LTSB/LTSC以外)」の場合、半年ごとにリリースされるWindows 10の新バージョンへのアップグレード(機能アップデート)をしないでいると、最初のリリースから1年半〜3年程度、すなわち2025年10月より前にサポートが終わってしまう。その場合、その上で動作するIEのサポートも同時に終了するので注意が必要だ。Windows 10のサポート期間については、以下の記事を参照していただきたい。
- TIPS「Windows 7/8.1/10のサポート期間早見表」
- Windows 10 Creators Updateのリリース前にサポートポリシーを再確認(@IT Server&Storageフォーラム)
- Windows as a Serviceを正しく理解しませんか(@IT Server&Storageフォーラム)
Windows ServerのIEサポート終了時期
Windows ServerのIEサポート終了時期は以下のとおりだ。
OS | IE | サポート終了日 |
---|---|---|
Windows 2000 Server | IE5/IE5.5/IE6 | サポート終了 |
Windows Server 2003 | IE6/IE7/IE8 | サポート終了 |
Windows Server 2008 | IE7/IE8/IE9 | サポート終了 |
Windows Server 2008 R2 | IE8/IE9/IE10/IE11 | サポート終了 |
Windows Server 2012 | IE10 | サポート終了 |
Windows Server 2012 | IE11 | 2023年10月10日 |
Windows Server 2012 R2 | IE11 | 2023年10月10日 |
Windows Server 2016 | IE11 | 2027年1月12日 |
Windows Server 2019 | IE11 | 2029年1月9日 |
IEのライフサイクルにおけるサポート終了の影響
前出の図で、緑色のバー(横棒)は、MicrosoftがIEのユーザーに提供する各種サポートの提供期間を表している(「サポートライフサイクル」などと呼ばれる)。そのサポートの中で特に重要なのが、脆弱性(ぜい弱性: セキュリティの不備)を修正するセキュリティ更新プログラムの無償提供だ。サポート期間中に脆弱性が見つかると、Microsoftはそれを修正する更新プログラムをWindows Updateなどで無償配布して、マルウェアなどによる脆弱性への攻撃を阻止する。
一方、サポート期間が終了すると、脆弱性が見つかってもセキュリティ更新プログラムの無償提供はされない(社会的に重大と判断される場合は例外的に提供されることがある)。有償サポートを契約しない限り、脆弱性は修正されずに残るため、マルウェアなどによる攻撃を受けやすくなり、システムの乗っ取りや情報漏えいといったセキュリティ上の危険性が大幅に高まる。
このサポート期間を過ぎても、IEの機能は特に変わるわけではなく、技術的には引き続きブラウザとして利用できる。だがセキュリティ上、危険な状態に陥る以上、サポート終了後は使い続けることができない、と考えるべきだろう。
MicrosoftのネットサービスがIEのサポートを2021年8月に終了
前述のライフサイクル上のサポート終了は、Windows 10なら2025年〜2029年とまだ余裕が感じられる。だが、それとは別にIEの実質的寿命を縮める、もう1つのサポート終了が近づいている。
前出の図で、オレンジ色の縦点線は、Microsoftのネットサービス「Microsoft 365(Office 365)」で、IEのサポートを止める時期を表している。Microsoft 365に限らず、一般的にネットサービスでは利用可能なブラウザやクライアントアプリケーションの対象が限定されている。その対象からIEを外す予定が明確に示された、ということだ。これは2020年8月にMicrosoftが発表している。
具体的には、2021年8月17日を過ぎると、Microsoft 365のサービスにIEでアクセスすると、以下のような現象が生じるとのことだ。
- 利用できる機能が限定される(IEで使えない機能が増える)
- Microsoft 365の新機能が利用できない
Microsoft 365のようなネットサービスでは、数カ月間といった短いサイクルでどんどんサービス内容が拡充(変更)されていく。2021年8月17日を過ぎると、IEではこうしたサービス変更についていけなくなる。実質的にMicrosoft 365をIEで利用できなくなる日が近づいている、といえるだろう。
他のネットサービスも追随してIEのサポートを止める可能性は?
では、Microsoft 365を使っていなければ、2021年8月以降もIEは使い続けられるのだろうか? 筆者の推測だが、他のネットサービスもMicrosoft 365に追随するように、続々とIEのサポートを止めてしまう恐れがある。
なぜなら、ネットサービス事業者にとってサービスをIEに対応させるためのコストが重荷だからだ。
●ネットサービス事業者がIEのサポートを止めたい理由
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