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Windows Server 2003のサポート終了は10年先を見据えた経営革新の機会とせよサポート終了直前緊急特別対談

直前に迫ったWindows Server 2003の延長サポート終了。日本マイクロソフトは新しいIT基盤への1日も早い移行をユーザー企業に呼びかけている。この取り組みは、今どこまで進んでいるのか。企業の経営者にIT投資を納得してもらうには何が求められているのか――。ジャーナリストの松岡功氏が日本マイクロソフトの佐藤久氏に迫った。

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新聞広告やテレビで周知に努め、残り14万台までに減少

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日本マイクロソフト 業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部長 佐藤久氏

松岡功氏(以下、敬称略) ITに関わる今年の重要なアジェンダの一つは間違いなく「Windows Server 2003のサポート終了」です。期限の「2015年7月15日」まで3カ月を切ったわけですが、現在の状況はいかがでしょうか。

佐藤久氏(以下、敬称略) あらためてお知らせしたいのですが、Windows Server 2003/2003 R2は「2015年7月15日」(日本時間)に全てのサポートを終了させていただきます。通常はメインストリームサポートが5年、延長サポートの5年、合わせて10年が製品のサポート期間になります。Windows Server 2003はメインストリートサポートを通常より長い「7年2カ月」に設定しましたので、トータルでは12年2カ月という長期間サポートさせていただきました。

松岡 ユーザー企業側の対応について、IT系のメディアでは「移行が完了しているのは半分程度」という記事が目に付きますが、この件についてはいかがでしょうか。

佐藤 母数をどう見るか、つまり物理サーバーで数えるか、仮想化されたゲストOSまで含めるかによると思います。マイクロソフトでは2014年12月末の時点で、Windows Server 2003の稼働台数は物理サーバーで約21万台と推定しています。これは日本国内の総サーバー出荷台数の約8.8%に当たる数字です。その後も移行は進んでいますので、2015年3月末時点で残りは約14万台。これを7月15日のサポート終了日までに5万台にする、というのが現在の目標になります。

松岡 1〜3月の3カ月で7万台減という実績について、どのように評価されていますか。これなら順調だ、後は詰めていける、と。

佐藤 そこそこのペースだと思います。2014年12月時点の調査で大都市圏以外での移行が遅れていることが分かりましたので、地方紙6紙計450万部に広告を出したり、27のテレビ局の地方局の情報番組でWindows Server 2003のサポート終了について取り上げてもらったりといった施策を実施してきました。経営者層にもメッセージを届けるために、商工会議所と経済産業省との共同セミナーを3月末までに全国20カ所で開催し現在も継続的に実施しています。

図1
図1 マイクロソフトでは、2015年3月末現在で推定14万台稼働しているWindows Server 2003を、サポート終了日の7月15日までに約5万台までに減らすことを目標に掲げている《クリックで拡大します》
図2
図2 大都市圏以外にも、地方の企業、経営者層にもWindows Server 2003のサポート終了を認知、理解してもらうために、これまでにはないさまざまな施策を実施している《クリックで拡大します》

移行遅れの最大の理由は予算だが、3カ月あれば移行は十分に可能

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ITジャーナリスト 松岡功氏

松岡 7月15日には5万台を残すという目標ですが、そもそも、なぜ5万という数なのですか。

佐藤 5万台という数字は出荷総数の約2%強に当たり、セキュリティソフトでの延命対策、ネットワークに繋がず組み込みでの利用されているものなどを考慮して、5万台を目標にしています。

松岡 すると、4月1日からの3カ月半で減らさなければならない台数が9万。移行作業が3カ月で終わるかも心配ですね。

佐藤 進捗については、Windows 2000 Serverのときと同様で、サポート終了直前3カ月の“ラストスパート”があると見ています。お客さまを対象にした調査でも「移行予定なし」は従業員数250人以上の企業で4.8%、250人未満の中堅中小規模の企業でも10.7%しかありません。移行の期間についても、片倉チッカリン株式会社様のように、わずか3カ月でWindows Server 2003ベースのデータウエアハウスサーバーをWindows Server 2012 R2 Hyper-V上の仮想化環境にリプレイスした実例もあります。残り3カ月になっても、まだまだ大丈夫です。

松岡 「間に合わない」や「移行予定なし」と回答している企業は、どのような理由を挙げているのですか。

佐藤 2015年3月末で未移行の企業のうち、「7月15日までに移行する」と回答した企業は約41.9%です。移行遅れの理由としては「4月からの新年度で計画」が最も多く、その次が「マイナンバー法対応と合わせて実施」になっています。

松岡 マイナンバー法対応はWindows Server 2003のサポート切れとは関係ないのではありませんか。

佐藤 おっしゃる通りなのですが、マイナンバー法が関係する人事・給与システムや財務会計システムにWindows Server 2003上で稼働しているものが多いことは確かです。また、移行とマイナンバー対応を同時に行う方が“予算化しやすい”という事情があるのかもしれません。

松岡 移行しない企業はWindows Server 2003をそのまま使い続けるということですか。

佐藤 いいえ、セキュリティ対策ツールで延命を計画している企業がほとんどです。これまで何度もご説明させていただきましたが、サーバー仮想化がセキュリティ対策になるわけではありませんから、誤った認識を改めていただくための活動をこれからも続けていかなければなりません。

サポート終了日までに9万台を減らすため、これからもあらゆる手を打っていく

松岡 3カ月で9万台を減らすために、今後、どのような手を打っていく予定ですか。

佐藤 商工会議所、経済産業省との共同セミナーは、4月以降も実施していきます。また、中堅中小規模の企業に向けた「Openライセンス10%ディスカウントキャンペーン」も6月まで延長しました。移行の最大の阻害要因として挙げられた予算化の課題をクリアしていただくためには、ファイナンシングのプランも提供していきます。発注時ではなく本稼働後に一括払いする据え置き型のプランと、本稼働までの工程ごとの支払いで初期投資を小さくするプランの2種類があります。

松岡 ここは難題だな、と感じていることはありますか。

佐藤 それほど多くはないと思うのですが、社内にWindows Server 2003のサーバーが何台あるか分からないというお客さまもいます。この対応が難題になりますね。把握できていなければ有効な対策も打てませんから。そこで、“棚卸し”をしたいというお客さま向けに無料の「探索サービス」などをパートナー企業から提供してもらっています。

松岡 その「探索サービス」はどのようなものですか。

佐藤 社内ネットワークに探索装置を1週間くらい設置しておくと、Windows Server 2003とやりとりを自動検知してサーバーを確実に見つけ出してくれます。

松岡 Windows Server 2003からの移行を進めていくには、ユーザー企業と直接に接する販売店やシステムインテグレーターなどのパートナー企業との関係も重要ですね。

佐藤 はい。パートナー企業のシステムエンジニア(SE)、約2万人以上のトレーニングはすでに完了しています。現在進行中の「待ったなし、Windows Server 2003移行キャンペーン」では、そうしたSEの技術力とパートナー企業各社が持つ移行サービスの組み合わせをお客さまに提供していくことが重要な施策の一つになっています。

図3
図3 中堅中小規模の企業には、ライセンスなどのディスカウントで移行を支援する《クリックで拡大します》

経営革新シナリオを提案することで、経営層の理解と納得を得ていきたい

松岡 これは1年ほど前から自分のコラムや記事で指摘してきたことですが、「サポート終了後もWindows Server 2003を使い続けるとセキュリティの問題が生じます、ですから新しいIT基盤に移行してください」という言い方では経営者に響きません。Windows XPサポート終了のときとは、移行の様相が全く異なるのです。今セキュリティ対策を急ぐことは確かですが、経営者が求めているのは「サーバーを替えて、それをビジネスにどう活用するか」という経営革新のシナリオです。ベンダーは、そのシナリオを提示しなければなりません。

佐藤 その考えに基本的には賛成です。今、マイクロソフトはマルチOS、マルチデバイス、マルチクラウドのIT環境を一つのコンソールで管理できる世界を目指しています。Windows Server 2003のサポート終了を機にIT基盤を刷新するのであれば、ぜひ10年先を見据えたIT投資をしていただきたい。経営スピードにマッチするITを目指すのであれば、クラウドの積極的な利用をお勧めします。

松岡 実際、安定稼働しているWindows Server 2003システムをなぜアップグレードしなければならないんだ、という声をよく耳にします。

佐藤 そのようなITでは、とても現在の経営スピードに追い付いていけないでしょう。

松岡 新しいIT基盤はビジネスでどのように活用できるのでしょうか。

佐藤 例えば、クラウドと組み合わせれば事業継続計画(BCP)を安価に実現できますし、サーバー仮想化によるシステム統合もWindows Server 2003の時代にはなかった使い方です。また、現在のサーバーハードウエアはWindows Server 2003が登場した12年前に比べものにならないくらい高性能になっていますから、サーバーを買い替えるだけでも高いパフォーマンスとサーバー統合などさまざまなメリット得られます。これまで夜間のバッチ処理で行ってきた分析をリアルタイム化できるだけでも、経営のスピードは確実に高まります。

松岡 経営革新のシナリオとして、マイクロソフトではどのようなものをユーザー企業に提示されますか。

佐藤 お客さまのニーズに合ったクラウドサービスを提供するために、マイクロソフトのパートナー企業と協力し、クラウドソリューションを提供しています。さらに多くのニーズに、お答えできるように、新たなサービスを提供していきますので、ご期待ください。

松岡 ぜひ、お願いします。新しいIT基盤でビジネスがどう変わるかを、長期的・全体的な視点でユーザー企業に提案し、納得してもらう――。それができていれば、現実には今年はサーバーの入れ替えだけにととまるとしても、付け焼き刃の対策に終わることはないはずですから。


提供:日本マイクロソフト株式会社
アイティメディア営業企画/制作:@IT 編集部/掲載内容有効期限:2015年6月30日

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