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技術の壮大な無駄遣いはIoTや人類の未来を示すのか〜「おばかIoTアプリ選手権2016 Summer」レポート(1/4 ページ)

おばかアプリとIoTが出会ったら何が起きるのか――厳正な審査を通過した10作品のプレゼンと表彰式の模様をお伝えする。

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 あの伝説のコンテスト、「おばかアプリ選手権」が帰ってきた!

 高度なIT技術を駆使しつつも、全くといっていいほど世の中の役に立たないおばかなアプリを作り、そのくだらなさを競い合うという、世界一志が低いこのコンテスト。しかも今回は、意識が低いにもかかわらず、なぜか「IoT」(Internet of Things)という意識高い系のキーワードを使い、「おばかIoTアプリ選手権2016 Summer」と銘打って開催された。

 “おばか”と“IoT”という、相性が悪そうな組み合わせであるにもかかわらず、「おばかだってIoTできるもん!」と全国のIT技術者から多くの応募が寄せられた。それらの中から、厳正な審査を通過した10作品が決勝まで勝ち進み、2016年7月23日に日本マイクロソフトのセミナールームで行われた決勝戦において、「おばかによるおばかな」プレゼンが行われた。

審査員を務めたサイエンスアーティストのアレクシー・アンドレさん(左)と「おうちハック」の大和田茂さん(右)

 本稿は、10作品のプレゼンと表彰式の模様をお伝えする。


司会を務めた、“おばかアプリの母”河内典子さん(左)と、過去の選手権で多数の司会を務めたテリー植田さん(右)

小学4年生のころの夢をIoTで現実のものに!

 トップバッターとして登場したのは、おばかアプリ選手権史上、最多の出場記録を誇り、今回のおばかIoTアプリ選手権では審査員も兼務する野崎錬太郎さん。さすがは百戦錬磨の猛者。トップバッターとしてのプレッシャーを微塵も感じさせず、表情1つ変えずに登場した野崎さんが出品したのは、「小学4年生の夢」というアプリ。

 「小学4年の頃、パンチやキックを繰り出しながら、漫画のように『ズドーン』『バコーン』という擬音が実際に出ればいいなと思いませんでしたか? 現代のIoT技術を駆使すれば、自ら『ズドーン』『バコーン』などと口に出さずとも、自動的に擬音を出せるようになるかもしれない。まさに小学4年の夢ですよね!」

審査員も務めたトップバッターの野崎錬太郎さん(左)と尻に装着したセンサー(右)

 そう言って、尻にセンサーを設置し、アシスタントに「ぺチン」とたたいてもらうとスマートフォンの画面に「ズゴゴーン」の文字が!

 「文字だけで音は出ないんですか?」という司会者からの質問に対して、野崎さんは眉1つ動かさずに「たたく人が自分で『ズゴゴーン!』と叫べばいいんです」と平然と答え、会場中が「????」という空気に包まれる中、アシスタントともども最後まで表情を一切変えることなくプレゼンを終えた。


アシスタントが尻をたたく様子

最適な「サボり方」をIoTを駆使して提案!

 2番手として登場したのは、DMM.comラボ ロボット事業部の大道寺寿文さん。

 あやしげな黒い人形(?)を肩に乗せて登場した大道寺さんは来場者に向け「仕事をさぼりたいなあと思うこと、誰しもありますよね。でも、それって現実的には、社畜(と書いて「ひと」と読む)として無理ですよね。誰かが背中を押してくれればなあ……。だったら、背中を押してくれるものを作っちゃえ!」


「さぼろう君(仮)」のアプリ構成(大道寺さんの講演資料より)

 こうして誕生したのが、大道寺さんが肩に乗せて登場した「さぼろう君(仮)」だ。中身はRaspberry Piにスピーカーと温度センサーをくっつけただけのシンプルな作りだが、チャットツール「Slack」の読み上げbotの仕組みを流用し、センシングと連携することで「あなたがそのとき置かれた状況に応じて、最適なサボり方を提案する」という。

 例えば、スマホの位置情報を基に「近所にカフェがあるから、サボろうぜ!」、温度センサーが高温を検出すると「暑くなってきたし、ちょっとサボろうぜ!」などと話し掛けて、サボるのが下手なジャパニーズビジネスマンの肩をそっと優しく押してくれるのだという。

DMM.comラボ ロボット事業部 大道寺寿文さんと「さぼろう君(仮)」(左)、さぼろう君のセンサーにドライヤーで熱風を吹きかけたところ(右)

 しかしデモにおいて、さぼろう君のセンサーにドライヤーで熱風を吹きかけたところ、なぜか「寒いからサボろうぜ!」としゃべり出してしまい、会場を爆笑の渦に巻き込むとともに、何をやってもうまくサボれないニッポンのサラリーマンの悲哀を図らずも浮き彫りにしてしまったのだった。

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