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長野編:仕事の「数」はある、しかし……既婚エンジニアの移住と長野のIT求人事情ITエンジニア U&Iターンの理想と現実(17)(2/3 ページ)

仕事、家族、家、地域との関わり……移住にはさまざまな課題や心配事があります。エンジニアのU&Iターン事情をお届けする本連載、今回はこれまでのキャリアを捨てる覚悟で長野へ移住、転職、独立したITコンサルタントにインタビューしました。

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 「奥さんが『長野へ行きたい』と言い始めまして」

 荒井さんのお子さんは喘息(ぜんそく)気味でした。当時住んでいた横浜は、海があって雰囲気はきれいなのですが、空気があまりよくありません。お子さんが幼稚園に入園する時期になり、長野にある自然の中で育てられる幼稚園を見学したら、移住している人がたくさんいることが分かりました。

 「絶対行く」と言い張る奥さんに、「何で会社を辞めなきゃいけないんだ」と荒井さんは思いましたが、お子さんのことを考え、「行けるなら行きたいね」と幼稚園だけ先に決めてしまったそうです。

 最初は「奥さんとお子さんだけが移住し、荒井さんは都内で単身赴任」とも考えたそうですが、「家族全員が一緒に住めるのがベスト」だと思い直し、長野で仕事を探すことになりました。

 「この時期、『人生で何を重視するか』を相当考えました。アクセンチュアではやりたい仕事をしていました……けれども、キャリアよりも家族を重視しました」

「過去のキャリアは全部捨てよう」という決意

 仕事はハローワークで探しました。

 荒井さんにとって長野は全く知らない土地でしたので、仕事があるのか心配でした。しかし調べてみたらコンサルタントを募集している会社があり、「ハローワークで、しかも長野で、コンサルタントを募集する会社があるんだ!」と、意外に思ったそうです。なぜなら、移住を決めたころは「コンサルタントの仕事はないだろう」と思い、「過去のキャリアは全部捨てよう」というぐらい、強い決断をしていたからです。

 お子さんの健康は大切ですが、キャリアを捨てるのは相当勇気がいることです。荒井さんに「何が、そうさせた」のか尋ねたところ、「もともと、独立心があったのかもしれない」との答えが返ってきました。

 「祖父も父も、独立して事業をしていました。ですので、アクセンチュアを辞めるときも、不思議とネガティブな印象はありませんでした。『コンビニのアルバイトでも、何でもやろう』と思っていました」

 「IT業界でなくても構わない」とまで思っていましたが、偶然コンサルタントの仕事が見つかり、「今までの経験が生かせるし、それならそれでいいじゃないか」と思い、荒井さんは転職を決めました。

 2008年10月から準備を始め、2009年3月に奥さんとお子さんが、2009年6月に荒井さんが長野に移住しました。

 住むところを探し始めたころ、自然豊かな山間部にある幼稚園の近くに住みたいと思い、就職先の人に相談したところ、「最初から山に住んだら雪が大変。長野市内にした方がいい」とアドバイスをもらったそうです。

 「今から思えば、それが大正解でした」

 長野の山間部は雪が多くて、大変です。大自然の中で住みたいという移住者は多いけれども、「地元の人のアドバイスは聞くべし」とのことです。

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