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2017年版Linuxカーネル開発レポート公開――支援している企業トップ10とは?過去12年の個人開発パッチ数第3位はTakashi Iwai氏の5089個

The Linux Foundationは2017年版Linuxカーネル開発レポートを公開した。Linuxカーネル4.8から4.13までの開発に焦点を当て、カーネル開発に携わった開発者や変更数などについて言及した。

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 The Linux Foundationは2017年10月25日(米国時間)、2017年版Linuxカーネル開発レポート「2017 State of Linux Kernel Development」を公開した。同団体のWebサイトからダウンロードできる。


2017年版Linuxカーネル開発レポートの表紙

 Linuxカーネル開発レポートは毎年公開されており、Linuxカーネルの開発過程や活動内容について記述されている。2017年版は第8版に当たり、Linuxカーネル4.8から4.13に焦点を当てている。結論では、Linuxカーネルの開発は、最も規模が大きく、最も成功したオープンソースプロジェクトだとしている。こうした成功は、以下のような開発者による貢献の下に成り立っている。

 同レポートによると、Linuxカーネルの開発プロセスに関与する開発者や企業の数は増加し続けている。Gitの導入で詳細な追跡が可能になった2005年公開のカーネル2.6.11以来、Linuxカーネルの開発には最低でも1513社の企業に所属する1万5637人の技術者が携わった。最近1年間では、500社以上の企業、4300人以上の開発者がカーネル開発に当たり、そのうち1670人が新規加入者だった。

 ただし、カーネル開発の大半は一部の開発者に頼っているのが実情だ。カーネル2.6.11から4.13までのカーネル開発に関わった開発者の約3分の1が、1つのパッチしか開発していない。それに対して貢献度の高い上位10人の開発者は、全体の7.1%に当たる4万5338個のパッチを開発した。

 カーネル2.6.11から4.13までで貢献度の高い上位3人の開発者には、H Hartley Sweeten氏、Al Viro氏、Takashi Iwai氏が挙げられており、開発したパッチはそれぞれ6034個(全体の0.9%)、5904個(0.9%)、5089個(0.8%)だった。

 カーネル4.8から4.13に期間を限ると、貢献度の高い上位3人はChris Wilson氏、Mauro Carvalho Chehab氏、Johan Hovold氏で、それぞれ1519個(全体の1.8%)、1096個(1.3%)、911個(1.1%)だった。ただし、Linus Torvalds氏などの上級開発者は、他の開発者が開発したパッチを評価したり適用したりする作業も担当しており、上記の貢献度ランキングには含まれていない。

 なお、2016年のレポート以降、Linuxカーネル開発を支援しているトップ10企業は、Intel、Red Hat、Linaro、IBM、Samsung、SUSE、Google、AMD、Renesas Electronics、Mellanoxとなっている。


2017年版Linuxカーネル開発レポートから引用した各ランキング

 一方、Linuxの開発速度も継続して加速している。カーネル4.13は、ソースパッケージに含まれるファイル数にして6万538個、行数は2476万6703行に及ぶ。カーネル4.8は5万5472ファイル、2207万760行だったので、1年で約300万行増えた。これは、毎日約7500行のコードが追加されている計算になる。ちなみに1991年に公開された最初のLinuxは、たった1万行程度だった。

 この1年で、カーネルに対する変更のうち承認された数は毎週1400件以上。これは1時間当たり平均8.5件である。前年は同7.8件だった。Linuxカーネルのリリースに要する平均開発日数は67.66日で、前年の66日からわずかに増加したが、リリース間隔は63日または70日(9週間または10週間)のいずれかに落ち着いた。また同レポートは、カーネル4.9と4.12の開発サイクルの特徴として、Linuxカーネルプロジェクトの歴史の中で最もパッチ率が高いことを挙げている。

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