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【 test 】コマンド(応用編)――文字列の一致などを判定するLinux基本コマンドTips(222)

本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は、条件式を評価することでファイルの有無などを判定する「test」コマンドです。

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 本連載は、Linuxのコマンドについて、基本書式からオプション、具体的な実行例までを紹介していきます。今回は条件式を評価することでファイルの有無などを判定する「test」コマンドです。

testコマンドとは?

 「test」は、条件式を評価して真偽の値を返すコマンドです。ファイルの有無や種類などを判定したり、文字列や数を比較したりでき、主にシェルスクリプト内で使用します(※1)。

 以下では連載第221回に引き続き、コマンドラインでtestコマンドを使用する方法を紹介します。シェルスクリプトを書くに当たり、判定結果を確かめておきたい場合などに役立ちます。

 testコマンドはbashの内部コマンドです。同名のコマンド(/bin/test)も存在します。

※1 シェルスクリプトではtestと同じ働きをする「[ ]」コマンドを使って書くことが一般的だ。while文での使用例は、連載第219回を参照。





testコマンドの書式

test [オプション] 対象

test 条件式

※「条件式」は、「文字列1 = 文字列2」のような記号による比較や、オプションと対象を組み合わせた書き方がある。[ ]は省略可能な引数。





testの主なオプションと式(ファイルの判定)

真になる条件
-e ファイル名 ファイルが存在するとき
-f ファイル名 ファイルが通常のファイルのとき
-d ファイル名 ディレクトリのとき
-s ファイル名 ファイルの長さが0ではない(ファイルが空ではない)とき
-L ファイル名 ファイルがシンボリックリンクのとき
-h ファイル名 ファイルがシンボリックリンクのとき(「-L」と同じ)
ファイル1 -ef ファイル2 ファイル1がファイル2のハードリンクのとき

testの主なオプションと式(ファイル属性の判定)

真になる条件
-r ファイル名 ファイルが存在し、読み出しの権限がユーザーにあるとき
-w ファイル名 ファイルが存在し、書き込み権限がユーザーにあるとき
-x ファイル名 ファイルが存在し、ファイルの実行権限がユーザーにあるとき
-O ファイル名 ファイルの実体の所有者が実効ユーザーIDと同じとき(※2)
-G ファイル名 ファイルの実体の所属グループが実効グループIDと同じとき
-u ファイル名 ファイルの実体にsetuidビットが立っているとき
-g ファイル名 ファイルの実体にsetgidビットが立っているとき
-k ファイル名 ファイルの実体にstickyビットが立っているとき
ファイル1 -nt ファイル2 ファイル1の修正時刻がファイル2の修正時刻より新しいとき
ファイル1 -ot ファイル2 ファイル1の修正時刻がファイル2の修正時刻より古いとき

※2 実効ユーザーID(euid)とはプログラムが動作するときの権限。プログラムを起動したユーザーのID(実ユーザーID、ruid)と等しいことが多い。



testの主なオプションと式(標準入出力の判定)

真になる条件
-t 0 標準入力が端末
-t 1 標準出力が端末
-t 2 標準エラー出力が端末
-t 数値 数値番目のファイルディスクリプターが端末

testの主なオプションと式(文字列の判定)

真になる条件
文字列1 = 文字列2 文字列1と文字列2が等しいとき
文字列1 != 文字列2 文字列1と文字列2が等しくないとき
-z 文字列1 文字列1の長さが0のとき
-n 文字列1 文字列1の長さが0ではないとき

testの主なオプションと式(整数の判定)

真になる条件
数値1 -eq 数値2 数値1と数値2が等しいとき(equal)
数値1 -ne 数値2 数値1と数値2が等しくないとき(not equal)
数値1 -gt 数値2 数値1が数値2より大きいとき(greater than)
数値1 -ge 数値2 数値1が数値2より大きいか等しいとき(greater or equal)
数値1 -lt 数値2 数値1が数値2より小さいとき(lesser than)
数値1 -le 数値2 数値1が数値2より小さいか等しいとき(lesser or equal)

testの主なオプションと式(その他)

真になる条件
-o オプション シェルオプションが定義されていた(※3)
-v 変数名 変数が定義されていた(※3)
! 条件式 条件式が偽のとき(not)
条件式1 -a 条件式2 条件式1と条件式2がどちらも真のとき(and)
条件式1 -o 条件式2 条件式1と条件式2のどちらかが真のとき(or)
( 条件式 ) ()の中を優先して評価する(※4)
TRUE 常に真
FALSE 常に偽

※3 -oと-vは/bin/testでは使用できない(-vはbashバージョン4.2以降)。シェルオプションについてはsetコマンド(第205回)を参照。
※4 「(」「)」を使用する際はバックスラッシュなどでエスケープする必要がある。





文字列の一致、不一致を判定する

 testコマンドを使って文字列の一致を判定するには「文字列1 = 文字列2」という条件式を使います。それぞれをtestコマンドの引数として扱うため、「=」の前後の空白を省略してはいけません。

 画面1では、環境変数LANGの値を使って文字列の一致、不一致を見ています。部分的な一致を調べるに当たって、「LANG%」や「LANG#」というようにbashのパラメーター展開(第216回)を使用しています。

コマンド実行例

test 文字列1 = 文字列2

(文字列1と文字列2が一致する)

test 文字列1 != 文字列2

(文字列1と文字列2が一致しない)


画面1
画面1 文字列の一致、不一致を調べたところ

 なお、bashの複合コマンド「[[」を使用すると、「=~」でパターンマッチによる一致を判定できます。例えば、環境変数LANGに「JP」という文字列が含まれているかどうかであれば「[[ $LANG =~ .*JP.* ]]」のようにします(画面2、※5)。

※5 「[[」は必ず「]]」と組み合わせて使う。「[[」はコマンドであるため、後ろに空白が必要だ。「]]」は前に空白を入れる。



画面2
画面2 「[[」コマンドを用いて指定した文字列が含まれているかどうかを確認したところ


変数の内容が空かどうかを判定する

 変数の内容が空かどうかはtestコマンドに「-z」や「-n」を付けて判定します(画面3)。「-z」は空のとき(内容の長さが0のとき)真になり、「-n」は空ではないときに真になります。

 ただし、変数が定義されていないと、「-n」や「-z」は正常に動作しません。指定した変数が定義されているかどうかは「-v」を使って確認します(※6)。「test -v LANG」のように変数名を指定し、変数が存在すれば真になります。

※6 「test -v」はbash 4.2以降で追加されたため、CentOS 6.9の4.1,2(2)では非対応だ。CentOS 7の4.2.46(1)やUbuntu 14.04LTSでは対応している。Bash changesを参照。



コマンド実行例

test -z 文字列

(変数が空のとき真)

test -n 文字列

(変数が空ではないとき真)

test -v 変数名

(変数が定義されているとき真)


画面3
画面3 変数が空かどうか、定義されているかどうかを確認したところ


筆者紹介

西村 めぐみ(にしむら めぐみ)

PC-9801NからのDOSユーザー。PC-486DX時代にDOS版UNIX-like toolsを経てLinuxへ。1992年より生産管理のパッケージソフトウェアの開発およびサポート業務を担当。著書に『図解でわかるLinux』『らぶらぶLinuxシリーズ』『Accessではじめるデータベース超入門[改訂2版]』『macOSコマンド入門』など。2011年より、地方自治体の在宅就業支援事業にてPC基礎およびMicrosoft Office関連の教材作成およびeラーニング指導を担当。


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