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12c Silver試験の「監査」「バックアップ」「リカバリー」に関するポイントORACLE MASTER Silver Oracle Database 12cの攻め方(5)

「ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c」資格を取得するための傾向と対策を紹介する連載。今回のテーマは、「監査」「バックアップ」「リカバリー」です。

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ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12cの攻め方

 本連載では、「ORACLE MASTER Silver Oracle Database 12c」(以下、12c Silver)資格を取得するための「1Z0-062-JPN Oracle Database 12c Administration試験」(以下、12c Silver試験)の傾向と対策を紹介します。

 初回は、ORACLE MASTERの資格制度や2017年8月に行われた12c Silver試験改訂のポイントを紹介しました。連載第2回から例題を使って、主要出題分野のポイントを押さえています。

 第5回となる今回のテーマは、「監査」「バックアップ」「リカバリー」です。

監査

 まずは、監査から見ていきましょう。

 試験内容チェックリストには「Oracleデータベース監査の実装-標準的なデータベース監査と統合監査を有効にする」とあります。監査については重点出題項目というわけではありませんので、Oracle Database 12cからの変更点である「統合監査」を中心にポイントを押さえておけばよいでしょう。

例題1

統合監査について正しい記述を選択してください。

  • A. 統合監査は、AUDIT_TRAILパラメーターをAUTOに設定した場合のみ有効になる
  • B. デフォルトの設定では、統合監査証跡は、SYSAUX表領域のAUDSYSスキーマにある読み取り専用表に存在する
  • C. 統合監査証跡には、SQLのアクションに対する監査レコードのみが含まれる
  • D. 統合監査では、常にキュー書き込みとなる

 以前のリリースでは、データベース監査の監査証跡、ファイングレイン監査の監査証跡、SYS監査の監査証跡など、監査コンポーネントごとに個別の監査証跡がありました。

 統合監査により、これらの監査証跡が統合監査証跡に統合され、1つの場所に1つの形式で配置されます。監査者は各コンポーネントからの監査情報を相互に関連付けて確認できるようになり、管理の手間やセキュリティも改善されます。

 また統合監査では、キュー書き込みも選択できるようになっています。

A. 間違いです。

B. 正解です。

C. 統合監査では、SQLのアクションに対する監査レコードだけではなく、RMAN監査レコード、Oracle Database Vault監査レコードなども一元管理できます。

D. 統合監査では書き込みモードを選択できるようになっています。統合監査のデフォルトの動作モードはキュー書き込みモードで、監査レコードはいったんSGAキューに書き込まれ、その後、ディスクに書き出されます。そのため、大幅にパフォーマンスが向上しますが、インスタンス障害時に失われるリスクがありますので、即時書き込みモードも選択可能となっています。


バックアップ、リカバリー

 では、重点出題項目であるバックップ、リカバリーを見ていきましょう。

 バックアップ、リカバリーに関係するアーキテクチャは頻出トピックです。まずはここから押さえていきましょう。

例題2

増分チェックポイントについて正しい説明はどれですか。2つ選択してください。

  • A. 増分チェックポイントは、COMMITコマンド発行の都度、必ず行われる
  • B. 増分チェックポイントでDBWRバックグラウンドプロセスが使用済みバッファーを書き込むと、チェックポイント位置が前進する
  • C. CKPTバックグラウンドプロセスは、増分チェックポイントで前進したチェックポイント位置を制御ファイルに書き込む
  • D. SHUTDOWNのモードに関係なく、常にSHUTDOWN時に増分チェックポイントが行われる

 Silver試験の特徴として、正誤問題の選択肢の表現がBronzeに比べて難しくなっており、正確に理解していないと正解を選ぶことができません。消去法も活用して正解を探すようにしてください。

 チェックポイントの出題でも、Bronzeでは完全チェックポイントの仕組みを押さえておけば足りますが、Silverでは完全チェックポイントに加えて、増分チェックポイントの仕組みも押さえておく必要があります。

A. 増分チェックポイントは、COMMITコマンド発行の都度、行われるというのは間違いです。チェックポイントとCOMMITは連動していません。COMMITの都度、行われるのはLGRWバックグラウンドプロセスによるREDOログのREDOログファイルへの書き出しです。

B. 正解です。増分チェックポイントで、DBWRバックグラウンドプロセスが使用済みバッファーを書き込むと、チェックポイント位置が前進します。

C. 正解です。DBWRバックグラウンドプロセスが使用済みバッファーを書き込むと、チェックポイント位置が前進し、これにより、CKPTバックグラウンドプロセスでは、このチェックポイント位置をデータファイルヘッダではなく制御ファイルに書き込みます。

D. SHUTDOWN NORMAL、SHUTDOWN TRANSACTIOINAL、SHUTDOWN IMMEDIATEについては、完全チェックポイントが行われますが、SHUTDOWN ABORTは異常終了となりますので、チェックポイントは行われません。


チェックポイント位置

 ところで、「チェックポイント位置」という言葉はご存じでしょうか。「インスタンス・リカバリ」では、データファイルに変更を適用していきますが、その変更をデータファイルに適用する必要があるか否かを判断するために、チェックポイント位置が使用されます。チェックポイント位置は、これより小さいSCNの変更は全てデータファイルに適用済みであるということを保証します。

 インスタンス・リカバリでは、チェックポイント位置からREDOスレッドの末尾までの変更がロールフォワードで適用され、その後、未コミットのトランザクションがロールバックされます。

 チェックポイントは、インスタンス・リカバリの仕組みとも関連する重要項目ですので、きちんと理解しておくとよいでしょう。


 こちらを踏まえて、インスタンス・リカバリに関する例題をもう一問、見ておきましょう。

例題3

インスタンス・リカバリについて正しい記述はどれですか。

  • A. 最後にCOMMITが発行されたときのSCNからチェックポイント位置に達するまで、カレントREDOログ内のREDOエントリがデータファイルに適用される
  • B. インスタンス・リカバリでは、カレントREDOログおよびオンラインREDOログ、アーカイブREDOログが適用される
  • C. チェックポイント位置からREDOスレッドの末尾までのREDOエントリがデータファイルに適用される
  • D. インスタンス・リカバリでは、カレントREDOログおよびアクティブなREDOログ、フラッシュバック・ログがデータファイルに適用される

 先ほどのチェックポイント位置の図と併せて理解しておきましょう。

A. チェックポイント位置までは、すでにデータフィルに反映されていますので間違いです。

B. アーカイブREDOログを適用するのは、メディア・リカバリです。

C. 正解です。

D. フラッシュバック・ログはインスタンス・リカバリでは使用しません。


 続いてバックアップについて見ていきましょう。バックアップについては、一貫性バックアップの取得方法、差分増分バックアップ、累積増分バックアップなどが出題される可能性があります。

 また、RMANの基本的なコマンドも出題される可能性がありますので、CONFIGUREコマンド、BACKUPコマンド、DELETEコマンド、REPORTコマンド辺りは押さえておくとよいでしょう。

例題4

データベースはARCHIVELOGモードに設定されています。

RMANを次のように設定しました。

CONFIGURE RETENTION POLICY TO REDUNDANCY 1;
CONFIGURE CONTROLFILE AUTOBACKUP ON;
CONFIGURE DEFAULT DEVICE TYPE TO DISK;
CONFIGURE DEVICE TYPE DISK PARALLELISM 1 BACKUP TYPE TO COMPRESSED BACKUPSET;

そして次のコマンドを発行しました。

BACKUP TABLESPACE sample PLUS ARCHIVELOG DELETE INPUT;

どのような結果となりますか。

  • A. sample表領域の圧縮バックアップ・セットとアーカイブログファイルの圧縮バックアップ・セットが作成され、その後、バックアップされたアーカイブログファイルが削除される
  • B. sample表領域とアーカイブログファイルの両方を含む1つのバックアップ・セットが作成され、その後、古いバックアップ・セットが削除される
  • C. sample表領域の圧縮バックアップ・セットが作成され、その後、アーカイブログファイルが削除される
  • D. sample表領域とアーカイブログファイルの両方を含む1つのバックアップ・セットが作成される

 RMANのCONFIGUREコマンドを使用して、RMANの永続設定を行うことができます。また、現在の設定については、「SHOW ALL」というコマンドで確認できます。

 設問の永続設定について見ていきましょう。

【1行目】バックアップの保存方針を設定しています。ここでは、保持するバックアップの数を「1」に指定しています。特定のデータファイルにおけるバックアップの数が1を超えると、RMANは以前のバックアップを不要と見なします。

【2行目】制御ファイルとサーバパラメーターファイルの自動バックアップを有効化しています。自動バックアップは、バックアップレコードが追加されるたび、つまり、バックアップを取得するたびに実行されます。また、表領域の追加など、制御ファイル内のデータベース構造メタデータが変更されたときも実行されます。

【3行目】バックアップのデフォルトの格納先をディスクに指定しています。

【4行目】ディスクにバックアップを取得したときの、バックアップ形式と並列度を指定しています。

 このような永続設定の下で、下記のバックアップコマンドを発行しています。

BACKUP TABLESPACE sample PLUS ARCHIVELOG DELETE INPUT;

 sampleという表領域のバックアップとアーカイブログファイルのバックアップが取得されますが、格納先を明示的に指定していないので格納先はディスクとなります。そのため、形式は「圧縮バックアップ・セット」になります。

 なお、表領域のバックアップとアーカイブログファイルのバックアップとを同じ1つのバックアップ・セットに含めることはできないので、同時にバックアップを取得しても、それぞれのバックアップ・セットとなることに注意してください。

 また、コマンドの末尾のDELETE INPUTですが、これはバックアップしたアーカイブ・ログを削除する、という意味です。バックアップのバックアップを取得するときや、アーカイブログファイルのバックアップを取得するときに付けることができるオプションです。

A. 正解です。

B. 間違いです。

C. 間違いです。

D. 間違いです。


 CONFIGUREコマンドによる永続設定の内容と、BACKUPコマンドの両方を考える必要があるので少し難しい問題ですが、ポイントを押さえておけば解答できます。

 RMANコマンドについては、他にDELETEコマンドを確認しておくとよいでしょう。

例題5

データベースはARCHIVELOGモードで運用されており、日次でバックアップも取得されています。バックアップを用いたメディア・リカバリが必要となるケースはどれですか。

  • A. 多重化している制御ファイルのうち、一部のファイルが破損した場合
  • B. UNDO表領域のデータファイルが破損した場合
  • C. 多重化しているREDOログァイルのうち、グループを構成する一部のメンバーが破損した場合
  • D. インスタンスが異常終了した場合
  • E. 誤操作で必要な表を削除してしまったが、すぐに気付いた場合

 どのようなケースでメディア・リカバリが必要になるか確認しておくとよいでしょう。また、多重化している制御ファイルやREDOログファイルが破損したときの挙動や対応方法も押さえておくとよいでしょう。UNDO表領域やSYSTEM表領域が破損したときのリカバリー手順と、通常のユーザー表領域が破損したときのリカバリー手順の違いも押さえておくとよいでしょう。

A. 破損していない制御ファイルをコピーすれば復旧できます。

B. 正解です。バックアップをリストアして、リカバリーを行う必要があります。UNDO表領域とSYSTEM表領域はオフラインにすることができませんので、マウント状態でリカバリーを行います。

C. グループを構成する一部のメンバーの破損なのでインスタンスに影響はありません。

D. 異常終了なので、再起動すればSMONバックグラウンドプロセスによって自動的にインスタンス・リカバリが行われます。

E. フラッシュバック・ドロップで表を取り戻すことができます。


 今回は、監査、バックアップ、リカバリーについて見てきました。バックアップを中心によく確認しておくとよいでしょう。

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