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Remote Desktop Services 2019ってどうなの?その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(121)(1/2 ページ)

Windows Serverの長期サービスチャネルの最新バージョン、Windows Server 2019がリリースされました。Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)のユーザーファイル消失問題があって、Windows Server 2019も製品版や評価版の提供は停止中ですが、最新サーバOSの新機能については、公式ブログやドキュメントでいろいろと明らかになってきました。

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「Windowsにまつわる都市伝説」のインデックス

Windowsにまつわる都市伝説

長期サービスチャネルだからといって、安定版というわけではありません

 Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)がリリースされた2018年10月2日(米国時間)、このバージョンと同じOSビルドで作成された、Windows Serverの長期サービスチャネル(Long-Time Servicing Channel:LTSC)の最新バージョン「Windows Server 2019」がリリースされました。

 Windows Serverの半期チャネル(Semi-Annual Channel:SAC)の最新バージョン「Windows Server, version 1809」も同じOSビルドであり、こちらは「Server Core」と「Nano Server」(Nano Serverはコンテナイメージのみ)のみで提供されます。Windows 10の長期サービスチャネルバージョン「Windows 10 Enterprise LTSC 2019」(当初、Windows 10 Enterprise 2018 LTSCと呼ばれていたものです)もリリースされました。これも同じOSビルドです。

 同じOSビルドで同時にたくさんの製品が登場したわけですが、これらの違いはデスクトップ(クライアント)OSか、サーバOSか、そしてサポート期間が決まるサービスチャネルです。長期サービスチャネルは固定ライフサイクルポリシーに従って10年(5年のメインストリームと5年の延長サポート)のサポートが提供され、半期チャネルは原則としてリリース後18カ月のサポートが提供されます。

 長期サービスチャネルと聞くと、しっかりとテストされた安定版が提供されるものと想像するかもしれません。しかし、Windows 10 バージョン1809は“ユーザーファイル消失問題”が発覚して、数日後に提供が停止されました(Windows UpdateおよびWindows Server Update Services向けの機能更新プログラム、インストールメディア、評価版の全てで)。

 同時に、同じOSビルドの全製品のメディア提供(評価版を含む)も停止されました。前述したように、これらのOSビルドは同一であり、リリース時点では品質レベルに差があるわけではありません。Windows 10 バージョン1809の重大な問題は、サーバOSにも影響するということです。

 既に10月初めにWindows 10 バージョン1809に更新済みで、問題の影響を受けていないWindows Server 2019などのサーバOSを展開済みという場合は、そのまま使用を続けても大丈夫なようです。10月10日には、これらのOSに対して定例の累積更新プログラム(OSビルド17763.55)も提供されました。

 累積更新プログラムは、Windows 10 バージョン1809のユーザーファイル消失問題を修正するものではありません(問題があるのは、機能更新プログラムやインストールメディアによるアップグレード処理です)。ユーザーファイル消失問題の経緯や機能更新プログラムやインストールメディアの提供再開のめどについては、「Windows 10 update history」サイトやそのリンク先のブログで確認してください。

“ごたごた”の中で登場したRDS 2019とは?

 先行き不安な船出となってしまったWindows 10 バージョン1809やWindows Server 2019ですが、これらのOSの新機能については、Microsoftの公式ブログなどを通じて情報発信が続いています。その中から、今回は「Remote Desktop Services 2019」に注目してみました。

 上記の公式ブログを見ると「Remote Desktop Services 2019」が正式名称のような発表になっていますが、Windows Server 2019正式版(ビルド17763.1および.55)を少し触ってみた感じでは、単に「Windows Server 2019に搭載されるリモートデスクトップサービス(RDS)」と呼んだ方が適切だと思います。

 Windows Serverの半期チャネルには「リモートデスクトップ(RD)セッションホスト」の役割が搭載されていないため(そもそもServer Coreインストールとコンテナ用Server CoreとNano Serverだけの提供なので)、Windows Serverから“RDS(特にRDセッションホスト)の役割が削除されたわけではない”ということをアピールする狙いがあるのかもしれません。

 公式ブログでは幾つか強化点が説明されていますが、実際に展開してみると、目に見える変更点はありません。Windows Server 2016ベースのRDSと同様、「仮想マシンベースのデスクトップ展開」と「セッションベースのデスクトップ展開」を「サーバーマネージャー」から簡単にセットアップでき、RDSの役割サービスの種類や管理コンソールのUI(ユーザーインタフェース)にも変更点は見あたりません(画面1)。

画面1
画面1 仮想マシンベースとセッションベースの2つの展開オプションはWindows Server 2016と全く同じ。ただし、MultiPoint Servicesの展開オプションは削除された

 最新バージョンのWindows 10 Pro/Enterpriseの仮想デスクトップをサポートするために何か追加されているかもしれませんが、そこまでは試していません(Windows Server 2016のRDSでもWindows 10の仮想デスクトップはサポートされています)。セッションベースのコレクション作成、RemoteAppプログラムの公開、RD Webアクセスによる公開などを試した範囲では違いは見当たりませんでした(画面2)。RDS CALの管理については何かしら改善点があるようですが、評価環境であるため試すこともできません。

画面2
画面2 Windows Server 2019のRDSを展開した環境。Windows Server 2016のRDSの使用経験があれば、少なくとも見た目は何も変わっていないことが分かる

 逆にサポートが限定されたり、機能が削除されたりしたものはあります。その一つが、前回(本連載第120回)紹介した「RemoteFX 3Dビデオアダプター」です。

 Windows Server 2019のRD仮想化ホストでは、仮想マシンに新規にこのデバイスを追加することができなくなりました。旧環境で割り当て済みの仮想マシンを移行した場合には、利用できるそうです(Windows 10 バージョン1809やWindows Server 2019は、ゲストOSとしてはこれまで通りRemoteFX 3Dの使用は可能)。公式ブログでは、この点には触れられておらず、Windows Server 2016で追加されたハードウェア要件のより厳しい「Discrete Device Assignment(固定デバイスの割り当て)」機能の強化をGPU仮想化テクノロジーの強化として扱っています。

 もう一つは、Windows Server 2016 StandardおよびDatacenterエディションにあった「MultiPoint Services」の役割の削除です。MultiPoint Servicesは開発終了扱いとなり、Windows Server 2016バージョンが最後(Windows Server 2016 MultiPoint Premium Serverも最後)になります。そのため、Windows Server 2019の「サーバーマネージャー」の「リモートデスクトップサービスの展開」からは、「MultiPoint Services」の展開オプションがなくなっています。

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