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その知識、ホントに正しい? Windowsにまつわる都市伝説(130):

さようならSAC-T! これまでの、これからのWindows 10の更新チャネルをざっくりと解説 (1/2)

2019年春にリリースされるWindows 10の新バージョンから、ブランチ準備レベル「半期チャネル(対象指定)」が廃止されることが発表されました。これにより、どのような影響があるでしょうか。Windows Update for Business(WUfB)を利用していない限り、何の影響もないでしょう。WUfBを利用しているなら、更新後に設定を確認しておきましょう。

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Windowsにまつわる都市伝説

誤解と混乱を招いた「SAC-T」とはバージョン1903でお別れ

 Windows 10の既定の更新チャネルである「Semi-Annual Channel(Targeted)」(略称「SAC-T」、日本語表記では「半期チャネル(対象指定)」)が廃止されることが発表されました。SAC-Tの廃止については2018年5月に予告されていましたが、その時期については決定した時点で発表するとされていました。今回の発表で、2019年春にリリースされる「Windows 10 バージョン1903」(通称、19H1)でSAC-Tの廃止が明らかにされました。

 「Windows 10の既定の更新チャネルがなくなっちゃうとどうなるの?」と疑問を持つユーザーもいるかもしれませんが、リリース日が「Semi-Annual Channel」(略称「SAC」、日本語表記では「半期チャネル」)向けの1つだけになり、シンプルになります。

 そして、SAC-Tの廃止は、企業(および組織)向けWindows 10のサービスオプションの1つである「Windows Update for Business(WUfB)」を利用していない限り、何の影響もありません。

 WUfBは企業向けのサービスオプションですが、機能更新プログラムを最大限に延期するために個人でも利用している人がいるかもしれません。その場合は、Windows 10 バージョン1903への更新後に、WUfBの設定がどのように引き継がれたかを確認するくらいでいいと思います。

SAC-Tは更新チャネルの種類にあらず?

 Windows 10の初期のサービスモデルには「Current Branch(CB)」と「Current Branch for Business(CBB)」の2つの更新ブランチ(「分岐」という意味)、そして、最低10年サポートされる長期固定化バージョン「Long-Term Servicing Branch(LTSB)」がありました。

 更新ブランチは「ブランチ準備レベル」や「Windows準備レベル」とも表現され、Windows 10 Homeエディション以外は更新ブランチの選択状態により、Windows 10の新バージョンである「機能更新プログラム」(バージョン1511以前は「アップグレード」と呼ばれていました)を受け取るタイミングが決まります。

 Windows 10の初期のサービスモデルでは、Windows 10の既定であるCB向けにリリースされてから、おおむね4カ月後にCBB向けにリリースされるとされていました。そしてこれは、過去のことです。

 現在は、18カ月または30カ月のサポートが提供されるSACという更新ブランチと、長期固定化バージョンの「Long-Term Servicing Channel(LTSC)」の2本立てになっています。更新ブランチにはこれ以外に、3つのレベルのInsider Previewがありますが、一般向けではないので省略します。

 Windows 10の既定であるSAC-Tは、WUfBを利用している企業や組織が段階的に機能更新プログラムを展開する際、先行展開の対象範囲を限定するために使用します。例えば、SAC-Tのクライアントに先行展開し、問題がなければSACのクライアントに全社展開する、あるいは問題に対処するためにさらに延期するなどです。

 これまでは、Windows 10の新バージョンの一般向けリリース日がSACーT向けリリース日であり、2〜3カ月後にSAC向けにリリースされてきました。SAC向けのリリース日は、ほとんどの場合、MicrosoftがSAC向けリリースを行ったと「Windows 10 - Release information」のページを更新したその日になるまで分かりませんでした。

 なお、企業がWindows 10の機能更新プログラムの展開を制御するオプションは、WUfB以外にもあります。例えば、代表的なオプションの1つである「Windows Server Update Services(WSUS)」を利用している場合は、WSUSの「コンピュータグループ」を利用して対象範囲を限定し、先行展開と全社展開を制御できます。これにはSAC/SAC-Tの区別は全く関係しません。

 SAC-TとSACは、グループポリシー(やコンピュータポリシー)の「Windows Update for Business」ポリシー(Windows 10 バージョン1607/1703でのポリシー名称は「Windows Updateの延期」)で制御できます(画面1)。

画面1
画面1 「Windows Update for Business」ポリシーを使用した更新チャネルの選択。更新チャネルの選択に加えて、さらに遅延日数を設定(最大365日)することが可能(画面はWindows 10 バージョン1809)

 また、Windows 10 バージョン1703からは「Windows Update for Business」ポリシーと同様の設定を、クライアント側の「設定」アプリの「Windows Update」→「詳細オプション」からも構成できるようになりました(画面2)。

画面2
画面2 [設定]アプリを使用したWUfBの設定(画面はWindows 10 バージョン1809)。Windows 10 Homeエディションでは利用できない

 CB/CBBからSACへの変更は、「Microsoft Office」の更新チャネルとそろえる形で2017年中ごろ、Windows 10 バージョン1703から行われました。この時点での変更は「Windows 10 - Release information」の表記についてのみであり、GUIへの反映はWindows 10 バージョン1709で行われました。多くのユーザーには、CB/CBBからSAC-T/SACに単純に名称変更されたと映ったはずです。

 しかし、実際にはSAC-T/SACの区別は、WUfBにおける対象化以外の何でもありません。実際、Windows 10 バージョン1607まではWSUSに対して機能更新プグラムが提供されるのはCBB向けリリース時でした。Windows 10 バージョン1703からは、CB向けリリースと同時にWSUSでも機能更新プログラムが利用可能になっています(画面3)。なお、SAC向けリリース時やそれ以外のタイミングでも、それまでの品質更新プログラムが適用された機能更新プログラムの新しいパッケージが提供されてきました。

画面3
画面3 Windows 10 バージョン1703以降の機能更新プログラムは、SAC-T向けリリースと同時にWSUSでも利用可能になる。企業はSAC向けリリース日を待つことなく、自社のルールに従って段階的に展開すればよい

 繰り返しますが、SAC-T/SACの区別はWSUSには全く関係しません。WSUSクライアントは、WSUSで管理者が承認した更新プログラムを全て受け取ります。WUfBクライアントは常にWindows Updateから更新プログラムを検索します。WSUSクライアントでSAC-T/SACを構成し、WSUSサーバからSAC-T/SACの延期設定に基づいて機能更新プログラムを受け取るということはできません。

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