求人サイト、カバーレター、コーディング面接――「行動駆動キャリア開発」エンジニアの北米企業就業譚:動かなくちゃ分からないことがあるんだ!(4/4 ページ)
カナダのIT企業で働いて分かったこと。それは、意外な事実と自分の価値観だった――。
Gunosyでプレイングマネジャーとして活躍!
予定外の通学もあり、日本に帰国した段階で榎本さんは一文無しだった。
帰国後の生活費が心配だったので、帰国前にビジネス向けSNSに登録した。希望条件は「自社サービスを持ち」「Ruby on Railsで開発を行っている」こと。コンタクトをくれた幾つかの会社の中の1社が、Gunosyだった。
「カジュアル面談の後、CTOとの面談がありました。そこで『お金がないので、アルバイトでもいいので明日から働かせてください』とお願いしました(笑)」
CTOが笑いながら快諾してくれたというあたりは、Gunosyという企業のオープンな社風を表しているといえるだろう。
そして半月のアルバイト期間を経て、榎本さんは正式にGunosyに入社した。
同社に入社して感じたのは「降りてくるタスクをこなすだけでなく、プロダクトをどう作り上げていくかを自ら考えていく」ことの「やりがい」だった。
「オーナーシップを持って開発に臨めるのは、楽しいですね。自らのアイデアを形にしていく部分や、個のスキルを存分に発揮するという部分で、カナダでの就業経験が大いに役立っています」
入社後は、Gunosyの管理画面担当として1年ほど活躍した後、Web事業部にてシステムのリプレースを担当する。
「アプリ配信用のニュースを『Gunosy.com』のWebサイト上でも閲覧できるようにするプロジェクトでした」
その後、広告技術部に異動し、同社が提供する「Gunosy Ads」の広告管理画面の開発を担当する。Go言語による開発や、Pythonによる配信データセットの抽出などを担当していくうちに、榎本さんに転機が訪れる。
同部署でメンバーを管理するマネジャー候補を募ったのだ。榎本さんはこれに自ら手を挙げ、現在はプレイングマネジャーとして、メンバーやプロジェクトを管理しながら、自らもコードを書いている。
「せっかくなので、さまざまなことを経験しようと思い手を挙げました。しばらくはプレイングマネジャーとして活躍し、いずれ専任のエンジニアリングマネジャー、または技術スペシャリストのどちらかを選んでいきたいと考えています」
常に「まずは行動する」を実践してきた榎本さんに、これから海外を目指すエンジニアへのアドバイスをもらった。
「海外に行く/行かないにかかわらず、エンジニアは英語力がある方がいいです。そして、海外で働いてみたいと少しでも考えている人は、とにかくすぐに行ってみるべきです。出発前に心配していたけれど現地にいればどうにかなったこともたくさんありました。実際に行ってみないと分からないことも多いし、何ごとも経験できるうちに経験しておいた方がいいと思います」
行動することで分かること、行動しなければ決して分からないことが世の中にはたくさんある。「実は、飽きっぽい面がある」という榎本さんは、これからも好奇心を満たすべく、次の一歩、その次の一歩を切り開いていくだろうし、そのとき判断の基準とするのは「行動したことで得られた自身の感覚」なのだろう。
「行動駆動キャリア開発」、榎本さんの生きざまにタイトルを付けるとしたら、コレ以上にピッタリした言葉はないのではないだろうか。
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JELLYFISHは奥多摩の廃校を活用し、高度IT人材育成を目的とした学校を開校した。学校は同時にラボ型開発の拠点でもある。生徒たちは語学やエンジニアとして必要な思考力などを学び、同時にアルバイトとして開発経験も積む。ゆくゆくは自身のアイデアやプロダクトで地域活性化も狙う
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