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「他の人が言ったからではなく、自分がやりたいことを」――若くしてAI開発の有識者となった15歳のエンジニアを支える好奇心と情熱Go AbekawaのGo Global!〜Tanmay Bakshi編(後)(2/2 ページ)

IBMやAppleなど著名な企業も関心を持つTanmay Bakshi(タンメイ・バクシ)氏。「テクノロジーからしか学べない」と同氏が考えるエンジニアとして重要なこととは。

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夢は「もっとテクノロジーに触れてもらうための基盤作り」

阿部川 そろそろ最後の質問ですが、タンメイくんの夢は何ですか。

バクシ氏 3つあります。

 1つ目は、マシンラーニングやAIなどの次世代のテクノロジーについて今後も勉強や研究を継続して、人類がより良い生活や環境で生きていくことに貢献したいです。そしてヘルスケアや教育、セキュリティの現場で実際に使えるものを作りたいです。

 2つ目は、より多くの人々がテクノロジーの世界に携わって活躍してほしいと思います。もっと多くの人がテクノロジーのことを学べるような環境や方法を作りたいです。

 3つ目は、2つ目でテクノロジーの世界に入ってくれた人たちに「次世代のテクノロジー」について研究してほしいです。次世代の技術を学ぶことはとても重要で必要なことなのですが、現実的には、未来の技術について研究している人はとても少ないからです。

阿部川 素晴らしいと思います。AIなどのテクノロジーを学んでいる人はいますが、確かに絶対数は少ないと感じています。

バクシ氏 はい。ちなみにもっと近くて明確な夢は、10万人のエンジニアとコミュニケーションすることです。現在までに1万1500人のエンジニアと交流し、それを増やすためにも多くのメディアに出ています。テクノロジーについて、そして特に次世代の技術について、多くの知見をもった人々とコミュニケーションすることは非常に重要です。

 夢として全体をまとめると、次世代の技術を確実に推進して社会にインパクトを与えること、新しいアルゴリズムを開発すること、そしてより多くの人にテクノロジーや、未来のテクノロジーについて知ってもらい、参画してもらうことです。

阿部川 タンメイくんはYouTubeなどを通じて、多くの子どもたちにコードを教えていますが、もっと多くの人々にテクノロジーを知ってほしいという思いがあるからなのですね。

バクシ氏 現在、人間が何かをしようとするとテクノロジーを避けては通れません。テクノロジーなしでは何もできない、とは言いませんが、テクノロジーは現在僕たちのすぐそばにあって、僕たちは多くのことをテクノロジーに依存しています。

 この分野を大きく広げていくには、人の力が必要なのです。高度になればなるほど複雑さは増していきますから、たくさんの人の助けがより必要になるのです。できることが増えれば増えるほど、必要とされる技術も多様化していきます。

阿部川 ありがとうございます。読者に一言メッセージをいただけますか。

バクシ氏 恐らくこれはどんな方に対してものメッセージでもあると思いますが、どうぞご自身で情熱が持てることを、一所懸命やってください。数学でも科学でも芸術でも歴史でも言語でも、そしてテクノロジーでも、何でも構いません。その分野でトップクラスやリーダーになるつもりでとにかく一所懸命やってみてください。他の人がやれといったから、ではないですよ。自分自身が情熱を持ってやれることというのが一番大切です。

 エンジニアリングやテクノロジーはとても大切なものだと思います。ですが、単にテクノロジー自体が重要というばかりではありません。重要なのは、テクノロジーをしっかり押さえて、問題の解決方法を学び、コミュニケーションするということなのです。これはテクノロジーからしか学ぶことができないと思います。そしてこれは人生におけるどんな局面にも十分応用できるものだと思います。

阿部川 きっとお父さまも同じようなご意見でしょうね。本当にありがとうございます。

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Go's thinking aloud

 その目は若い輝きに満ちあふれていた。

 大人がしたり顔でたしなめるようなテクノロジーの障害など、その情熱は、いともたやすく飛び越えていた。プログラム学習を5歳から始め、9歳でアプリを開発、11歳でAIと出会い、15歳の今、8つ以上の肩書を持ってIBMなどの世界企業と共同でプロジェクトを進める。なんというデジタルキッドだろう。

 だから恐らく「技術は無限」だと、楽観的に、ある意味無邪気に、思っているのではないかと邪推していた。だが大間違いだった。シンギュラリティの話を向けると、一転、その論調はそれまでにも増して激しさを加え、現在のテクノロジーの限界を、たたみ込むように、そして教え諭すように語り出した。その知識量や、恐るべし。知りたい欲求のしなやかさ、貪欲なまでの知識欲の凄さを、15歳の少年に学んだ。

 それでも私たちは、ITをどんどん進化させたいのだ。私たちはITを、人をいじめるためやだますため、あるいは犯罪を助長させるために、進化させたいのではないはずだ。

 その未来を創り出すのが君たち若者の力だ。それを全力でサポートして、より早く実現できるよう手助けすること、それこそがおじさんたちの使命なのだ。

阿部川久広(Hisahiro Go Abekawa)

アイティメディア グローバルビジネス担当シニアヴァイスプレジデント兼エグゼクティブプロデューサー、ライター、レポーター

コンサルタントを経て、アップル、ディズニーなどでマーケティングの要職を歴任。大学在学時より通訳、翻訳なども行い、CNNニュースキャスターを2年間務めた。現在は英語やコミュニケーション、プレゼンテーションのトレーナーとして講座、講演を行うほか、作家として執筆、翻訳も行っている。

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