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仕事はなくなり、単価はたたかれ、妹の結婚式にも出席できない:

リーマンショックの生還者が語る、アフターコロナに訪れるSI不景気蟻地獄 (1/3)

ポストコロナのIT業界とエンジニアの生き残り術を模索する特集「ポストコロナのIT業界サバイバル術」。第1弾は、リーマンショック、東日本大震災後の不景気地獄を知恵と技術力で生き抜いてきたソルジャーエンジニアが、SI業界にこれから何が起こるのか、そのときエンジニアはどうすればいいのか、を語ります。

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 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以来、景気が急速に悪化しています。厄介なのは、ウイルスという自然が相手のため、不景気の先行きが読みづらいことです。

 ポストコロナの不景気で自身にどのような災厄が降りかかるのか心配なITエンジニアも多いでしょう。本記事では、リーマンショックや東日本大震災の後、IT業界に何が起きたのか、エンジニアたちはどうなったのかを振り返り、近い未来に何が起こるのかを予測し、対応策を考えます。

 申し遅れました。私、「情報戦略テクノロジー」のエンジニア、金近(かねちか)と申します。学生時代に「CD Manipulator」というフリーウェアを作成、2003年からSI業界のエンジニアとして元請けや下請けで働き、現職に至ります。

 これは全て私の体験談です。全員でこの不景気を乗り越えていきたい――そんな気持ちを込めて、赤裸々に執筆します。


冬がやってくる

ありえないほど仕事がなくなりました

1 気付いたら営業部が壊滅

 東日本大震災のときのお話です。震災発生から程なくして、「営業部で大変なことが起きている」という話が聞こえてきました。

 順調に受注できていた顧客から仕事がこなくなった、という話が1つ、2つと増えはじめ、あっという間に大半の顧客からの発注がなくなってしまったのです。「震災前よりも力を入れて営業しているのに今月の受注はまだゼロ」という状態が続き、営業部のミーティングはお通夜のように静まり返っていました。

 不景気が到来したからといって経済活動が全て停止するわけではないのになぜなのか、という私の疑問に、とある顧客が教えてくれました。

 「ITに投資しても利益は生み出さないからね」

 先行きが見通せない時勢だからこそ、営業強化が投資のメインとなり、IT部門への投資は削減するということでした。不景気になるとITエンジニアは真っ先に経費削減の対象にされてしまうんですね。


ITエンジニアはコストなのか

2 仕事の奪い合い

 次はリーマンショック後のお話です。私が常駐していた現場は、エンジニアが日々減っていました。しかしたまに新しいエンジニアが参画してきます。これにはカラクリがありました。

 彼らは、過激なダンピングをして入場していたのです。

 それまで月当たり100万円以上だったエンジニアが、月当たり60万円で契約(会社間の契約金額)。エンジニアに払う給料よりも常駐先からもらう金額の方が少ない赤字契約ですが、黒字になる案件などほぼないため、いかに赤字額を抑えるかの競争が企業間で始まっていたのです。

 知り合いのPM(プロジェクトマネジャー)によると、メンバー1人分の業務委託案件を募集したところ、同じ額で4〜5人体制で提案してきた企業が3社もあったそうです。一番安い企業に委託したら、選ばれなかった企業がさらなる値下げ提案をし、最初に選んだ企業がさらにさらに低い金額で再提案してきたそうです。


一次請けでも受注が激減し、下請けになればなるほど苦しむ

 SI業界の企業の多くは、業績が悪化すると外部への委託量を減らし、自社の社員に仕事を割り振ります。

 一次請け企業が社外への委託量を半分に減らせば、二次請け企業の半数は倒産します。生き残った二次請け企業も三次請けへの委託量を大幅に削減します。すると、三次請け以降の企業はほぼ全滅してしまう――そんな状況では、生き残りを懸けて必死の価格勝負が起きるのは必然です。

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