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巨大SIerのコンテナ・Kubernetes活用事例(1):

安定志向のNRIが変化の激しいKubernetesを推進する理由 (1/2)

さまざまな顧客のシステム開発や運用に関わる中で、NRIはコンテナ技術やKubernetesに積極的に取り組んでいる。本連載の初回はNRIが抱える組織や文化の課題を整理し、Kubernetesに期待していることを紹介する。

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 野村総合研究所(以後、NRI)のコーポレート・ステートメントは「未来創発」だ。顧客とともに新しいビジネスモデルを生み出そうとする姿勢を示している。これはシステム開発や運用などを提供する分野でも一貫しており、ITサービスの分野でも先進的な取り組みをいち早くプロジェクトに取り入れ、強い実行力をもって、存在しなかったようなサービスを生み出してきた。

 しかし、NRIはシステムインテグレーター(SIer)と呼ばれ、慎重・安定などのキーワードを連想されることがある。例えば、こんな評判を聞くことがある。

大規模なプロジェクトを幾つも推進していそう

先進的な技術というよりは、安定した(枯れた)技術を得意としているように見える

コスト効率を重視し、リスクの少ないプロジェクト管理が得意そうだ

 これらの評価は間違っていないが、さまざまな技術を調査・評価してプロジェクトに適用し、顧客に価値を届けることも、SIerの仕事の醍醐味(だいごみ)の一つである。こうした考えから、現在注目度が非常に高い「コンテナ技術」や「Kubernetes」への取り組みも社内で積極的に行われている。

 そこで今回は、NRIのさまざまなプロジェクトの形態と組織の特性をまず整理する。そして本連載第2回以降で、コンテナやKubernetesを適用した事例を紹介する。

プロジェクトの分類と3つの事例

 先述したように、NRIが扱うプロジェクトは多種多様であり、ITサービスに関連するものだけではない。筆者が所属するITサービス関連部署でも、稼働しているプロジェクトはバイモーダルと定義されるように2つの種類に大きく分けられる。

バイモーダルとは

 Gartnerが提唱した、情報システムを「モード1:変化が少なく、確実性、安定性を重視する領域」と「モード2:開発・改善のスピードや“使いやすさ”を重視する領域」に分類する考え方。モード1は基幹系業務である会計や生産管理・人事などを指し、モード2は収益の拡大を目指して顧客と直接接点を持つ業務などを指す。求められる組織体制・文化も異なり、モード1には「ITIL」など効率化を重視した厳密な規律、モード2には「DevOps」といわれる開発チームと運用チームの一体化によりアジリティを引き出す組織づくりが求められる。


 NRIが得意としてきたのは、モード1の分野で、かつ大規模なプロジェクトである。しかし、こうしたプロジェクトは何より安定性が重視され、同時に導入・管理のコストを削減する意識が強く働くため、厳密な管理手法が用いられた結果として、新規技術の導入が阻害されているケースがあった。

 このような先端技術への取り組みが難しいモード1のプロジェクトにおいても、これまで培ってきた設計、開発手法を生かしながら、Kubernetesを適用している。これは連載4回目で詳説する予定だ。

 NRIではモード2に当たるプロジェクトも多数の実績がある。それらの中からコンテナ技術をベースに顧客の新規ビジネスに必要なシステムを構築・運用した事例を連載の第2回で紹介する。同様のモード2のケースとして、社内で開発したプロジェクト支援ツールをKubernetesで構築した事例を第3回で紹介する。

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