検索
連載

数学の論理は「デーモン」すらエンジニアに変えるGo AbekawaのGo Global!〜Jorge_Pelaez編(前)(2/2 ページ)

グローバルに活躍するエンジニアを紹介する本連載。今回はヒューマンリソシアのJorge Pelaez(ベラエズ・ホルヘ)氏にお話を伺う。自然豊かなスペインの街に生まれた同氏が日本で大規模プロジェクトに参加することになったいきさつとは。

Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

都市レベルの大規模プロジェクト、一番大変なことは?

阿部川 現在のお仕事を教えてください。大規模なプロジェクトに取り組まれていると伺っています。

ホルヘ氏 はい。詳しくはお話できないのですが、モビリティに関する都市レベルのプロジェクトに参加しています。規模が大きいので、プロジェクトの中で幾つものサブプロジェクトが同時並行で走っているのですが、私が主に担当しているのは「未来の街」を支えるインフラに関するプロジェクトです。特にインフラで利用するロボットに関する調査やシミュレーションをしています。

阿部川 ここでいうロボットとはどういったタイプのものになりますか。

画像
阿部川“Go”久広

ホルヘ氏 輸送や配送の拠点にあるロボットがイメージに近いと思います。何台ものトラックが行き来するような拠点で、そのトラックと関係するどのような作業が必要になって、どの作業をロボットが担うのか、どのように実行させるべきかを考えます。例えば、配送ロボットが目的地に着くにはどういった道を選び、どのタイミングで進めばいいか判断させる必要があります。さらに、ただ目的を達すればいいというわけではなく、どうやったら簡単に、早く実行できるかを考えなければなりません。

阿部川 なるほど。目的地に着けたとしても時間やコストがかかるやり方では意味がありません。

ホルヘ氏 実はもう1つ重要な目的があって、そうした拠点の中で何が起こるのかを調査、分析することです。人やロボットが動き回る建物の中で起こることは、未来の家庭やオフィスの中で起きることと関連性があります。VR(仮想現実)の環境を構築して、その中で検証します。ただ、実際の生活に役立てることが目的のプロジェクトなので、実際に建物の中に人が入ることもあります。さまざまな人がいろいろな場所を探索したり、互いにコミュニケーションしたりといったことを検証することもあります。

阿部川 すごいですね。現在ホルヘさんが携わっているチームには何人いるのですか。

ホルヘ氏 4人です。ただいつも一緒に仕事をしているわけではなく、それぞれがそれぞれの仕事を担当しています。というのも、新しいプロジェクトが発生したり、幾つかのプロジェクトは中止になったりと、プロジェクト自体、ほぼ毎月のように変わっていくからです。トライ&エラーと言いますか、何かを始めてうまくいけばそのまま続けますが、うまくいかなければ、そこで止めて次のプロジェクトに移ります。

 現在のチームで、プログラマーは私1人で、他はグラフィックデザイナー、オーディオクリエーター、マネジャーといったメンバーです。この4人が常に協力して、仕事を推進するといった感じです。

終わりが見えないプロジェクト、でも楽しい

阿部川 マルチタレントが1つのチームとなって、それぞれの立場、違った視点からプロジェクトを推進しているのですね。ホルヘさん自身が担当しているプロジェクトはいつ完了するのですか。

ホルヘ氏 プロジェクトが多岐にわたっているので、はっきりとは分かりません。あるときはカメラに関するプロジェクトですし、またあるときは配送に関するプロジェクトもやっています。実は今日からまた新しいプロジェクトがアサインされたのです(笑)。

阿部川 お忙しそうですが、挑戦しがいがあるプロジェクトですね。

ホルヘ氏 そうですね。ある方向性で進めていたものが、いきなり別の方向に変わることもあり得ます。分かっていることは、これまでやってきて成果が出たことに対して、その延長線上のプロジェクトが課されるということです。

阿部川 現在一番大変なことは何ですか。

ホルヘ氏 プロジェクトそのものが頻繁に変わりますので「今はこれをやっているけど次はこれなのですぐに取り掛かろう」といったように仕事を要領よく切り替えなければいけないことです。4カ月間、頑張ってきたのに、いきなり「それはもういいから止めて、こっちをやって」といったことがありますからフラストレーションがたまりますよ(笑)。

 ただ、個人的には、毎日新しいことを学べるこの状況は好きです。以前は分からなかった手法が、新たなプロジェクトで使えることもありますからね。

画像
「それはもういいから、と言われるとがっかりしますね」

阿部川 考えようによっては楽しいですね。何が来るか分からないから。

ホルヘ氏 まるでデバイスのコレクターですよ(笑)。今度のプロジェクトではこのデバイスを使うからと本部から送られてくるのですが、いきなり「あっ、もうそれは使わないで、こっちを使って」と新しいデバイスが届くのです。お見せできないのが残念です。

 確かに多くを学べるというメリットはあります。あるときは音響管理(オーディオマネージング)が必要となったり、次に映像処理(ビデオプロセッシング)が必要になったり、処理スピードやパフォーマンスの最適化が必要になったり、都度必要な技術を学ばないといけないのです。

阿部川 現在のプロジェクトの素晴らしいところは毎日、違った新しいことが学べることですね。

ホルヘ氏 はい、それは大きなモチベーションになっています。常に分からないことに対してチャレンジしていきたいと思っていますから。



 デーモンと呼ばれるほど活発な少年時代を過ごしたホルヘ氏。早くからエンジニアを志し、貪欲に仕事と勉強をこなしてきた同氏が「日本で未来を作るプロジェクトに参加する」というのは当然の未来だったのかもしれない。後編は、ホルヘ氏が感じる日本とスペインの違いについて伺う。


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る