「プロジェクト管理」を管理するためにThe Rational Edge (25)(3/5 ページ)

» 2004年06月25日 12時00分 公開
[Michael F. Hanford(IBM),@IT]

◇ プログラムの財務管理

 プログラムの財務面では、重要な費用に関する社内(そして場合によっては社外の)ポリシー/規制への準拠の必要性などが考えられる。これには、費用の支出や報告を行うプログラム独自の手続きの開発や採用などもある。

 一般的に、プログラムの総費用はプロジェクトのそれよりはるかに重視される。例えば、1時間当たりの費用が100〜150ドルの社員(請負業者ではない)が資源だと仮定すると、1〜5人/年の作業が必要なプロジェクトの社内コストは25〜100万ドルとなる可能性がある。大手金融サービス企業の核となるソフトウェア・アプリケーションをアップグレードし、書き直すプログラムでは、175人のコンサルタントと225人の社員で構成するスタッフで75〜100万時間が必要になり、費用も1億6000〜2億ドルになる可能性がある。

 コストの増加は、プログラムの大型化だけでなく、費用の種類が増えることも原因になる。前述の規模のプロジェクトでは、会計の側面から見た場合(すべてとまでいかないが)大半の費用が作業に関連したものとなっている。プログラムの費用には労働(社員の費用、コンサルティング料、旅費や短期家賃などの滞在費)、ハードウェア、パッケージソフトウェアアプリケーション(資産計上や減価償却が可能)、作業スペース(おそらくは建設工事も)、そしてコンピュータ、サーバ、プリンタ、机、いす、パーティションなどの備品/設備が含まれる。これらの費用は企業ごとに処理の仕方が異なり、財務方針や手続きによって概要が明らかにされている。諸官庁や規制産業にも、経費報告書の作成に関する法規制が存在する場合がある。

 運営面から見た場合、プログラム費用の承認、記録、報告に関する責任の大きさは、各プロジェクトマネージャが一般的に処理するそれをはるかに上回る。通常、プログラムの戦略定義や投資効果分析フェイズにはCFO(最高財務責任者)などの役職の者が関与してくる。金融アナリストは複雑な金融モデルを構築したり、利用したりして、企業の財務方針の解釈と適用が適切かどうか見極め、重要な意思決定ポイントでプログラムの財政面への影響が経営陣に正確に提示されているか確認する。

 CFOはその後も関与し続け、プログラムのライフサイクル全体を通じて別の責任を負っていく。プログラム室には、財務方針やガイドラインへの準拠でプログラムマネージャ/ディレクターによる確認を支援する予算マネージャの役割が含まれるのが一般的だ。常勤もしくは非常勤の金融アナリストとともにCFOがこの役割を担うのが最も優れた手法だ。

 プログラムの初期段階では、財務管理機構のチェックポイント審査を計画および実行し、プログラム固有のニーズと要求を特定する必要がある。

 プログラムの財務慣行を導入する作業は、これらの適用方法を教育する以外の何物でもない。しかし、ポリシーをカスタマイズして導入し、新しいコストセンターや勘定科目を作り、財務慣行を概説して、特定のプログラム固有の意思決定権を割り当てなければならない場合もある。

 いずれにせよ、健全な財務慣行をプログラム全体へ確実に適用する際に要求されるスキルは、プロジェクト作業では要求されないのが一般的だ。プログラムの財務管理を成功させるためには、CFOと部下たちの早い段階での積極的な関与が要求される。

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