プロセス指向型システム導入で情シス部長の悩み解決!最先端BPM実践講座(1)(2/3 ページ)

» 2005年06月15日 12時00分 公開
[大川原文明,IDSシェアー・ジャパン株式会社]

(2)業務項目とシステムデータ項目の関係を可視化する

主手順4

 図4の業務フロー図中のシステムを使うオペレーティングファンクションの入出力業務項目を定義します(図5

ALT 図5 業務項目の定義モデリング例

主手順5

 他方で、システム間の連携も定義します(図6

ALT 図6 システム間連携モデリング例

主手順6

 システム間のやり取り(図6中のI/Fファイル)と、システムプログラムのシステムデータ項目と図5で定義した業務項目の関係を定義します(図7)。

ALT 図7 業務項目とシステムデータ項目関係のモデリング例

主手順7

 ここでも業務項目の重複がないか見直すことが重要です。次に、システムデータ項目の重複定義がないかを見直してください。ここでもシステム導入を焦る必要はありません。

悩みを解決するには専用ツールが必要

 7つの手順を短期間で実現するには、昔ながらの石おのに竹やり(手っ取り早く“お絵描き”で利用されるExcelやPPT)では、正直いって無理です。特に主手順3と7において、ポイントとなる問題を発見できないでしょう。それでは、本書の目的であるCIO/システム部長の悩みは解消できません。

 そこで、一般的にBPMツールと呼ばれるジャンルのソフトウェアを使うと、2項で述べた内容を容易に作成/変更管理できます。BPMツールには、EAI機能を備えた高価なものもありますが、2項の可視化手順の作成に、そこまでの機能は必要としません。

 ただし、複雑なビジネスプロセスやビジネスコンポーネントを体系化してモデル化でき、その後の修正や変更管理を容易にするために、操作性はもとより、以下の機能を持っているツールを使うことを推奨いたします。

  • 1.IDEF(*1)などの標準モデリング技法や方法論に準拠、あるいは順応できるモデル図とビジネスコンポーネントが定義されていること
  • 2.ユーザーがモデリング中に定義するビジネスコンポーネントが、すでに定義されているビジネスコンポーネントと同一コンポーネントとして自動的に認識されること
  • 3.業務設計、システム設計に必要な属性項目(工数、頻度、時間、コストなど)が、それぞれのモデル図やコンポーネントに定義されていること
  • 4.作成したモデル図をイントラ上で公開できるように、Java/HTMLに一括変換できること
  • 5.変更管理(Change Management)機能があること

 上記は最低限必要な機能で、できれば業務改革やシステム設計を支援する機能として以下の機能を有していることがベストです。

  • 6.3の属性として設定した数値を基にした作業時間やコストシミュレーションができること
  • 7.ERPパッケージやCASEツールと連携できること

注記:

IDEFは、米国防省が開発した統合化定義方法論です。

 これらの機能を有する代表的なBPMツールとして、IDSシェアーが提供しているBPMツール「ARIS(ARchitecture of Integrated Information System)」が挙げられます。ARISは、部門/業務プロセス/業務項目/システム/データ項目といったビジネスコンポーネントを通常の“お絵描き”のオペレーションで描くだけで、裏ではオブジェクトの名称をキーに同一オブジェクトとして自動認識します(図8)。

ALT 図8 モデル間の同一オブジェクト自動認識

 ARISの中では、ビジネス/システムコンポーネントは、データベース上、リレーショナル管理されていますので、例えば図9に示すように、担当者をクリックするだけで、その担当者が担っている業務を一覧表示することができます。もちろん図7中の業務項目/システムデータ項目をクリックすれば、その項目が使われている業務やプログラムを瞬時に一覧表示できます。

ALT 図9 オブジェクト関係の一覧表示の例

 「うちは、組織名称がよく変わるから……」といった問題も恐れることはありません。その組織オブジェクトが使われているいずれかのモデル図上を1カ所変更するだけで、すべての名称が変更されます。

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