企業改革
IT基盤
SLCP 運用管理
思考法
ITソリューション
製造業 流通業 サービス業
今週のブックガイドへ

■開発ライフサイクル
 
図解 よくわかる ソフトウェア・ジャストインタイム
●甲斐敏治=監修、前田卓雄/橋本隆成=著
●日刊工業新聞社 2005年2月
●2400円+税 4-526-05410-0
 トヨタ生産方式の基本思想は「徹底したムダの排除」だ。その柱は、必要なときに、必要な部品が、必要な数だけ生産ラインに到着する「ジャストインタイム」と、作り過ぎないよう頭を働かす「ニンベンのついた自働化」の2つで構成される。本書は、生産と開発という違いはあるが、この手法をソフトウェア開発に導入することで、短期間で高品質かつ低コストの開発ができ、また、組織や人材のスパイラル成長に結び付くと主張する。
 第2章では、「21世紀のソフトウェア開発戦略」を説く。ユビキタスや組み込みソフトウェアの市場は拡大し、ビジネスチャンスが多く存在する。その中で余力のあるライバル企業に負けない事業提案をするために「核となる人材の確保と育成」「大幅な生産性向上」「リードタイムの大幅な短縮」など、8つの戦略目標を肝に銘じておく必要がある。
 第3章では、プロセスの「見える化」に言及する。在庫ゼロを目指すのではなく、人・チーム・組織の創造力と実現力(働き)を高め、世界で勝つ競争力を獲得することを目的とする。見える化を妨げているのは、工数ベースのソフトウェアビジネスの慣行と、それに起因した極める意欲が失われていることだと指摘する。
 ソフトウェアビジネスの市場や開発プロセス、トヨタ生産方式をソフトウェア開発にどう生かすかなど、図表を交えて解説する。ソフトウェアビジネスを大きくカイゼンしたい経営者や情報システム部門のマネージャにお勧めする。(ライター・生井俊)
 
ソフトウェア最前線──日本のサービス産業界に革新をもたらす7つの真実
●前川徹=著
●アスペクト 2004年9月
●1800円+税 4-7572-1064-7
 社会はコンピュータへの依存度を高めつつあり、世界はソフトウェアに依存しているともいえる。しかし、日本のソフトウェア産業にはまったく国際競争力がない。著者は、ソフトウェア産業発展の阻害要因を指摘し、早急に行動するための7つのポイントをまとめている。
 第4章では、開発手法の1つである「ウォーターフォール・モデル」を批判する。このモデルは、要求定義や基本設計に誤りがあったとしても、工程の最終段階にならないとその誤りが発見されない。極めてリスクの高い開発モデルなのだが、日本のソフトウェア産業にしっかりと定着している。大幅なスケジュールの遅延と予算超過のリスクがあるこのモデルは、ソフトウェア開発に適していないと結論付ける。
 ほかに、プログラムの作成は「製造」ではなく、本の執筆に似ているという指摘(第2章)や、優秀な人が優秀なソフトウェアを作るので、処遇を改善してはどうかという提案(第5章)など、プログラマ=クリエーターという流れが一貫してある。情報システム担当者だけでなく、SEやプログラマも、本書から次世代に向けた高い意識レベルを感じとってほしい。(ライター・生井俊)
ソフトウェア開発55の真実と10のウソ
●ロバート・L・グラス=著、山浦恒央=訳
●日経BP社 2004年4月
●2200円+税 ISBN4-8222-8190-6
 本書はソフトウェア開発シーンにおける、いわば「マーフィーの法則」であろうか。類書は数多く存在するが、「こういうものだ」という経験則で片付けることなく、真実の「概要」に対し、「反論」がある場合はその内容を引用し、最後に裏付けとなる「情報源」「参考文献」を記載するていねいな作りだ。
 “55の真実”と“10のウソ”は、「プロジェクト管理」「ライフサイクル」といったカテゴリに整理されている。「プロジェクトの失敗要因は見積もりミスだ」という内容もあれば、「ソフトウェア技術者はツール好き。購入し、評価もするが、開発で実際に使った人はほとんどいない」という指摘もある。また、ソフトウェア開発でよくいわれる「ソフトウェア製品の品質は管理できる」「ランダム・テストにより、テストを最適化できる」というような、ある種の“呪文”に対しウソであると突き放す。
 そして筆者は、SEに関して「システム開発プロジェクトの管理ピラミッドの最下層にありながら、最上層の管理者よりも絶大な力を持つ」と評している。本書を読むことで、SEが自分自身を見つめ直し、仕事のクオリティを高め、無駄を省く努力をすれば、会社への貢献だけでなくSE全体に対する評価が一層高まるだろう。(ライター・生井俊)
風雲!シスアドの現場──30のケーススタディ虎の巻
●CARROTプロジェクト=著、島本栄光=編
●秀和システム 2004年4月
●1480円+税 ISBN4-7980-0763-3
 シスアドとかけて、親子丼ととく。その「ココロ」を解説するのが本書だ。
 業務と情報システムが、親子丼の鶏と卵の関係のように絡み合っている。逃れられない関係の中で、極上の親子丼を仕上げるのがシスアドの仕事だという。親子丼では話が抽象的だが、具体的に30のケーススタディを紹介しながら、システムを導入する企業(担当者)と、シスアドとの相違をあぶり出していく。
 まず、システム導入までのいきさつを「事例」としてまとめ、その「問題点」を洗い出し、「解決法」を簡潔に述べている。そして、そこから学ぶべき点や、どう作業を進めるべきだったのかなど、アドバイスをまとめる。中には「自分1人で頑張っているのに周りが支援してくれない」という孤軍奮闘型のシスアドにエールを送るものもあり、教訓をこうまとめている。「喜びを 分け合えるから プロジェクト」。
 独り善がりにならず、企業の声が聞けてより適切なシステムを提案・構築できるシスアドになれるよう、本書を読みながら自らの反省点をあぶり出してみてはいかがだろうか。(ライター・生井俊)

 

■ブックガイド記事がメールで読めます■
ブックガイドの記事は毎週水曜日にメールでお届けしています。
下の「@IT情報マネジメント メールマガジン」からお申し込みください。
サンプルを見る
 


印刷プリンタ用ページ表示
kee<p>oint保存kee<p>ointで保存





 
   
 
@IT情報マネジメント メールマガジン 情報マネージャのための情報源(無料)

@IT情報マネジメント 新着記事
ERP導入効果が見えず、アップグレードもできずに失敗
コミュニケーション・ツールの活用事例(同期型編)
システム構築に潜む4つのリスク
中小企業がERPパッケージを成功させるには?
Webシステム開発でセキュリティが軽視される理由

情報マネージャのための「今日のひと言」 - 2006/1/31
『考え方を変える』 社会が変わり、市場が変わり、会社が変わっていきます。その変化の方向が多様で、しかもスピードが激しいのが……>>続きはクリック

   
@IT情報マネジメント トップITスタッフカテゴリ トップ会議室利用規約プライバシーポリシーサイトマップ

Copyright(c) 2000-2006 ITmedia Inc.
著作権はアイティメディア株式会社またはその記事の筆者に属します。
当サイトに掲載されている記事や画像などの無断転載を禁止します。
「@IT」「@IT自分戦略研究所」「@IT情報マネジメント」「JOB@IT」「@ITハイブックス」「ITmedia」は、アイティメディア株式会社の登録商標です。
当サイトに関するお問い合わせは「@ITへのお問い合わせ」をご覧ください。
 
情報マネジメント 企業システムの“ヒト・コト・カネ”を解決する @IT@IT自分戦略研究所@IT情報マネジメントJOB@ITITmediaTechTarget 
 
[an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]