意識の高いユーザーは、パッケージが提供する以上のより高度なKMソリューションを望む
矢野経済研究所は5月17日、「ナレッジマネジメント(KM)ソリューション市場の調査結果のサマリーを公表した。調査対象はKM関係のソリューションベンダと企業ユーザーで、面接と電話により、2002年1月から3月までの間に行われた。
この調査でKM市場の要素としているのが、文書管理システム(EDMS)、検索エンジン、グループウェア、企業ポータル(EIP)など。ただし、このレポート中、グループウェアをこの市場に含めるかどうか、「議論が分かれる」としている。
2001年度の市場規模は562億円、内訳的にはグループウェアが大半を占めるが、伸び率はそれ以外の要素が大きい。2002年度見込みは市場全体で676億円、EIPに関しては300%以上の成長が予想されている。
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ナレッジマネジメント市場規模推移[矢野経済研究所推計]
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情報関連投資との関係では、KM需要の底固さを指摘した上で、KMを単なる流行として捉えているユーザーでは需要が急速に落ち込んでいるが、業務革新を伴ったKMに取り組むユーザーでは大規模投資を含む真剣な姿勢が見られるという。
その上で、KMに対する意識の高いユーザーには、パッケージソフトとそのカスタマイズだけでは対応できなくなってきていると指摘し、提供サイドはパッケージ製品の進化に加えて、コンサルテーションや運用支援サービス提供などによるユーザーニーズへの対応を提言している。
また、KMの需要の中心は大手企業で、適用範囲としては全社単位ではなく部門単位であることから、この調査では大企業ユーザー(株式公開企業の情報システムユーザー)をランダム抽出し、KMへの意識と導入状況についても電話調査している。
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ナレッジマネジメントへの認知度[矢野経済研究所] |
これによると、ナレッジマネジメントという概念の認知度はかなり高いことが分かる。しかし、KMの内容については企業ごとでかなり理解の違いがあるものと想像できる、と矢野総研では指摘する。
導入状況を見ると、「導入済み」が約1割、「計画中」「検討中」を合わせると半数を超えており、企業のKMへの重要性の認識度や注目度は非常に高いと考えられる。
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ナレッジマネジメントの導入状況[矢野経済研究所]
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ナレッジマネジメントソリューション市場に関する調査
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