Database WatchDatabase Watch 2009年3月版

一気に分かる!
データベース業界動向と情報源 まとめ
2009年度版

加山恵美
2009/3/18
もうすぐ新年度。あらたにデータベース関連の業務にかかわる方、ふだん落ち着いて業界動向に触れることのない方のために、情報源をまとめました。

ベースは枯れた技術、だけど進化は止まらない

 もうそろそろ新年度。人が入れ替わる時期を迎えます。新しくIT業務に携わる方もいるでしょう。本連載では毎月、データベース製品の動向をウォッチしています。新年度をひかえた今回はあらためて全体を見渡してみましょう。

 本連載ではオープンシステム(ハードウェアやソフトウェアを組み合わせて使う)にてエンジニアがよく扱うデータベース製品を中心に動向をお伝えします。あるデータベース専門家は「データベースは枯れた技術ですが、今でも絶え間なく進化を続けている面白い分野なのですよ」と話していました。

 どれも特徴や得意分野があり、一概に優劣は決められません。よくデータベースの性能として引き合いに出されるものにTPCの値があります。Transaction Processing Performance Council(トランザクション処理性能評議会)という業界団体が策定したベンチマーク結果です。データベースのF1レースといったところでしょうか。常に記録が更新され、上位が入れ替わっています。

※TPC-Wの規格をベースにしたベンチマークツールでの性能検証方法を紹介しています。

熾烈な戦い、商用データベース群

 さてデータベース製品をカテゴリ別に見ていきましょう。ここでは商用のデータベース、オープンソースのデータベース、そしてXML専用のデータベースの順に紹介していきます。まずは商用のデータベースから。ベンダが製品を開発しており、常にバチバチと火花が散るような競争が激しい分野です。

オラクル:Oracle Database

http://www.oracle.co.jp/

 オラクルの顔であり、大規模システムで使われることが多くパワフルなデータベースです。最新版はOracle Database 11g、最後の“g”は「グラム」ではなくて「グリッド」を意味します。

 加えてOEM(Oracle Enterprise Manager)も覚えておくといいでしょう。

http://www.atmarkit.co.jp/fdb/single/s_ora11admn/11gadmin_04.html
画像はOEMの管理画面。
実録! DBA 1.0 vs. DBA 2.0 障害対応対決 ― @ITより
via kwout

 これはITの運用管理のためのソフトウェアで、Oracle Database以外にもアプリケーションやミドルウェアなども管理対象となり、トップダウンでアプローチするところも特徴です。3月1日、米オラクルがOEM 10g Release 5を発表したばかりです。

 4月にはOracle Open Worldという大きなイベントも開催されます。オラクルの世界を知るにはいい機会ですよ。

Oracle Open World Tokyo(4月22日〜24日)
http://www.oracle.co.jp/openworld/2009/index.html?cid=3401NOK0208112801


IBM:DB2

http://www-06.ibm.com/jp/software/data/db2/v9/

 ここで紹介するデータベース製品はどれも長い歴史を持ちますが、IBMのDB2も由緒あるデータベースです。1970年代にエドガー・コッド博士により発表されたRDBのコンセプトの流れをくんだもので、製品としては1983年に発表されたDB2/MVS V1から数えると今年は26年目になるのだとか。最新版はDB2 V9.5です。

 年季が入っていますが、斬新でもあります。RDBでありながら、XML専用データベースの機能も併せ持っているからです。RDB本来の強みを持ちつつ、XMLの処理にも強いことが大きな特徴と言えるでしょう。このXML処理機能は「pureXML」と呼ばれており、これまでDB2のオプション製品として提供されていましたが、DB2の基本機能として提供されるようになりました。

マイクロソフト:SQL Server

http://www.microsoft.com/japan/sql/default.mspx

 パソコンユーザーは、マイクロソフトのデータベースといえばAccessを思い浮かべるかもしれませんが、本格的なRDB製品となるSQL Serverもあります。特徴はマイクロソフト製品なので、Visual Studioなどほかのマイクロソフト製品との相性がばつぐんにいいということです。

 最新版はSQL Server 2008ですが、すでに次期版の話も出てきています。コードネームは「Kilimanjaro」、特にBI機能が強化されDWH分野での拡大を狙っているようです。リリース予定時期は2008年10月の発表では「2010年前半」なのでまだ先ですが、今年中には最初のプレビュー版が出るのではないでしょうか。


日本製の商用データベースも活躍

 露出度では海外勢に押されてしまっているかもしれませんが、日本製のデータベース製品も健闘しています。日本製ということもあり、官公庁などで使われていることも多いようです。身近なところで接点があるかもしれません。

HiRDB、Symfoware

http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/soft1/hirdb/
http://software.fujitsu.com/jp/symfoware/

 代表的なのが、日立製作所のHiRDBと富士通のSymfowareです。HiRDBはホストで培った技術を継承し、XMLDBとのハイブリッド化を進めています。まめに最新リビジョンを公開するなど、更新頻度は高い方です。一方Symfowareは安定稼働と省力運用に力点をおいています。


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Index
一気に分かる! データベース業界動向と情報源 まとめ 2009年度版
→ Page 1
・枯れた技術だけど、進化は止まらない
・熾烈な戦い、商用データベース群
 オラクル:Oracle Database
 IBM:DB2
 マイクロソフト:SQL Server
・日本製の商用データベースも活躍
 HiRDB、Symfoware

Page 2
・コミュニティが育てたオープンソース
 MySQL
 PostgreSQL
 Firebird

Page 3
・スキーマが自由、XML専用データベース
 サイバーテック:NeoCoreXMS、Cyber Luxeon
 メディアフュージョン:EsTerra XML Storage Server
 東芝ソリューション:TX1


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