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PostgreSQLがいきなり“9.0”に飛んだ理由

加山恵美
2010/7/20

オラクル性能向上のためのヒントを2つ

 次はオラクルです。オラクルは6月15日に「Oracle Cloud Computing Summit Database & Exadata Day TOKYO」を開催しました。その中で「システムの大幅な高速化・性能向上を実現する最新データベース・テクノロジー解説」と題したセッションがあり、日本オラクル システム事業統括本部 パートナー技術本部 Grid Center シニアエンジニア 柴田 長氏が登壇しました。

 柴田氏が高速化技術として紹介してくれたのはDWH向け新機能のIn-Memory Parallel ExecutionとOLTP向けのDatabase Smart Flash Cacheです。

 まずはIn-Memory Parallel Execution。近年マルチコア化が進んでいます。オラクルの調べによると、CPUがボトルネックになったケースは1割弱と多くありません。代わりにボトルネックの原因はストレージI/O、非効率なSQL文や索引設計が残りを半分ずつ占めているとのことです。

 CPUを使いこなすにはどうすればいいか。柴田氏が提示したのは11g R2 Enterprise EditionのParallel ExecutionとIn-Memory Parallel Executionです。例えば6000万件のデータ集計処理で検証すると、シリアル実行に比べてParallel Executionなら約10倍高速化し、In-Memory Parallel Executionにすると40倍高速になるという結果になりました。

 もう1つはOLTP向けキャッシュ技術のDatabase Smart Flash Cacheです。近年SSDが普及してきています。SSDはHDDよりは高価ですが、高速です。そこでSSDをHDDの代わりではなく、メモリとして活用するのがこのDatabase Smart Flash Cacheです。正確にはメモリのバッファキャッシュからあふれたデータをSSDにキャッシュします。これでHDDへのI/Oを減らし、性能を向上させます。

 ところでオラクルというと、ロンドンで7月7日開催したイベント「Oracle Business Intelligence 11g Launch」にて、新たなBI製品「Oracle Business Intelligence Enterprise Edition 11g」を発表したところです。日本でのローンチイベントは「Oracle EPM&BI Summit 2010」で、7月29日(東京)と8月5日(大阪)に開催されます。詳しくは次回以降に。

【関連記事】
ビジネスインテリジェンスも「11g」 オラクルがBI新版を発表
(@IT NewsInsight)
http://www.atmarkit.co.jp/news/201007/08/obiee11g.html

NoSQLデータベースの本命となるか、Membase

 最後に小ネタですが、6月23日NorthScaleがmemcached互換のNoSQLデータベース「Membase」を発表しました。NorthScaleはNoSQLで代表的なmemcachedの開発者らが立ち上げた企業です。早くも「NoSQLデータベースの本命」として注目されています。今後が楽しみです。

 ではまた来月、お会いしましょう。過去記事もどうぞ!

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PostgreSQLがいきなり“9.0”に飛んだ理由

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