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Tech・Ed Japanは延期になりましたが……

加山恵美
2011/9/13
 一雨ごとに涼しさを感じる季節になってきました。いかがお過ごしですか。今年はマイクロソフト関係のコミュニティが次々と動き始めているようです。次世代SQL Server "Denali"も気になりますが、コミュニティの動きもなかなか面白いですよ。後半ではEMCのビッグデータ戦略を担うGreenplum製品群を紹介します。

2012年、SQL Serverは新世代へ

 マイクロソフトは8月29日、報道機関向けにMicrosoft SQL Serverの次期バージョンである、「Denali」の概要を説明する会を開きました。そして、同日にDenaliの自習書「SQL Server Denali CTP3 自習書 No.1 新機能ダイジェスト」も公開されました。タイトルの通り、新機能が簡潔にまとめてあります。

 SQL Serverはリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)製品の中では後発であるものの、急激に成長している製品です。日本マイクロソフトによると、SQL Server 2000の2002年度売上と、SQL Server 2008 R2の2011年度売上を比較すると、186%と大きく成長しています。Enterprise Editionになると、その成長率は287%にもなるそうです。

 日本マイクロソフトのクラウド&アプリケーション プラットフォーム製品部でエグゼクティブ プロダクト マネージャーを務める斎藤泰行氏写真)は「マイクロソフトは2〜3年ごとに必ずSQL Serverの新版をリリースするとコミットしており、市場のニーズをタイムリーに製品に取り込むようにしています」と話し、Denaliの正式版リリースは「来年中」を予定していると語りました。さらに同社は、Denaliを単なるメジャーバージョンアップではなく「第4世代」と位置付けています。製品として一段階飛躍させるという意気込みが伝わってきます。

 Denaliでは性能向上、使いやすいBI(Business Intelligence)、そして開発者や管理者の生産性向上に力点をおいて開発したとのことです。米国マイクロソフトの資料ではそれぞれ「Mission Critical Confidence」、「Breakthrough Insight」、「Cloud on Your Terms」と表現されています。

 性能向上につながる新機能としては「SQL Server AlwaysOn」や新開発のカラムストアインデックス(プロジェクト「Apollo」)が挙げられます。使いやすいBIの実現についてはプロジェクト「Crescent」、そして生産性向上に関してはプロジェクト「Juneau」や各種ドライバなど、新機能が盛りだくさんです。今後、「次世代SQL Server“Denali”の姿に迫る」でそれぞれの機能の詳細な姿に迫っていく予定です。ご期待ください。

SQL Server関連のコミュニティが続々始動

 SQL Serverといえば新しいコミュニティが立ち上がっています。今年から活動を開始した「SQLTO」です。このコミュニティはSQL Serverのユーザーを主体としたもので、8月27日の「Tech Party 2011でもセッションを開いていました。

 ちなみにTech Party 2011とは、全国のIT技術者コミュニティが同時多発的に開催したイベントの総称……というところでしょうか。きっかけは毎年恒例のMicrosoft Tech・Ed Japanの開催延期です。これを嘆く声が各種コミュニティから上がり、同時多発的にイベントを開催する動きへとつながったそうです。

 SQLTOのイベント会場では、冒頭にSQLTOの小澤真之氏による「Denali CTP3 AlwaysOn Availability Groups概要」がありました。小澤氏はSQL ServerのMicrosoft MVPであり、「SEの雑記」というブログでSQL Server関連の情報を発信しています。このブログは、マイクロソフトのSQL Server担当者も太鼓判を押すほど内容が充実しています。

 さらに新しいコミュニティ発足のお知らせもありました。本連載7月号で少し紹介したSystem Center Configuration Manager(SCCM)に関するコミュニティ「System Center User Group Japan」(Facebookページはこちら)です(。

 このグループではSystem Centerや仮想化技術、その関連技術などを研究しています。やや難易度が高そうなテーマが並びますが「長続きするようにゆるいノリで」進めていくそうです。皆さん、どうぞご安心を。コミュニティリーダーは齋藤和雄氏写真)。System Center Configuration ManagerのMicrosoft MVPです。

 コミュニティ発足のお知らせに続いて、齋藤氏はSystem Center Configuration Manager 2012の主な新機能がについて解説してくれました。現在はベータ2版が公開中で、秋にはRC1(Release Candidate 1)が公開される予定です。製品版の登場時期はDenaliと同じような時期になるかもしれません。しかしこちらはあっさりと「2012」という名前が決まっているんですね。


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2012年、SQL Serverは新世代へ
SQL Server関連のコミュニティが続々始動

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Hadoopの仕組みを利用して性能を引き上げるGreenplum
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