icon社会人応援企画! プログラマー/SEの“常識”特集2008

半人前→一人前への道 基本の「キ」はここにあり


キムラデービー
木村 明治
2008/04/25



管理者にはもう1つ必要な知識がある

 あなたがこれから管理者になるなら、データベースの運用のために、そのデータベースが実際に動作するプラットフォーム(OSなどのデータベースを稼動させる環境)の知識が求められます。後述する「Google先生」に

[あなたの使っているプラットフォーム]  システム管理」

を検索ワードにして尋ねてみましょう。

運用プラットフォームについて理解を深めるための参考Webサイト

 たとえば、Linuxの場合では、次のような記事がリストアップされます。

・ 「Linux管理者への道」(@IT)
Linuxシステム管理者が読むべき50冊(ITPro)

 Windows系OSなら、Google検索もいいですが、次のサイト以下をたどる方法が情報の量・質ともお勧めできます。

Microsoft Windows Server TechCenter

 いずれにせよ、データベース管理者の場合は、データベース以外にも、各種スタックやミドルウエアの知識が必要になるので、データベース自体の「辞書」「ドリル」に使う時間は最小限にとどめて、その分、浮いた時間を上記のような技術知識の習得に使いましょう。


継続的に勉強を続けるためのヒント

 「教科書」「辞書」そして「ドリル」を持って、多くの人がクラスメイトや友人とともに学んだのではないでしょうか? 一緒に勉強する仲間、同じ悩みを持つ仲間、飛び抜けて賢い友達などがあなたの学生生活を彩っていたはずです。同じ職場内にいなくても、インターネットが支えるコミュニケーションツールや、実際のセミナーなどが、あなたの勉強の継続を手助けしてくれます。データベースエンジニアとして、一歩抜きん出た力をつけるには、本稿図1にあるように継続的な学習が必要です。

 ここでは継続するためのヒントをいくつか。

「とっかかり」=検索エンジンに聞いてみる(ググる)

 メーリングリストなどの公の場で「ググれ」と言われないように、疑問解決の「とっかかり」として、まずはGoogleなどの検索エンジンを使って確認しておきましょう。

 あなたの直面する問題のほとんどは、すでに誰かが直面している問題です。気になるキーワードやエラーメッセージをコンパクトに切り出して、検索エンジンで検索してみましょう。検索の代名詞的に使われるGoogleを使う場合、日本語のページで答えが見つからなくても「Web全体から検索」を指定して、検索範囲を広げてみましょう。

 もし、検索結果が英語でも、Googleの翻訳機能で英語から日本語に翻訳できます。また、「Google言語ツール 複数言語で検索」のようなツールを使えば、検索するフレーズを日本語で入力しても英語のページを検索できます。検索結果は日本語に翻訳されます。技術的なことは、厳密な訳でなくても、それが「とっかかり」になって解決できることが多々ありますので、臆せずトライしてみてください。

日々現れる疑問解決のために必要なスキル

 日々の疑問点はメーリングリストやフォーラムで聞いてみると、回答が得られる場合があります。ただ、多くのメーリングリストは「互助会」的な意味合いで運営されていますので、単純にこちらの都合だけを押し付けて回答を迫るたぐいのものではありません。

 下記にメーリングリストで質問するときのマナーを紹介しておきます。方法が分かりさえすれば、特に難しいことはありません。よく読んでから投稿してください。また、メーリングリストの例として、筆者も参加しているFirebird-jp-generalという、Firebirdの日本語での情報交換を目的としたメーリングリストも併せて紹介しておきます。参加するのもよいですし、投稿された内容が公開されていますから、ざっと読んで場の空気を感じておいてもよいでしょう。

・結城浩氏「技術系メーリングリストで質問するときのパターン・ランゲージ
Firebird メーリングリスト(Firebird-jp-general)

  業務上で発生した問題では、解決に時間制約がある場合があります。いついつまでに、明確な回答が必要、という場合には、有料のサポート契約をして、問い合わせるようにしましょう。商用データベースを利用しているのであれば、サポート契約まで結んでいる場合が多いはずですから。

ペースがつかめないとき。資格取得を励みにするもよし

 どうも業務に埋没してしまい、学習のペースがつかめないなら、資格取得をマイルストーンにするのもいいでしょう。例えば、年に1回きりの試験なら、それに間に合うような学習スケジュールを逆算して組んでおき、1つずつを確実に期日どおりにクリアしていくといった方法です。

 もともと商用データベースには開発者、管理者の別、各種レベルに応じた資格と、それに対するセミナー、学習教材が用意されています。所属している会社によっては奨励金や資格手当などが出ることもありますので、一度確認されてはいかがでしょうか?

スキル創造研究室 : 資格を知る/勉強する(@IT)
ORACLE MASTER Bronze DBA講座(@IT)

日々のマンネリ打破の特効薬 セミナー参加のすすめ

 開発が長期にわたると、日々ルーチンワークで顔を合わせる人もほぼ同じというマンネリズムに陥りがちです。モチベーションを高めるためにも、たまには外の空気に接するのもいいことです。昔は有料のセミナーばかりで、無料のものは製品宣伝的なものが多かったですが、最近ではベンダも無償の役立つセミナーを多々行っています。

 開催が東京・大阪などの大都市に集中しがちなため、参加が物理的に無理な方や、業務で会社を離れられない方でも、インターネットセミナーなどであれば、時間さえうまく調整すれば気軽に受講できるようになっています。

Oracle Direct Seminar
Microsoft SQL Server 2005 バーチャル ラボ
日本IBM イベント/セミナー:DB2
@ITイベントカレンダー:データベース

 また、商用・オープンソースを問わず、ボランティアベースの勉強会が開催されています。こうした場に参加して、同じデータベースに関心を持つもの同士のコミュニケーションを深めてみてはいかがでしょうか?


自分のタイプを見極めて効率アップ

 さて、いかがだったでしょうか?

 少々詰め込みすぎた感じはしますが、自分に適合する(できそうな)ものをピックアップして、まずは実行してみてください。

 最後にもう1つ、取り組みのヒントを。

 本記事を読んで、すぐに手を動かしたくなる人は、その手を一時止めて本や資料を1冊読んでみましょう。逆に、すぐに本や資料を読みたくなる人は、取りあえず環境を作り、サンプルプログラムを動かしてみましょう。

 筆者の場合は、取りあえず本を読んでしまうタイプなので、なるべく気軽に環境を作り、サンプルプログラムを動かすように心掛けています。

 さて、一度概略を知れば、道を進みながら修正し、正しい(正しそうな?)道を進んでいけますよ。

 あせらず、くさらず、Enjoy!

筆者紹介

木村明治(きむらめいじ)
自営業キムラデービー(http://kimuradb.com/)代表。メーカーや独立系ソフトウェアハウスでデータベース関連の開発を行い、各種パッケージソフトのプロジェクトマネージャを担当。「データベースを使った開発において、開発者の負担を下げる」を合言葉にして、主にオープンソースデータベースの分野で活動中。

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社会人応援企画! プログラマー/SEの“常識”特集2008
半人前→一人前への道 基本の「キ」はここにあり
  Page 1
・データベースエンジニアとして、あなたは生き残れそう?
・開発者? 管理者? 似て非なる2つの違い
・「教科書」「辞書」そして「ドリル」
  Page 2
・「教科書」――一般教養としての「教科書」はオンライン?
・「辞書」――開発者と管理者では読むべきものが違う
・「ドリル」――開発者が実際に手を動かし、力を付けるために
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・管理者にはもう1つ必要な知識がある
・継続的に勉強を続けるためのヒント
・自分のタイプを見極めて効率アップ


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