連載
アプリケーション・アーキテクチャ・ガイド2.0解説

第6回 典型的なアプリケーションのパターン(後編)

日本ユニシス 猪股 健太郎
2009/12/15
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OBA

 OBA(Office Business Applications)は、業務システムとMicrosoft Office製品を結び付け、業務システムのフロントエンドとしてMicrosoft Office製品を利用できるようにするソリューションである。OBAによって、既存の業務システムが管理する情報に、Office製品のリッチで柔軟なインターフェイスを通じてアクセスすることができるようになる。

 OBAの論理階層と構成要素は以下のような図で表される。論理階層(レイヤ)は、プレゼンテーション層、生産性向上層、アプリケーション・サービス層の3つに分かれている。

 プレゼンテーション層はOfficeアプリケーションが提供するユーザー・インターフェイス(UI)である。生産性向上支援層には、Officeドキュメントを中心とした協調作業を管理する構成要素が含まれている。この層の機能は、Windows SharePoint Services(WSS)およびMicrosoft Office SharePoint Server(MOSS)が提供する。

 アプリケーション・サービス層は、高度なワークフロー管理機能、Excelサービスやビジネス・データ・カタログなどのビジネス・インテリジェンス機能、およびそれらにアクセスするためのWebサービス・インターフェイスが含まれる。この層の機能はWSSには含まれておらず、MOSSだけが提供する。

OBAの構造

 AAGでは、OBAの利用シナリオを「企業コンテンツ管理」「ビジネス・インテリジェンス」「統合メッセージング」の3つに分類している。

 「企業コンテンツ管理」では、Officeアプリケーションと業務システムの間にコンテンツ管理ツールとしてMicrosoft Office SharePoint Server(MOSS)やWindows SharePoint Services(WSS)が位置する。Officeドキュメントのバージョン管理ができるだけでなく、Web パーツを使って業務データを可視化することもできる。

「ビジネス・インテリジェンス」では、業務システムに蓄積されているデータとExcelを組み合わせ、レポートを作成したり業務分析を行ったりする。「統合メッセージング」は、OutlookとExchange Serverを使い、タスクと連絡事項の通知を実現する。

 OBAのアーキテクチャ・フレームとして、AAGでは下記のものを取り上げている。ここでは、その中から「リーチの拡大」「ドキュメント統合」「データ連結」「コラボレーション」「タスクと連絡事項1」の5つを説明しよう。ただし、この5つは、これまでに説明してきたアーキテクチャ・フレームとは異なり、「OBAでどのようなソリューションを実現できるか」をパターン化したものになっている。

OBAのアーキテクチャ・フレーム
リーチの拡大
ドキュメント統合
ドキュメント・ワークフロー
UI合成
データ連結
コラボレーション
タスクと連絡事項
セキュリティ
配布

リーチの拡大

 これは、業務アプリケーションの機能をOfficeユーザーに利用してもらうことを指す。これにより、Officeアプリケーションで代替できる機能を業務アプリケーションに作り込む必要がなくなる。また、ローカルのOfficeファイルで管理する情報を業務アプリケーションに登録し直すといった二度手間をなくすことができる。

 関係するパターンには、Officeアプリケーションと業務システムがWebサービスで連携したり、業務Webアプリケーションの画面をWebパーツとしてSharePoint上に取り込んだりする「直接統合」と、MOSSのビジネス・データ・カタログ機能のようなメタデータ格納域が間に挟まり、データやドキュメントを統合して提供する「間接統合」の2パターンがある。

関連するパターン:

  • 直接統合
  • 間接統合

ドキュメント統合

 これは、業務アプリケーションのデータとOffice文書とを相互に変換することを指す。これにより、業務データの複製がユーザーのデスクトップPCにはんらんすることを防ぐことができる。また、Office文書に含まれるデータと業務システムのデータが定期的に同期するようにもできる。

 関係するパターンには、業務アプリケーションが新規にOffice文書を生成する「アプリケーションによるドキュメント生成」、Office文書の一部に業務データが埋め込まれていて、業務アプリケーションと同期している「埋め込まれた業務データ」、Office文書テンプレートと業務データを合成してOffice文書が作られる「テンプレートへの流し込み」、業務アプリケーションがOffice文書を受け取り、文書に含まれている業務データを取り出して動作する「業務データの認識」という4つのパターンがある。

関連するパターン:

  • アプリケーションによるドキュメント生成
  • 埋め込まれた業務データ
  • テンプレートへの流し込み
  • 業務データの認識

データ連結

 これは、複数の業務システムを統一的に検索することで業務データを発見することを指す。これにより、ユーザーは自分が必要とするデータおよびそれに関連付いた業務アプリケーションに簡単にアクセスできる。MOSSのビジネス・データ・カタログ機能を使うことで検索機能を実装することができる。

 関連するパターンは、「発見ナビゲーション」である。これは、検索結果を表示する際に、検索結果へリンクするURLを提示するだけでなく、検索結果に対する操作のリストも併せてリンクとして提示するパターンである。

関連するパターン:

  • 発見ナビゲーション

コラボレーション

 これは、定型化された業務プロセスの中に、ユーザー同士の非定型的な共同作業の場を設けることを指す。これにより、効率的な情報共有や、業務上の問題の解決、新しいアイデアの創出が期待できる。

 コラボレーション・パターンは、MOSSのチーム・サイト機能が便利である。チーム・サイトには、文書ライブラリや、タスク・リスト、チーム・カレンダ、議論のための掲示板システムなどが標準で提供される。

関連するパターン:

  • コラボレーション

タスクと連絡事項

 これは、ユーザーが行うべきタスクや、ユーザーに対する連絡事項を、電子メールで通知することを指す。これにより、業務アプリケーションがユーザーにタスクを割り振ったことを通知したり、複数の業務処理を扱う業務アプリケーションが、業務プロセスの現在の状況をユーザーに通知したりすることが可能になる。

 関連するパターンには、情報がアプリケーションからユーザーへ渡されるだけの「タスクと連絡事項の単純な通知」、通知したタスクが業務アプリケーションと双方向的に同期しており、一方がタスクを更新するともう一方へも反映される「直接的なタスク同期」、SharePointのタスク・リストを介して業務アプリケーションとOutlookが連携する「間接的なタスク同期」、Outlookのカスタム・タスク機能を使い、業務アプリケーション固有のタスクを実行させられる「タスクと連絡事項の高度な通知」、そして、配送する電子メールにInfoPathのフォームが添付されており、フォーム経由で業務処理を実行させる「フォームベースのタスクと連絡事項」という5つのパターンがある。

関連するパターン:

  • タスクと連絡事項の単純な通知
  • 直接的なタスク同期
  • 間接的なタスク同期
  • タスクと連絡事項の高度な通知
  • フォームベースのタスクと連絡事項

 INDEX
  連載:アプリケーション・アーキテクチャ・ガイド2.0解説
  第6回 典型的なアプリケーションのパターン(後編)
    1.サービス
    2.モバイル・アプリケーション
  3.OBA
    4.SharePoint業務アプリケーション

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