XMLテクノロジをベースとするB2Bシステムの基礎から実装までを解説した書。
原書の発行元がMicrosoft Pressであること、また書名に大きく“BizTalk Server”とうたわれていることから、Microsoft
.NET Enterprise Servers製品群の1つであるBizTalk Serverを隅々まで解説する本かと思いがちだ。しかし実際には、電子商取引の定義から始まって、XMLやSOAPなど、B2Bシステムの構成要素となる技術要件の必要性や基礎からの技術解説に全体の半分以上のボリュームを割いている。内容から言えば、本書の書名は『基礎から学ぶ現代B2Bシステム』としてもよいのではと思える。そして基礎編に続く「実践B2Bシステム構築編」のプラットフォームとして、BizTalk
Serverが使われていると考えればよい。
このように本書の前半では、XMLやB2Bシステムという言葉を聞きかじった程度の未来のB2Bシステム・エンジニアを対象として、歴史的な背景なども踏まえながら、さまざまな要素技術の必要性や、要素技術解説などを丁寧に行っている。そして基本をしっかりと押さえたうえで、後半の実装編では、BizTalk
Serverを利用したB2Bシステムのサンプル事例を元に、具体的なシステム構築について順に解説する。筆者のBrian
E. Travis氏は、XMLを応用した実用システムの実装で長い経験を積んでおり、そうした実務のエキスパートならではの説得力が本書の要所要所で感じられる。
BizTalk Serverを利用したB2Bシステムの設計にとりかかろうというエンジニアが、基礎から実装までを系統的に学ぶのに最適な書である。またBizTalk
Server以外のB2Bプラットフォームを利用するエンジニアであっても、特定プラットフォームに依存することなく解説された本書の前半は十分役に立つだろう。
なお本書には付録CD-ROMが1枚添付されており、この中に本書内で紹介されているサンプル・コードや、SOAP Toolkit for Visual
Studio 6.0(VS 6.0用のSOAP開発キット)、OmniMark(B2B開発言語。この言語の使い方は本書内で詳しく解説されている)の無償版などが収録されている。
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